今回は10月17日にリリースされたUbuntu 19.10の新機能を紹介します。
Ubuntu 19.10
予定どおり10月17日にUbuntu 19.10(Eoan Ermine)とそのフレーバー(公式派生版)がリリースされました(Ubuntu Weekly Topics 10月18日号)。今回はUbuntu 19.10の新機能についていくつかピックアップして紹介します。
なお、全体の流れやフレーバーの変更点に関しては、『Ubuntu Monthly Report 第114回 Ubuntu 19.10の変更点』(Software Desgin 2019年11月号)もご一読いただけると幸いです。
Ubuntu 19.10 ≒ GNOME 3.34
Ubuntu 19.10はおおむねGNOME 3.34になっていますが、多少の差異もあります。というわけでGNOME関連コンポーネントのバージョン表を掲載します。
表1 Ubuntu 19.10のコンポーネント(GNOME関連のみ)
3.28.x |
gnome-todo |
3.30.x |
gnome-software |
3.32.x |
file-roller, gnome-menus, gnome-power-manager, gnome-system-monitor, mousetweaks, seahorse, zenity |
3.33.x |
gcr |
3.34.x |
adwaita-icon-theme, baobab, cheese, eog, evince, evolution-data-server, gdm3, gedit, gnome-bluetooth, gnome-calendar, gnome-control-center, gnome-desktop3-data, gnome-disk-utility, gnome-font-viewer, gnome-getting-started-docs, gnome-initial-setup, gnome-keyring, gnome-mahjongg, gnome-mines, gnome-online-accounts, gnome-session-bin, gnome-settings-daemon, gnome-shell, gnome-startup-applications, gnome-sudoku, gnome-terminal, gnome-user-docs, mutter, nautilus, orca, simple-scan, totem, yelp |
gnome-todoは3.28が最新版です。3.32.xが多めに見えますが、seahorseを除けば最新版です。また、これまでもコンポーネントのバージョンの変化を紹介してきましたが、本来入れるべきであったgcrを掲載していなかったため、今回から入れることにしました。
ここで注目すべき点は2点です。一つは、19.04の表にはなかったgnome-system-monitorが追加されました。19.04ではsnapパッケージで提供されていましたが、19.10ではDebianパッケージに戻されたということです。
もう一つはgnome-software(Ubuntuソフトウェア)で、19.04に引き続き19.10でも3.30据え置きになりました。これは安定性に問題ありというバグがいまだに解消されないのが理由です。3.30から3.34の間にもgnome-softwareそのものにさまざまな機能が追加されているので、20.04 LTSではアップデートされることを期待したいところです。
ほかに注目したい点として、「設定」-「共有」における「メディア共有」の追加があります(図1、図2)。表には挙げていませんがバックエンドはRygelで、この19.10からあらかじめインストールされるようになりました。
実験的なZFSサポート
Ubuntu 19.10の一番大きな新機能は、ZFSの実験的なサポートでしょう。Ubuntu Weekly Topics 2019年8月9日号で既報のとおり、インストールのオプションにZFSでフォーマットするオプションが新設されました(図3)。もちろんzfsコマンドでスナップショットを作成したり、プールの状態を確認したりできます。zfsコマンドの使い方に関しては、いずれ誰かがこのRecipeに書いてくれることを期待しましょう。
カスタムアイコンフォルダー
カスタムアイコンフォルダーは、GNOME 3.34というかGNOME Shellの新機能です。「アクティビティ」の「すべて」は基本的にはアプリケーションのアイコンが並んでいますが、「ユーティリティ」だけはフォルダーになっています。今までは好きにフォルダーを作るのは難しかったのですが[1]、この新バージョンからはアイコンのドラッグ&ドロップで簡単にフォルダーが作れるようになりました。
図4はLibreOffice関連のアイコンをまとめるため、ドラッグ&ドロップしているところです。フォルダーの名前は好きに変更できます(図5)。もちろんフォルダーから外に出すこともでき、フォルダーからアイコンがなくなったらそのフォルダーは削除されます。
Yaruテーマの更新
Ubuntu Weekly Topics 2019年9月13日号で既報のとおり、Yaruテーマにも大きく手が入りました。最終的にデフォルトはYaruのままで、Yaru darkとYaru lightを選択できるようになりました。選択できるとはいってもGNOME Tweakなどのアプリケーションを別途インストールする必要があります(図6)。
NVIDIAのプロプライエタリなドライバーの同梱
Ubuntu Weekly Topics 2019年5月31日号で既報のとおり、NVIDIAのプロプライエタリなドライバーが同梱されました。しかも390/430/435の3つのバージョンで、古いGPUから新しいGPUまで対応しています。
これにより、ダウンロード時間の短縮(ひいてはインストール時間の短縮)が期待されます[2]。
i386アーキテクチャについて
i386アーキテクチャについてはUbuntu Weekly Topics 2019年6月28日号のとおりで、特に変更はありません。Wineや一部のゲーム、プリンタードライバーの使用には問題ない程度のパッケージは残されています。