Ubuntu Weekly Recipe

第140回UbuntuのインストールCD入手方法いろいろ(1)

Ubuntuをインストールする方法はさまざまですが、一般的にはCDが使われます。今回はCDを入手するいろいろな方法を紹介します。

インターネット上からHTTPでダウンロード

まずは一番よく使われているであろうHTTPでのダウンロードです。

UbuntuのCDを作成するために必要なCDイメージと呼ばれるデータは、Ubuntu.comのダウンロードページや、日本語Remixの場合はUbuntu Japanese Teamのダウンロードページからダウンロードできます。

CDイメージが正しくダウンロードされたかを確認するにはMD5などのハッシュを使います。日本語Remixの場合はmd5sumの値のみが公開されているので、次のようなコマンドを実行して値を求めます。

$ md5sum ubuntu-ja-10.04-desktop-i386-20100512.iso

出力された値がダウンロードページに記載されている値と一致するか確認します。一致しない場合はダウンロードに失敗しているので、ダウンロードをやり直すか、後述のBitTorrentを使ってください。

Netbook EditionやServer Editionなど、Ubuntu.comからダウンロードするCDイメージの場合は、MD5の他にSHA1やSHA256が使えます。また、ハッシュとCDイメージの対応リストが提供されている場合は、ハッシュの計算と照合が同時にできます。そこで、SHA256のハッシュのリストを取得して、ダウンロードしたファイルと照合してみましょう。ダウンロードしたディレクトリに移動して、次のようにcheckオプションでリストを指定して実行します。

$ wget http://jp.releases.ubuntu.com/10.04.1/SHA256SUMS
$ sha256sum --check SHA256SUMS

出力の中に次のような行があれば、正しくダウンロードされています。

ubuntu-10.04.1-desktop-i386.iso: 完了

次に、Windows 7の場合はダウンロードしたCDイメージをダブルクリックするか、右クリックして「ディスクイメージの書き込み」を選択、Ubuntuの場合は右クリックして「書き込む」を選択するとCDに書き込まれます。

たいていのCDライティングソフトウェアは、書き込み後に正常にデータを記録できたかチェックサムを利用して確認してくれます。書き込み作業後に確認したくなった場合には、CDから起動して「ディスクの破損をチェックする」を選択すると、正しく作成されているかをチェックできます図1⁠。後述のように、物理的にCDを入手した場合にも有効です。

図1 CD単体で、チェックサムを確認できる。エラーが出る場合は、書き込みに失敗している可能性が高い
図1 CD単体で、チェックサムを確認できる。エラーが出る場合は、書き込みに失敗している可能性が高い

物理的にCDを入手する

雑誌・書籍

Software Design 2010年7月号Ubuntu Magazine Japan vol.04Ubuntu Linux 入門キット 10.04対応[1]など、雑誌や書籍に付属する形で入手できます。インターネット接続の速度が芳しくない場合にも役立つでしょう。

Canonical Store

第138回で紹介したCanonical Storeでも、5枚単位で購入できます。

Ubuntu Japanese Teamが開催・参加するイベント

オフラインミーティングなどのUbuntu Japanese Teamが開くイベントや、オープンソースカンファレンスの中でUbuntu Japanese Teamが出展しているイベントでは、Ubuntuの各種CDを配布しています。LoCoチームとして送られてくるCDの他に、筆者特製レーベル[2]の日本語RemixのプレスCDを用意しています。

BitTorrentを利用してダウンロード

ここからはインターネット上からUbuntuのCDイメージを取得する方法を掘り下げていきます。

BitTorrentはデータをダウンロードするだけでなく、ダウンロードしたデータを他の人にも送信するという特徴を持っています。そして、多くの場合、HTTPでのダウンロードより速くダウンロードできます。

Ubuntuでは、CDイメージのリリースサーバに置かれているTorrentファイル(.torrent)をクリックすると、標準のBitTorrentクライアントTransmissionを使ってダウンロードできます。

Transmissionの基本的な操作方法は、Ubuntu Japanese Wikiを見ていただくとして、ここではTransmissionの少し違った使い方を紹介しておきます。

Transmissionは通常のGUIだけでなくWebインターフェースを持っています。設定画面で「Webクライアントを有効にする」にチェックを入れると使えるようになります図2⁠。初期設定では、ローカルホストからの接続のみ受け付けるようになっていますが、"192.168.100.*"のようにアドレスを追加すると、ローカルネットワーク内のマシンからWebインターフェースに接続してTransmissionを遠隔操作できるようになります。

図2 設定画面でWebクライアントを有効にする
図2 設定画面でWebクライアントを有効にする

使用しているマシン上で動いているTransmissionに接続する場合は、ブラウザのアドレス欄に"http://localhost:9091/"と入力します。リモートのマシンに接続するにはそのマシンのアドレスを使って"http://remote-machine.local:9091/"のように入力します。Webインターフェースでも通常のGUIとほぼ同じ機能を使えます図3⁠。

図3 Webインターフェースに接続してリモート操作できる
図3 Webインターフェースに接続してリモート操作できる

また、Transmissionにはコマンドラインインターフェースも用意されており、transmission-cliパッケージをインストールすると次のようにコマンドラインからBitTorrentでのダウンロードを開始できます。

$ transmissioncli http://jp.releases.ubuntu.com/10.04.1/ubuntu-10.04.1-desktop-i386.iso.torrent

ところで、外出先でBitTorrentのダウンロードをセットでき、帰ってきたときにはダウンロードが終わっているとうれしいと思いませんか。外出時に自宅のマシンにBitTorrent開始の指令を送るにはどうしたらいいでしょう。SSHなどを使うためにルータの設定変更が必須でしょうか。そんなことはありません。Ubuntu OneやDropboxといったサービスを組み合わせれば、ルータの設定変更は必要ないのです。

まずは、BitTorrentでダウンロードするマシンのTransmissionの設定を変更します。⁠torrentファイルを自動的に加える」にチェックを入れ、Ubuntu OneやDropboxの支配下にあるフォルダを指定します図4⁠。torrentファイルが追加されたらすぐにダウンロードを始めたいので、⁠オプション・ダイアログを表示」のチェックも外しておきます。

図4 Transmissionの設定で監視フォルダを設定しておく
図4 Transmissionの設定で監視フォルダを設定しておく

これだけ設定しておけば、外出先でマシン上のUbuntu OneやDropboxのフォルダにtorrentファイルを保存するだけで、自宅のマシンにも同期され、BitTorrentのダウンロードが自動で開始されます。Ubuntu OneやDropboxはWebインターフェースからもファイルをアップロードできるので、クライアントソフトウェアがインストールされていない環境でもこの方法を使えます[3]⁠。

Ubuntuでコマンドラインから利用できるその他のBitTorrentクライアントとしてaria2があります。aria2パッケージをインストールして、次のように実行します。

$ aria2c http://jp.releases.ubuntu.com/10.04.1/ubuntu-10.04.1-desktop-i386.iso.torrent

aria2はBitTorrentだけでなく、Metalinkを使ったダウンロードにも対応しています。Metalinkは複数のプロトコル/サーバからの同時ダウンロードを特徴としていますが、Ubuntuで用意されているmetalinkファイルでは同時ダウンロード数を1、つまり並列ダウンロードをしない設定になっています。ですが、あるプロトコル/サーバに接続できないときでも、別のプロトコル/サーバに切り替えダウンロードするという特徴は健在です。

aria2でMetalinkを使うには次のように実行します。なるべく日本のサーバを使うようにオプションを追加しています。

$ aria2c --metalink-location=jp ubuntu-10.04.1-desktop-i386_dev.metalink

metalinkファイルに記述された内容にしたがって、まずはBitTorrentでのダウンロードを試し、失敗した場合は、日本のサーバをpreferenceの高い順から試していきます。それでも失敗する場合は、日本の以外のサーバにも接続しにいきます。このように、ダウンロードできるまで定義されたあらゆるプロトコル/サーバを試すので、BitTorrentだけという場合や、1つのサーバからのHTTPダウンロードだけという場合に比べて、ダウンロードを完了できる可能性が高くなります。

一般的に、BitTorrentやMetalinkでダウンロードした場合には、クライアントソフトウェアが自動でハッシュをチェックするので、ダウンロード完了後に手動でMD5SUMなどを照合する必要はありません。

また、最近ではルータやNASといった製品にBitTorrentでのダウンロード機能がついているものも多いです。筆者所有のBuffalo社製WZR-HP-G301NHにもUSBメモリを接続し、BitTorrentでUbuntuのCDイメージをダウンロードできました図5注4⁠。

図5 ルータやNASにBitTorrent機能が付いていることも
図5 ルータやNASにBitTorrent機能が付いていることも

CDイメージのダウンロード方法はこれだけではありません。次回も引き続き紹介していきます。

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