Fedoraプロジェクトは4月28日(米国時間)、「Fedora 32」の正式リリースを発表した。リリースされたエディションはデスクトップ版の「Fedora Workstation」、サーバ版の「Fedora Server」、エッジコンピューティング/IoTに特化した「Fedora IoT」で、コンテナワークロード向けの「Fedora CoreOS」は後日、Fedora 32をベースとしたストリームが登場する予定だ。なお、KDEやXfceなどGNOME以外のデスクトップ環境を実装した「Feodra Spins」、サイエンスやゲーム、デザインなど目的別にコンテンツをまとめた「Fedora Labs」もFedora 32をベースにアップデートが行われている。
- Fedora 32 is officially here! -Fedora Magazine
Fedora 32ではLinuxカーネルにLinux 5.6.6、デフォルトデスクトップ環境にGNOME 3.36を実装、コードコンパイラにはまだリリース前のGCC 10を採用したほか、Glibc 2.31、Firefox 75.0、LibreOffice 6.42、Python 3.8.2、Ruby 2.7、systemd 245などが主要ソフトウェアとして含まれている。
Fedora 32における主なアップデートは以下の通り。
- メモリ不足によるハングアップを解消するため、デスクトップ版で「EarlyOOM」をデフォルトで有効
- ARM AArch64アーキテクチャ(デスクトップ版)をサポート
- SSDに対して定期的にTRIMを実行するfstrim.timerをデフォルトで有効に
- ニューロサイエンスに特化した「Computational Neuroscience Lab Imange」をFedora Labsに追加
- 「NVIDIA Jetson」プラットフォームや64ビット対応のシングルボードコンピュータ「PINE64」などArmデバイスのサポートを強化、さらにクアッドコアGPU「Arm Mali-400」シリーズをサポートするオープンソースドライバを追加
Fedora 32のリリースは当初、4月21日(米国時間)が予定されていたが、いくつかのブロッキングバグにより1週間遅れてのリリースとなった。FedoraプロジェクトリーダーのMatthew Millerは「このリリースサイクルでFedoraプロジェクトに貢献してくれた人々、とくにパンデミックという状況にあって、ほぼオンタイムにリリースするために労力を割いてくれたメンバーに感謝したい。Fedoraはコミュニティであり、互いにサポートしあう姿を見られることは本当にすばらしい」とコメントしており、新型コロナウイルスの感染拡大にあってもほぼ予定通りにリリースできたことに謝意を示している。