プロジェクト管理に関わるすべての方のための祭典「Backlog World」レポート

前編:日本から多彩なプロジェクト管理の知見が集まった1日~Backlog Worldセッションレポート

この記事を読むのに必要な時間:およそ 6.5 分

“プロジェクト管理の知見をシェアしあう一日に。”~橋本氏による基調講演

基調講演を務めたのは橋本氏。⁠プロジェクト管理に詳しい方によるステージセッションをメインコンテンツに,プロジェクト管理の知見をシェアしあう一日に」と,Backlog World主催者としてイベントへの想いを込めながら力強く開会宣言をしました。

基調講演を務めた株式会社ヌーラボ代表取締役橋本正徳氏

基調講演を務めた株式会社ヌーラボ代表取締役橋本正徳氏

イベント開催の背景や趣旨に続いて,昨今日本国内で注目を集める「働き方改革」について取り上げ,そもそもとして働き方改革が生産性を改善ずるための手段なのかどうかという疑問を投げかけたうえで,⁠実際に労働生産性を上げるには,成功した良質のプロジェクトが増えていくことが大事なのではないでしょうか」と,自身の考えを提示しました。つまり,働き方改革=プロジェクトマネジメントの成果であるというわけです。

こうした前提とともに,自身が代表を務めるヌーラボは,コラボレーションツールを通して「働く」を楽しくし,チームの生産性を挙げていると,実際に取り組んでいる内容を紹介しました。その中には,先日1月25日に発表された九州朝日放送とのコラボレーション企画「野望研究所」についても触れられました。

急遽登壇した九州朝日放送「野望研究所」のパーソナリティ、岡本先生こと岡本啓氏(写真)と中島尚樹氏。ユニークなパフォーマンスで会場を大きく盛り上げた

急遽登壇した九州朝日放送「野望研究所」のパーソナリティ、岡本先生こと岡本啓氏(写真)と中島尚樹氏。ユニークなパフォーマンスで会場を大きく盛り上げた

この紹介とともに,Backlog Worldが「プロジェクト管理に関わるすべての方のための祭典」であることを改めて強調し,イベント参加者に,今日1日を楽しみ,そして,何かのきっかけを掴んでもらいたいとして,基調講演を締め括りました。

大小さまざまなプロジェクトに関わるキーマンたちによるセッション

基調講演のあとは,A/B,2つのトラックに分かれて,キーマンたちによる多彩なセッションが行われました。

国籍・職種・働き方の違いを乗り越えよう!ハカルス流プロジェクト管理術
染田 貴志 / 株式会社ハカルス

元ヌーラボ所属で,Backlogの開発に関わっていた株式会社ハカルスの染田貴志氏は,現在同社で取り組んでいるプロジェクト管理術の事例とともに,プロジェクト管理のノウハウを紹介しました。同社は,ヘルスケアと機械学習を軸とした事業展開をするスタートアップ企業です。

元ヌーラバーの株式会社ハカルス染田貴志氏

元ヌーラバーの株式会社ハカルス染田貴志氏

ハカルスは国内だけではなく,海外からリモートワークで参加しているメンバーがいるため,国籍・職種・働き方が異なる多様なメンバーによるチーム構成で業務を行っています。こうした差異と向き合いながら,当初はシンプルなプロセスを心がけてサービス開発を行っていたそう。そして,会社が成長期に入るにつれコミュニケーションが活発になった結果,Backlogを導入し,タスク管理を明瞭にしたことが,プロジェクト管理をスムーズに行えるようになったと言います。

現在はさらに成長を目指すべく,チームメンバー間の情報の透明性を担保し,メンバー同士で気づきを伝えられる,いわゆるツッコミあいの空気を醸成することを心がけていると,染田氏が同社で得た知見からのノウハウを共有しました。

Mackerelのクライアントワークから学ぶ情報共有の成功と失敗
粕谷 大輔 / 株式会社はてな

株式会社はてなからは,直感的なUIでサーバ監視が行えるサービス「Mackerel」の開発ディレクターを務める粕谷大輔氏が「Mackerelのクライアントワークから学ぶ情報共有の成功と失敗」と題し,発表を行いました。

株式会社はてなで「Mackerel」の開発ディレクターを務める粕谷大輔氏

株式会社はてなで「Mackerel」の開発ディレクターを務める粕谷大輔氏

MackerelはSaaSのため,ユーザ個別のカスタマイズなどは行っておらず,認証や通知先連携,あるいはクラウド事業者との連携などが主たる開発内容になっています。その1つとしてコラボレーション開発を実施しているとのこと。具体的には,ヌーラボが提供するコミュニケーションツール「Typetalk」との連携で,Typetalkの新しいAPIのリリースに合わせ,両社間でリリース前から開発に取り組んだそうです。

粕谷氏が企業間コラボレーション開発をするうえでとくに意識したのがコミュニケーションで,コミュニケーションの属性を明確にした上で,使用するツールを選択した結果,円滑な開発を実現できたと言います。このセッションでは,特定の事例ではなく,より汎用的な観点から,企業間コラボレーション開発のポイントについて丁寧に解説され,企業間で開発を行うエンジニアやディレクター,デザイナーには大変参考になる内容でした。

仕事と子育ての両立を支援するプロジェクト管理ツール活用術
平 愛美 / Linux女子部

Backlogをはじめ,プロジェクト管理ツールは企業や組織のためのものだけではありません。個人で自身の活動を円滑にすすめるためにも活用されています。

Linux女子部をはじめITコミュニティで活躍される平愛美氏は「仕事と子育ての両立を支援するプロジェクト管理ツール活用術」にて,自身のプロジェクト管理ツールの活用ノウハウを発表し,共有しました。

Linux女子部などコミュニティ活動でも活躍する平愛美氏

Linux女子部などコミュニティ活動でも活躍する平愛美氏

平氏は2006年頃までは力技で業務を遂行し,何かあったら残業でカバーするというスタイルで日々を過ごしていたとのこと。しかし,本当にこのままで良いのか?という疑問が湧き上がり,その後,結婚・出産を経て,ライフスタイルが大きく変わりました。その結果,それまでの役割だったインフラエンジニアからクラウドエンジニアへ転身,さまざまな状況の変化があり,仕事と子育てが両立できないという悩みに苛まされたと言います。

しかし,家族のため,そして家族の協力があり,⁠諦めずに試行錯誤している中で出会ったのがBacklogだった」と当時を振り返りました。

Backlogと出会ってから一番変わったのが,⁠タスク管理からプロジェクト管理」への意識変化と平氏はコメントしました。つまり,1つ1つのタスクに追われるのではなく,プロジェクトとしてまとめて管理することで,時間を効率的に使えるようになったのです。加えて,Backlogで自身の生活を一元管理した結果,過去の履歴の検索や家族間でのルールの明文化など,日常的に起こりうるディスコミュニケーションが減り,生活内でのストレスが激減し,逆に,夫婦間の雑談が増え新しいアイデアもたくさん生まれたとのこと。

こうした経験から,自身の生活だけではなく,外部の活動などもBacklogを使って管理することで,さらに幅が広がったと,Backlog導入の効果を説明しました。

最後に改めて,家族のため,じぶんのためを考え,そのために時間や健康を第一に考え,無理をしない意識が高まったとのことです。

今回の内容は,まさにITが人間の生活を豊かにしてくれた,非常に有益な事例の1つであり,Backlog Worldが目指しているゴールとも言えるのではないでしょうか。

著者プロフィール

橋本正徳(はしもとまさのり)

1976年福岡県生まれ。福岡県立早良高等学校を卒業後上京し,飲食業に携わる。劇団主催や,クラブミュージックのライブ演奏なども経験。1998年,福岡に戻り,父親の家業である建築業に携わる。2001年,プログラマーに転身。2004年,福岡にて株式会社ヌーラボを設立し,代表取締役に就任。現在,福岡,東京,京都,シンガポール,ニューヨーク,アムステルダムに拠点を持ち,世界展開に向けてコツコツ積み上げ中。


五十川慈

1989年福岡県生まれ。Meggyと呼ばれている。株式会社ヌーラボの広報兼コミュニティマネージャーとして,会社とプロダクトの「ファン作り」に取り組む。九州大学卒業後5年間,東京のスタートアップ企業で営業や人事に従事し,2017年にヌーラボ福岡本社にUターン転職。お菓子作りが好きで,将来は企業の人として働きながらも,実店舗を持たないお菓子屋さんとしても仕事をしたいと考えている。


馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

Twitte ID:tomihisa(http://twitter.com/tomihisa/

コメント

コメントの記入