プログラマのための文字コード技術入門
はじめに
文字コードは,ソフトウェア技術者にとって必須の知識です。プログラミングをするうえでも,データフォーマットなどを設計するうえでも必要です。しかし,文字コードの知識を体系的に学ぶ機会というのは滅多にありません。断片的な手がかりを元にWebで検索するなどして調べるといった対応をすることが多いと思います。
本書は,ソフトウェア技術者をおもな対象として,文字コードの基礎知識をなるべく筋道立てて説明しようと試みたものです。前半の第1章から第4章までは,文字コードの基本的な概念から始めて,現在日本で使われているものを中心として各種の文字コードを紹介します。後半の第5章から第8章までは,いわば応用編として,コード変換や判別,インターネットでの扱い,プログラミング言語での扱い,そして典型的なトラブルについて説明します。
さまざまな文字コードを本書では取り上げますが,一概にどれを使うべきといった判断は本書は下しません。どの文字コードもそれなりの理由があって作られたものですから,自分のプロジェクトの置かれた状況に応じて有用なものを選んで使えば良いというのが本書のスタンスです。本書ではそれぞれの文字コードがどのような特徴を持っているか,どのような用途に向くかを説明します。また,本書では説明の根拠となる規格等への参照をできるだけ本文中に記すよう努めました。より詳しく知りたい方は,そうした規格等に直接あたって調べることができます。
本書の内容について,内田明氏,高橋征義氏,武者晶紀氏より有益なご助言をいただきました。深く感謝いたします。もちろん,本書の内容に誤りがあれば著者の責任であることはいうまでもありません。
本書の記述のうち意見にかかわるものは,筆者個人の見解であり,いかなる組織を代表するものでもないことをお断りしておきます。
本書が読者の文字コード理解の一助になれば幸いです。