モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第21回 不平・不満は[紙に定着]させると消えていく~

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

こんにちは。グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。前回は,本音を言える安全な場をつくるために,あの手この手の仕掛けをご紹介しました。そしてあの手この手で本音が,特に不平・不満が聞こえてきたら,議論が[他責]から[自責]に切り替わっていくと,第18回で述べました。今回は,そんなポロッと聞こえてきた不平・不満を,実際に逃さずキャッチして, [紙に定着]させることを実践してみましょう!というお話です。

ふつうなら書き留めない不平や不満こそ,聞こえてきたそばから,紙やホワイトボードの隅でいいので,みんなの見えるところに書き留めてみてください。参加者の発言の中から面白いぐらいにその不平や不満が減っていきます。消えていきます。逆に書き留めておかないと,いつまでたっても出来ない理由や愚痴が繰り返されてしまう。ネガティブな発言こそ紙に定着させるということが,会議の結論や決定事項のその後の実行力まで変えていきます。絵にできなくても,その文字のまま書き出せます。今日の会議からぜひ,まずはホワイトボードの隅に描きとめるところから始めてみてください。

不平・不満こそ[紙に定着させる]のススメ

まずは,私が不平・不満を聴いて描いた絵を紹介します。

左の絵は,ある研修で,現状の問題点について語り合う管理職の人たちから聞こえてきた「トップダウン」という言葉。社長の発言が,雷のように社員に向かって落ちているイメージの絵になりました。点線のフキダシの中は,社員たちが声に出しては言えていない,蓋をした本音,心の叫びです。

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右の絵は,社長や本社の経営ボードからの命令が,一方的に全国の支店にメールで届いている様子を絵にしているうちに「アレヤレ!コレヤレ!」という指示のボールがどんどん投げつけられている絵になっています。 これらの発言の当事者である参加者たちは,机の上に模造紙を広げて,発言のまま,思いつくままに問題点を書き出していました。

書くものが尽きるまで書き留める

少人数のグループに分かれて1つの模造紙に,特に整理などしないで,現状の問題点をランダムに,おしゃべりしながら,言ったそばから書いていきます。このとき,安全な場であればあるほど,筆が進みます。そして参加者は結構,楽しそうです。トップダウンの社長に対して「最後まで話を聞いてほしい」「そうそう!」「たまには,ほめてほしい」「ほんとほんと!」と,書き漏らしがないぐらいに書いていました。

普段いえなかった不平・不満を吐き出して最初は盛り上がるのですが,1~2時間もすると参加者の手元のペンの動きは止まり始めます。そしてある人のペンは「会議が多すぎる」という文字をただ,ぐるぐるぐるぐる丸く囲みながら話を続けていました。

この「ぐるぐる丸囲みをする」という行為がポイントなんです! 新しく何か文字を書くわけでもなく,ただ,ぐるぐるぐるぐる。つまり,他にもう書くことはないんです。ついさっきもこの話をしていた証拠です。同じ話を何度もしているのです。これは,私の筆が止まるのと同じ現象です。普段なんとなく感じている「堂々めぐりの議論」というのを可視化すると,まさに紙の上のこんなぐるぐる状態といえます。しかしここでは[紙に定着]させているおかげで,議論が行ったり来たりソレたりすることなく,次第にぐるぐるとその「会議が多すぎる」に収束していきました。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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コメント

  • 不平・不満の共有???

    不平・不満を本音としてとことん出しつくす、という今回のテーマは、私にとっては「え?」という感じです。やはりちょっと違和感を感じます。

    それはこれまで私が進めてきた会議のやり方と、方法論が全く逆だからなんですね。

    会議ではみんなが本音で語れるようにしようということは私も意識してやってきましたが、それはひとの意見に対する批判はやめよう、ネガティブな発言はやめよう、という方向でした。

    できる限りポジティブな発言を引き出そうとしていたのです。

    今回の話しを読んで、不平や不満を語らせないという方針はメンバーを信頼しきれていないということなのかもしれないと思いました。

    しかし本音を引き出す手段として不平・不満をとことんまで語らせるという方法を実践できるかというと、正直、不安を覚えます。結果が予想できないからかもしれません。今回の話しを読んでも、自分がそれをやった時に同じようにうまくいくのか不安があります。

    自分の器が小さいのかもしれませんね。
    今までのやり方を変えることに憶病なだけかもしれません。変えることの大切さは分かっているつもりではあっても、それを実践することにはハードルを感じます。

    少し考えてみようと思います。消化できるまで。

    Commented : #1  くろめがね (2009/04/26, 18:37)

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