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第554回 Athlon 200GEで低価格コンパクトPCを構築する

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毎年年末年始にPCを組んでいる気がしますが,気にせず今年も参りましょう。今回はAMDのローエンドCPUを使用してコンパクトなPCを組んでみました。

昨今のPC事情

自作PCはもちろんPC業界全体の問題ですが,2018年秋ごろから現在,さらに今後もしばらく続きそうな傾向として,IntelのCPU供給量が著しく不足しています※1⁠。自作PCショップに行ってもIntel CPUは欠品,あってもハイエンドモデルのみ,価格は秋頃の1.5倍,さらにCPUのみでの単体販売は不可な場合もあり……など散々な現状です。

※1
このあたりの詳しい理由は,ascii.jpの記事をご覧ください。この状況が年末まで続くであろうことが示唆されています。

Intelとしてはハイエンドモデルを優先的に供給するため,ミドルレンジ・ローエンドモデルの供給状況は厳しいものになります。あくまで筆者の観測によるものですが,特にPentiumブランドのCPUは壊滅的にものがありません。

他に特筆すべきこととしては,DRAM(メインメモリ)とNAND(フラッシュメモリ)の値下がりがあります。ただ,これは今後しばらくこの状況が続くと思われるので,急いで購入することもないでしょう※2⁠。しかし今はPCの組み時といえます。もちんIntelのCPUが必要ない場合ですが。

※2
あくまで筆者の独断と偏見ですが,今後世界的に景気が下降傾向であること,また円高にもなること,CPUがないのでPCが製造できず,PCパーツが在庫過多になるであろうという予測から,価格が下がり続けると考えています。ただし2月や3月は決算月であることが多く,またモデルチェンジの時期でもあるので,まさに今が狙いめともいえます。

ではAMDのCPUはどうかというと,一時期よりは若干価格は上がっているものの供給状況は潤沢で,PCを組むならAMDで決まり,という感じになっています※3

※3
ただし筆者の主観によるもので,少なからぬ人たちがIntelのCPUでないと購入しないようです。

IntelのPentiumに相当するモデルとして,AMDはAthlon 200GEAthlon 220GEAthlon 240GEを用意しています。クロック周波数は3.2GHzと控えめですが,2コア4スレッドで7,000円弱で購入できます(本記事の公開時点⁠⁠。

そこで今回は,昨今の事情を鑑みて最廉価のAthlon 200GEで1台組んでみることにしました。Athlonという懐かしいブランド名も嬉しいです。

なおAthlonの上位モデルであるRyzenでPCを組みたい場合,あるいはより細かくパーツの選択を知りたい場合には,Software Design 2019年2月号に掲載されているUbuntu Monthly Report「第105回 UbuntuユーザのためのRyzen PC自作入門」もご覧ください。

パーツの構成

組んだPCの構成は次のとおりです。

種類 メーカー 型番
CPU AMD Athlon 200GE
マザーボード ASRock A320M-ITX
メモリ UMAX DCDDR4-266-16GB HS
SSD Western Digital WDS250G2X0C
ケース In Win IW-BQ656/150N-U3

メモリは8GB*2の16GBですが,実は4GB*2の8GBしか認識していません※4⁠。よって選択するなら4GB*2モデルのほうがいいでしょう。現在はもっと安いメモリが多数ありますが……。

※4
メモリを16GB以上使用する予定があるなら,CPUをもう少し上のモデルを選択したほうがいいのではないかと思います。

このSSD(NVMe SSD)は型落ちしたもののハイエンドモデルであり,通常はここまで必要ないでしょう。そのため,より安価なモデルを選択してもいいのですが,相性問題が発生する可能性もあるので悩ましいです。

実は今回のパーツ選択のキモはケースです。IW-BQ656/150N-U3は非常にコンパクトで,厚手の辞書を2まわり大きくしたくらいのかなりのコンパクトサイズです。ディスプレイの裏に貼り付けるVESAマウントにすら対応するくらいです。

ケースがコンパクトな分,使用できるCPUクーラーに強い制限があります。IW-BQ656/150N-U3でのデータは見つかりませんでしたが,ほぼ同じサイズ(やや大きい)IW-BQ696Sでは43mmまでで,実際に組み立てたところを見てもほぼ同じだと思われます。 この43mm以下のCPUファンはあまり多くなく,AMDのCPUではTDPが35WのAthlon 200GE付属のCPUファンがこれに該当します。ここにもこのCPUを選択した理由があります。

このケースとマザーボードで組むと,メモリと電源ケーブルが接することになります。影響はないはずですが,あまり気持ちのいいものではないので今回選択したようなヒートスプレッダ付きのメモリのほうがいいのかなと思いました。

CPUの制限とBIOSのバージョン

Athlon 200GEは廉価版のCPUということもあり,それなりに制限がつきます。またAMDは伝統的に一つのソケットを長く使いますが,新しいCPUに対応するためには新しいBIOS※5のバージョンが必要です。このあたりの解説をしていきます。

※5
UEFI BIOSのことをここではBIOSと表記します。

Athlon 200GEの発売は2018年9月,A320M-ITXの発売は2018年5月ですが,初期BIOSからAthlon 200GEに対応しているようです。前述のAthlon 200GEの制限の一つは,映像出力のポートが3つから2つに減ることで,初期BIOSでは2つあるHDMIポートのうち1つが使用不可になります。しかし2018年10月にリリースされたBIOSバージョン5.00で調整され,2つのHDMIポートが両方とも使用できるようになりました(実機で確認済⁠⁠。よって最低でも5.00へのバージョンアップは行っておくべきといえます。ちなみに筆者が購入したA320M-ITXはあらかじめ5.00になっていました。

2019年1月現在ではさらに5.30というバージョンがリリースされていますが,これが少々曲者です。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese TeamとLibreOffice日本語チームのメンバー。LibreOffice,VirtualBox,Joplin,Budgieデスクトップなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。