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2020年12月15日2020年最後のリリース「Linux 5.10 LTS」登場

Linus Torvaldsは12月13日(米国時間⁠⁠、⁠Linux 5.10 LTS」の正式リリースをアナウンスした。当初の予定通り、約2ヵ月間の開発期間と7本のリリース候補(RC)版を経てのリリースで、5年間の長期サポートが保証されるバージョンとなる。

Linux 5.10 -Linus Torvalds

Linux 5.10のおもなアップデート内容は以下の通り。

  • ext4に「iJournaling」と呼ばれるジャーナリング技術を実装、fsync()のパフォーマンスを向上
  • Linux 5.1から実装された非同期I/Oアーキテクチャ「io_uring」において、プロセス間でよりセキュアにリングが共有できるようAPIを変更
  • メモリ利用のアドバイスをカーネルに提供する「madvise(2)」を呼び出すシステムコール「process_madvise()」
  • AMDが開発したSEV(Secure Encrypted Virtualization)を拡張、ゲストマシンのレジスタの状態を暗号化し、ハイパーバイザへのアクセスを回避する
  • カーネル内に存在するグローバル関数ポインタを置き換える「スタティックコール(static_call()⁠⁠」の実装(Spectre対策でRetpolineを現在も適用している場合などに有効)
  • ARMv8.5の拡張機能である「メモリタギング(Memory Tagging Extension⁠⁠」のサポート

2020年最後のリリースとなったLinux 5.10 LTSだが、2021年にアップデートが予定されている「Debian 11 "Bullseye"」やその他のディストリビューションでの採用が見込まれている。

Linusは次のLinux 5.11に向けてのマージウィンドウをオープンしているが、今回のオープン期間がホリデーシーズンと重なるため、⁠マージウィンドウはマージウィンドウがスタートする前に準備ができていたコードのためにある(the merge window is for things that are ready *before* the merge window starts⁠⁠」というルールをいつもより厳しく適用するとコメントしており、すでに十分にテスト/準備されたコードしか受け付けない姿勢のようだ。

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