SONYから1月に発売されたVAIO Type Pは,
ただし,
VAIO Type P
VAIO Type Pが採用するMenlowプラットフォームは,
特徴的なのは次の点です。
- 通常のAtom環境で利用されるi945系チップセットではなく,
US15W (以下, コードネームの 「Poulsbo」 とします) という独自のチップセットが利用されている。 - チップセットに内蔵されたグラフィック機能も,
PowerVRベースのGMA500という専用のものになっている。 - 無線LANなどの一部を除き,
ほとんどの周辺機器がUSB経由で接続される。
Windows以外のOSを利用しようとする場合,
PoulsboはIntelが推進するMoblinで利用が想定されているMID
Ubuntuの場合,
単に専用ドライバを使わないと性能が落ちる,
ただし,
- GMA500用のドライバ
(xserver-xorg-video-psb) が導入されておらず, VESAで認識されている。このため液晶バックライトの明度が変更できない。 - 画面の解像度が正しく認識されず,
「引き延ばされた」 表示になっている。 - イーモバイルの各種Windows Mobile端末のRNDISによるインターネット接続共有が利用できない
(これはRNDIS経由の接続が, 8. 10以降で導入されたためです)。 - イヤフォンジャックにイヤフォンを差し込んでもミュートされない。
- 無線LANが認識されない。
- それだけでなく,
有線LANも認識されない(!!)
特に最後の2つが強烈な問題で,
8.
- 注1)
- 同じPoulsboドライバを利用しているDell Inspiron Mini12に至っては,
BIOS上でVESA関連の初期化が行われていないため, vesaドライバで動作させることすらできないようです。Mini12でUbuntuを利用したい場合, コンソール画面でUbuntu MobileチームのPPAを利用する設定を行うか, Dellのプリインストール版Ubuntuを利用する必要があります (プリインストール版であればPPA経由のものと同種のxserver-xorg-video-psbが導入されており, きちんと動作します)。なお, 厳密に表現するとPoulsboのグラフィック機能を正しく利用するにはxserver-xorg-video-psbだけでなく, Kernel ModuleとしてDRMが必要です。さらにXServer1. 6などへの対応も終わっていませんので, 8. 04向けのドライバを8. 10・ 9. 04などへ流用するには少々高いハードルを越える必要があります。 - 注2)
- xserver-xorg-video-psbが利用できないとMIDなどでは致命的なため,
9. 04リリースに向けてDKMSを利用したドライバパッケージングが行われる予定です。9. 04のリリースに間に合うかどうかは不明ですが, うまく進めば8. 04・ 8. 10などにもバックポートされ, より容易にPoulsboチップセット環境を利用できるようになる見込みです。なお余談ながら, 9. 04ではモバイル向けの興味深い機能として 「Faster Boot From Image」 が搭載される*予定*で, うまく搭載されればType P内蔵のInstant Boot並の高速起動が実現できるかもしれません (……が, うまく搭載されても, 一部のハードウェアではバグに遭遇する可能性が高そうな機能ではあります)。
おことわり:
筆者が所持しているVAIO Type Pは以下のBTO構成となっています
- CPUをAtom Z540へ変更
- ストレージを64GB SSDへ変更
- Bluetooth搭載
- Webカメラ搭載
- ノイズキャンセリングヘッドホン搭載
- ワイヤレスWAN・
ワンセグチューナーなし - 英語キーボード
- 注3)
- 実際にハードウェアの差異を確認したわけではありませんが,
BTOメニューに 『ノイズキャンセリングヘッドホン 「なし」 をお選びの場合, ノイズキャンセリング機能は本体に搭載されませんのでご注意下さい』 という記述があり, 構成によってハードウェアが異なると思われます。