テストリーダへの足がかり,最初の一歩

第3回 テスト分析(前編)

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読者の皆さんこんにちは,TISの鈴木と日立情報通信エンジニアリングの池田です。

第一話第12回では「テスト計画」を取り上げました。一口にテスト計画と言っても検討しなければならないことが多くあります。単純に体制図と線表を作成すれば計画は終了と考えていた中山君は,結果として大塚先輩にたくさん指摘されることになりました。「テスト計画=テストスケジュール」ではありません。これは基本的なことですが,正しく理解しておく必要があります。

さて,今回から始まる第二話は「テスト分析」について取り上げます。果たして中山君は順調にリーダとしての役割を全うすることができるでしょうか…。

【今回の登場人物】

大塚先輩:
入社10年目。5年前に柏田マネジャーと一緒にソフトウェアテスト事業を立ち上げた。カメラが趣味で,暇さえあれば写真を撮りに出かける。

中山君:
入社5年目。本連載の主人公。入社以来ソフトウェアテスト一筋で経験を積んできた。そろそろ大きい仕事をしたいと考えている。

テスト分析

中山君は,前回はじめてのテスト計画で,今まで経験したことのない作業と失敗をしました。リーダは実に沢山のことを考える必要があります。

下の立場からリーダの姿をみると,リーダの仕事はメンバに仕事を振っているだけの簡単な作業だと思っていました。ですから,数年間経験を積んできたのだからすんなりできるだろうと軽く考えていました。ところが,いざリーダという立場になり,その大変さがわかってきた今日この頃です。

大塚先輩から指摘をもらった後改めて計画書を作成し,何度か大塚先輩から指導を受け,ようやく再提出することができました。その再提出された計画書に目を通していた大塚先輩は,視線を上げて…。

大塚先輩:
お疲れさま。これなら初めてのテスト計画書としてはなんとか及第点だろう。

中山君は「お疲れさま」という大塚先輩のねぎらいの言葉に,ほっとすると同時に今までの苦労も吹き飛ぶ気分です。

中山君:
ありがとうございます! 本当にご迷惑をおかけしっぱなしだったんですが,おかげさまで良い物ができて良かったです!
大塚先輩:
…さて,次はテスト分析だが,これは大丈夫かい?

中山君:
はっ,…はい! 以前にテスト分析を手伝ったことがあるので,今度は大丈夫だと思います!
大塚先輩:
そうか,それは頼もしい言葉だね。俺は別のチームが佳境だから,そっちの面倒を見る必要がある。中山君の方で作業を進めておいてくれないかな。
中山君:
はい,わかりました!

大塚先輩:
もし何か問題があったら,すぐに連絡すること。えぇと,どれくらいでできるかな?

中山君は少し考えてこう答えました。

中山君:
前回,結構時間がかかってしまったので,リスクを考えて5日間ください。
……


中山君の言葉に大塚先輩は一瞬何か言いたげな表情を見せましたが,了解すると,別のチームの面倒を見に行ってしまいました。

中山君はこのとき,ようやく次の「テスト分析」工程に入ることができる喜びで舞い上がっており,その一瞬の表情は見逃してしまいました。

著者プロフィール

鈴木三紀夫(すずき みきお)

1992年,(株)東洋情報システム(現TIS(株))に入社。複数のエンタープライズ系システムの開発に携わり,現在は社内のソフトウェアテストに関するコンサルタントとして活動中。ASTER理事,JaSST実行委員,JSTQB技術委員,SQiPステアリング委員 他。

著書


池田暁(いけだ あきら)

2002年日立通信システム(現日立情報通信エンジニアリング)に入社。設計,ソフトウェア品質保証業務を経て,現在は開発に関する設計/テストツールの導入や,プロセス改善に関する業務に従事。ASTER理事,JaSST実行委員,品質管理学会・ACM正会員。

著書