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2021年をもって事実上のプロジェクト終了が発表されたCentOSだが,CentOSをサービスの基盤として利用してきたユーザ,とくに"ハイパースケーラ(hyperscalers)"と呼ばれる大規模サービス事業者の中には,今後のプラットフォーム戦略の転換を余儀なくされているところも少なくない。そうした事情を反映した動きのひとつとして,FacebookやTwitter,Verizonといったハイパースケーラの有志がCenOSプロジェクトに対し,大規模インフラ向けのCentOS Streamにフォーカスするグループ「CentOS Hyperscalers SIG(special interst group)」の設立を申請している。
- Hyperscalers SIG (Proposed)
Hyperscalers SIGは,FacebookのクラスタオペレーションエンジニアであるDavide CavalcaとTwitterのカーネル&OSエンジニアのJustin Vreelandが中心となって結成されたグループで,SIGとして正式にCentOSボードミーティングで承認された後に初期メンバーの6名で活動を開始する予定となっている。
FacebookやTwitterがCentOSをベースにしたサービス基盤を構築していることはよく知られているが,今後はCentOS Streamから派生したOSに移行する必要から,ハイパースケーラ間でCentOS Streamのノウハウやパッケージ/ツールの共有を進め,強固なサービス基盤を維持していくことを目的としている。
FacebookやTwitterといったハイパースケーラのOSチームは,いくつかの重要なパッケージをより速いペースで独自にアップデート/メンテナンスしている。たとえばFacebookはFedoraパッケージをベースにしてCentOS用のsystemdのバックポートを開発しているが,このように公開されているハイパースケーラのノウハウは決して多くない。
Hyperscalers SIGではこうしたノウハウやツールをメンバー間で共有し,アップストリームの変更を迅速に反映したハイパースケーラ用のパッケージの数を増やし,ディストロ標準のパッケージを代替していきたいとしている。グループの方針の例として,CentOS 8ではサポートされていないiptablesをnftablesと同様にビルドしていくことなどを挙げており,"CentOSオルタナティブ"としての存在感を示していくとしている。