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第17回 MySQLの2016年10大ニュース,Pgpool-II3.6.0リリース,Apache Cassandra C#ドライバーの.NET Core対応

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MySQLは2016年の10大ニュースをご紹介いたします。PostgreSQLのアップデートはありませんでしたが,2016年11月21日にPgpool-II 3.6.0がリリースされました。Apache CassandraはC#ドライバーの.NET Core対応について説明します。

[MySQL]2016年12月の主な出来事

2016年12月12日にMySQL 5.75.65.5のバグフィックスを中心としたマイナーバージョンがそれぞれリリースされています。このほか,高可用性構成を構築する際に利用するソフトウェアルータのMySQL Router 2.0.4や,接続部品群Connectorsの各マイナーバージョンもリリースされています。

MySQL 5.7.17では,マルチマスター型レプリケーションであるグループレプリケーション機能がGA(General Availability/製品版)となっています。グループレプリケーションについては当連載の第13回でご紹介しています。また,総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)などの対策として利用可能なConnection-ControlプラグインもMySQL 5.7.17にて追加されています。

2016年のMySQL 10大ニュース

ここでは2016年のMySQLに関する出来事を振り返っていきます。

1MySQL 8.0 DMR(Development Milestone Release)
次世代版MySQLサーバとしてデータディクショナリ追加など大幅なアーキテクチャ変更
2MySQL Group Replication GAリリース
マルチマスター型レプリケーションがプラグインとしてMySQLサーバに追加
3TDE(Transparent Data Encryption / 透過的暗号化)機能追加
MySQL 5.7のコミュニティ版および商用版にInnoDB表領域の透過的暗号化機能追加
4MySQL Cluster 7.5 GAリリース
分散型高可用性&高性能データベースクラスタにMySQL 5.7統合。JSONデータ型も利用可能
5Oracle MySQL Cloud Service提供開始
オラクルのDBaaSの1つとしてMySQL Enterprise Editionをベースとしたサービスを利用可能
6MySQL関連の書籍の複数出版
MySQL ClusterやMySQL 5.7, チューニングなど異なるテーマの書籍が出版される(下記参照)
7MySQL InnoDB Clusterの開発開始
グループレプリケーションにMySQL RouterとMySQL Shellを組み合わせたパッケージ
8MySQL Document Storeの開発開始
新しい通信プロトコルとNoSQL APIを組み合わせたドキュメントストアとして利用する機能群
9MySQL 5.7 GAに機能追加や改良続く
上記以外にもJSONデータ型用"->>"演算子追加セキュリティ関連機能の改良
10日本オラクル株式会社や徳島県と共催しMySQL 5.7初心者向けセミナーを開催
とくしまOSS普及協議会と合同で初のMySQLセミナーを実施。国内各地でもセミナー実施

2016年に出版されたMySQL関連書籍は以下の通りとなっています。

『MySQL Cluster による高可用システム運用ガイド(Think IT Books)』
著者:山崎由章,出版社:インプレス
『詳解MySQL 5.7 止まらぬ進化に乗り遅れないためのテクニカルガイド』
著者:奥野幹也,出版社:翔泳社
『MySQL即効クエリチューニング(Think IT Books)』
著者:yoku0825,出版社:インプレス
『やさしく学べるMySQL運用・管理入門【5.7対応】』
著者:山崎由章 & 梶山隆輔,出版社:インプレス

2017年のMySQLは次期メジャーバージョンの8.0やInnoDB Cluster, Document Storeなどのリリースに向けた機能追加や改善がみこまれ,開発段階でのコミュニティからのフィードバックが求められることとなります。プラグインとして開発されているDocument StoreやMySQLサーバーとは独立したソフトウェアで構成されるInnoDB Clusterは,MySQL 8.0のリリース時期とは別でのリリースが想定されます。またMySQL 8.0ではデフォルトの文字コードがUnicode 9.0をベースとしたUTF-8となり,Collation(文字照合順)もさらに幅広い言語に対応することになり,日本語に関する改良も見込まれるため,テストや動作検証が重要です。

[PostgreSQL]2016年12月の主な出来事

2016年11月21日にPgpool-II 3.6.0がリリースされました。このリリースでは,フェイルオーバ時に切断されるセッションを最小化する改良や,最新のPostgreSQL9.6への対応をはじめとした多くの機能追加,バグ修正が行われております。

フェイルオーバ時のセッション切断の軽減について

これまでのPgpool-IIではPostgreSQLがダウンするとフェイルオーバ時にPgpool-IIの全プロセスが再起動されていました。そのため,正常稼働しているPostgreSQLノードを利用しているセッションも一旦切断されていました。

画像

Pgpool-IIではダウンしたPostgreSQLノードを直接利用しているプロセスのみ再起動されるようになったので,フェイルオーバ時に切断されるセッションの範囲が軽減されています。

画像

なお,この機能はストリーミングレプリケーションモードにおいて,スタンバイノードがダウンしたときのフェイルオーバに限られます。動作モードがストリーミングレプリケーションモード以外の場合や,ストリーミングレプリケーションモードであっても,プライマリノードがダウンしたときのフェイルオーバ時には従来通りすべてのPgpool-IIプロセスが再起動されるので,すべてのセッションが切断されてしまいます。

先月のPostgreSQL関連イベントやセミナー,ユーザ会の活動のレポート

PGConf.ASIA
2016年12月1日(木)~2016年12月3日(土)の日程でPostgreSQLの国際カンファレンスであるPGConf.ASIAが開催されました。1日目はDEVELOPER,2日目はBUSINESS,3日目はCOMMUNITYと日ごとにテーマをわけ,多数の講演が行われました。一部の資料はこちらに公開されており,誰でも閲覧できます。

著者プロフィール

山本文彦(やまもとふみひこ)

TIS株式会社

アプリ兼インフラエンジニアとしてさまざまなECサイトの開発現場を担当後,現在はOSSサポートサービスにおいて技術コンサルティングや保守サポートに従事。PostgreSQLだけでなく,MySQL, OracleなどのRDB,Amazon DynamoDBといったNoSQLなどさまざまなDB製品の利用経験を活かして,OSS製品の普及活動に力を注いでいる。


木本吉信(きもとよしのぶ)

DataStax Inc.

OSからデータベース,各種アプリケーションの国内導入やローカライズにかかわる仕事を株式会社創夢,イデアコラボレーションズ株式会社,Japan Leadershipで,学生時代から現在に至るまで30年に渡り行う。業務として,また業務の傍ら,マニュアルや書籍,記事の翻訳や監訳・執筆なども行う。


梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。

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