Ubuntu Weekly Recipe

第632回 AMD Ryzen 7 PRO 4750Gを使用する[後編]

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

メモリベンチマーク編

今回はPhoronix Test Suiteでメモリの速度も計測してみることにしました。複数のベンチマークを走らせてもほぼ同じ傾向だったので,図9だけ紹介します。

図9 Tinymembenchのベンチマーク

画像

メモリコントローラーはCPU(APU)に内蔵されているのでマザーボードによる差は考えにくく,また同じメモリを使用しているので純粋にCPUによるメモリ性能の差であり,VRAMと共存するAPUは不利に働いているのではないかと思われます。

ということは,より高速なメモリを使用すればAPUの全体的なパフォーマンスが向上することも期待できます。

GPUベンチマーク編

使用したビデオカード

Ryzen 7 PRO 4750はローエンドのビデオカードと同等のGPU性能があると言われています。ローエンドとはいえ本当に画面が出ればいいモデルではなく,1万円前後のモデルと本当に同等の性能があるのであれば,コストパフォーマンスがいいということになります。

そこでRyzen 5 3400GとRyzen 7 4750Gはもちろん,筆者が所有する3つのローエンドビデオカードと比較してみました。具体的には次のモデルです。

メーカーはすべてMSIです。

ケースはそのままだと入らないため,IW-BL057B/300Bに変更しています。

GeForce GT 1030 2G LP OCとGeForce GTX 1050 2GT LPではカーネルのバージョンを5.4に戻した上で,NVIDIAのプロプライエタリなドライバーを使用しています。

GPUベンチマーク

GPUのベンチマークはやはりPhoronix Test Suiteを使用しました。ただ,正直なところGPUのベンチマークはこれというのがあまりなく,実態を表していると思われる結果は図10の2つのみでした。

図10 3Dベンチマーク2つ

画像

「AMD Picasso」はRyzen 5 3400G,⁠Gigabyte AMD Renoir」はRyzen 7 4750G,⁠MSI AMD Radeon 540」はRadeon RX 550 4GT LP OCの結果です。

図のとおりGeForce GTX 1050 2GT LPが頭一つ飛び出ているのを除いてはどんぐりの背比べです。ここまで似ているとドライバーがハードウェアの性能を引き出していないのではないかという疑惑を持ちます。

結論

これらの結果からわかることは,純粋なCPU性能を求めてRyzen 7 PRO 4750Gを購入すると性能の悪さを感じてしまうということですが,ビルドマシンでもない限りはあまり気にすることはなく,それよりもビデオカードを必要としない消費電力の少なさを重視すべきでしょう。

GPU性能に関しては,1万円前後のビデオカードを購入する必要はまったくないことがわかりました。ただしこれは前モデルのRyzen 5 3400Gでも同じ傾向です。

Ryzen 7 PRO 4750Gは(あくまでも今回の構成では)Ryzen 5 3400Gよりも低消費電力で,アイドルは18ワット前後で5ワット前後消費電力が低く,高負荷時は85ワット程度で3ワット前後高いくらいでした。コストパフォーマンス,ワットパフォーマンスは素晴らしくよく,Ryzen 5 3400Gから乗り換える価値は充分にあるといえるでしょう。前述のとおりWraith Stealthという必ずしも強力とはいえないリテールクーラーでも充分に冷えるほど発熱が低いのも特筆すべきことです。

ただし現段階では使えるマザーボードが少なく,入手性もいいとはいえないので,そのあたりの踏ん切りがつかないうちはいつか来るであろうリテール版の販売を待つのがいいのかもしれません。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamのメンバー。VirtualBoxなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。