モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第49回 みんな実は大好き! ホンネが見える[ネガティブな表情+セリフ]

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こんにちは。グラフィックファシリテーターやまざきゆにこです。前々回から引き続き「絵巻物思考」の練習問題を用意しました。今回は特に[ネガティブな表情+セリフ]に絞って書き出してみましょう。とにかくホンネの見える議論は,みんなを,あなた自身を,ワクワク楽しい気持ちにさせてくれます!

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なぜ,みんなの心は動かない?

次の4つはいずれも,話し手の伝えたい内容が,聞き手の心に響かなかったという実話です。部長がメンバーに,いくら素晴らしいビジョンを語っても伝わらない。営業マンがクライアントに,いくら商品の良さを説明しても買ってもらえない。そんなときに,聴き手であるメンバーやクライアントのホンネ[ネガティブな表情+セリフ]を想像して書き出してみましょう,というのが練習問題です。仮説で構いません。心の中ではどんな[ネガティブな表情+セリフ]をしているのか。彼らの本当の気持ちに思いをめぐらしてみると,彼らが行動変化を起こさない大きな理由が見えてきます。

練習1)未来の通勤が変わります!スマートコミュニティ
研究者や技術者が集まって,技術の進化をとても楽しそうに語り合っていました。⁠満員電車の通勤とは無縁の,田舎暮らしの生活を実現。会議で都内の本社へ出社するときは,ご近所さんと自動運転車をカーシェアして出かけていく。久しぶりに会った同僚と飲んで終電に乗り遅れても,ご近所さんと連絡をとりあって,自動運転車で安全に楽に帰宅できる。そんな移動手段が当たり前な時代になる」とのこと。しかし……後からそれを聞いた事業部の人たちはその未来に「いいね!」と即答できませんでした。逆に「ウ~ン…」と黙ってしまいました。なぜでしょう? 彼らのホンネ[ネガティブな表情+セリフ]とは?
練習2)部下の話を傾聴します!
40代~50代の管理職が50人ほど集まった研修の,その日のテーマは部下マネジメント。⁠傾聴」について講義を受けていました。管理職のみなさんの感想は「自分が日頃いかに部下の話を聴いていないかを実感しました」⁠今日から部署に戻ったら早速,部下の話を傾聴します」と意思表明までして研修は終わりました。しかし……結局,部署に戻った多くの部長はいつもと変わらぬマネジメントスタイルに戻っていました。なぜでしょう? 研修当日の管理職のみなさんのホンネ[ネガティブな表情+セリフ]とは?
練習3)当社は女性活躍を推進します!
会社が主催する「女性活躍推進プロジェクト」のキックオフに全支店から集められた80人の女性たち。彼女たちに対して,経営トップから次のようなコメントがありました。⁠当社は,女性にとって働きやすく,女性が活躍できる会社として,女性のキャリア形成を支援し,管理職への積極的な登用を進めます」⁠しかし……当の女性たちの目線は冷ややか,表情は曇っています。なぜでしょう? 彼女たちのホンネ[ネガティブな表情+セリフ]とは?
練習4)当社のクラウドサービスで御社のワークスタイルの変革を促進します!
ある応接室の一室で,営業はパンフレットを広げて,クライアントにシステム導入後のメリットを述べています。⁠安心安全なクラウド型Web会議システムで,外出先からでも自宅からでも会議に参加できます。ワークライフバランスを実現します」⁠会議室を予約する手間も省けます。集合時間を調整する時間もストレスも軽減します。業務効率を上げ,生産性を上げます」⁠しかし……クライアントは腕を組んで眉間にシワを寄せて困った表情をしています。なぜでしょう? クライアントのホンネ[ネガティブな表情+セリフ]とは?

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みんな本当はもっとホンネの議論がしたい!

さて,どんな[ネガティブな表情+セリフ]が描けましたか。冷めた反応の女性たちや何の行動変化も起きなかった部長さんたちのホンネは見えてきましたか? それぞれ実際の会議では,次のような絵を描いていました。

練習1)未来の通勤が変わります!スマートコミュニティ

ご近所さんとカーシェアする話は,どこかで聞いたことのある未来ですが,賛同が得られないビジョンがあったら,⁠ネガティブな表情+セリフ]から見直してみるべきです。

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ある女性はこう言いました。⁠車内の空間では狭過ぎる。近過ぎてイヤ!」⁠夜はもっとイヤ。ご近所さんに酔ったところなんて見られたくない」⁠私だったら乗らない」⁠その言葉を聞いた他の人たちから「確かに!」と多くの共感がありました。

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昨今,技術から発想するのではなく,未来のありたい姿から語り合おうという場がだいぶ浸透してきました。⁠人間中心発想」「デザイン思考」を導入しようとか,⁠シナリオプランニング」⁠行動観察」⁠ユーザーエクスペリエンス」といった観点から,未来の新しい価値を見つけようというもの一般的な考え方になりつつあります。

それでもまだまだ絵に描いてみると,多くの会議では心からワクワクしない未来を平気で語っている。机上だけの[他人事]の議論が数多く存在しているとも言えます。

ビジョンにどこか心から賛同できないモヤモヤしたものを感じたら,ネガティブな気持ちをあえて探ってみてください。⁠自分だったら」本当に乗るか?「自分は」そんな未来を本当に心から望んでいるのか? ⁠自分事]として,その状況を思い浮かべてみれば,ホンネの[ネガティブな表情+セリフ]も意外と簡単に書けてきます。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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