Ubuntu Weekly Recipe

第638回 Ubuntuに「普通に」ログインするいろいろな方法

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リモートからグラフィカルログインする

デスクトップユーザーであっても,遠隔からネットワーク経由でログインしたいという要望が出てくるでしょう。端末操作に慣れたユーザーであれば,sshでログインして操作するのが常道です。⁠X転送 over SSH」の機能を使えば(sshコマンドに-Xオプションを付けてX forwardingの機能を有効にすれば)17.10から有効になったWaylandセッションであっても,リモートマシンのXクライアントを立ち上げることは可能です※5⁠。しかしながら「デスクトップ環境」をそのまま使いたいというユーザーもいるかもしれません。

※5
SSHを利用した遠隔マシンの操作などは第617回のSOCKSを利用してSSHのみで簡易VPNを構築するも参考になるでしょう。

いわゆるリモートデスクトップやVDIと呼ばれる機能を使う方法はいくつか存在します。Ubuntuだとよく出てくるのが次のような用語です。

  • VNC
  • RDP
  • SPICE
  • XDMCP

もっとも簡単かつ確実に動くのがVNCを使う方法です。リモート側にVNCサーバーを,ローカル側にVNCクライアントをインストールすることになります。VNCに対応したサーバー・クライアントは各OS毎にたくさんありますので,肌に合うものを使うと良いでしょう。デスクトップ版のUbuntuにはVNCサーバーとしてVinoが,VNCクライアントとしてRemminaが最初からインストールされています。よってシステム設定の「共有」から簡単にリモートからVNC経由でのアクセスを許可できます。

まずはサーバー側の設定です。システム設定から「共有」を開いてください。

図3 右上のスライドボタンをオンにし,⁠画面共有」をダブルクリックする

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図4 接続可能なネットワークをオンにする

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「アクセスオプション」には2種類の方法が存在します。

  • 「新規接続の場合はアクセス要求を必要とする」はクライアントがリモートサーバーにアクセスしようとした際,⁠リモートサーバー側」でアクセスを許可するかどうかの通知が表示されます。リモート側にもクライアント側にもデスクトップの前にユーザーが存在することを想定した設定です。
  • 「パスワードを要求する」はリモートサーバーにアクセスしようとした際にクライアント側でパスワードを入力する方法です。こちらはリモートサーバー側でユーザーが接続のたびに許可する必要がないため,一人で複数のデスクトップを使うことを想定した設定です。

これで指定したネットワーク経由でリモートデスクトップできるようになりました※6⁠。

※6
同じ設定画面にある「メディア共有」はいわゆるメディアサーバー機能です。有効化したPC上の音楽や動画をネットワーク越しに配信できます。メディアサーバーにはRygelが使われます。最近のUbuntuなら最初からインストールされているはずです。SSHサーバーがインストールされているマシンなら「リモートログイン」という項目も追加されます。

クライアントは「Remmina」がインストールされています。アクテビティからRemminaを起動し,左上のドロップダウンメニューから「VNC」を選択,上記画像のアドレス(上記の例だと「ubuntu-ax2.local⁠⁠)を入力して,エンターキーを押します。

図5 接続先のデスクトップで「許可するかどうか」の通知が表示されるので「許可」を押す

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上記通知は,通知の上にマウスオーバーしないと「拒否」⁠許可」のボタンが表示されないので注意してください。

図6 無事にリモート接続できた

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ちなみに上記の流れは,リモート側もあらかじめログインしていることが前提となります。ログイン画面も含めて転送するとなると,さらに細かい設定が必要になります。

リモートデスクトップはそれだけでひとつの大きなカテゴリーになるので,詳しいことは次のRecipeなどを参照してください。

特にリモートデスクトップは,インターネット越しに接続しようとすると,セキュリティ周りや通信効率化の設定が重要になります。環境・用途によってベストな方法は異なるため,自分好みの設定を模索してみるのも楽しいでしょう。

仮想コンソールから直接ログインする

ローカルのPCからなら「Ctrl-Alt-Fx」を押すことで別の「仮想コンソール」に切り替えられます。たとえば何らかの理由でデスクトップの操作がうまくできなくなった場合でも「Ctrl-Alt-F3」で別のコンソールに切り替えてログインすれば,デスクトップを復旧できるかもしれません。

最近のUbuntuでは最初のコンソール/dev/tty1をGDMが利用し,ユーザーがグラフィカルログインすると次の未使用のコンソール(大抵は/dev/tty2を使用します。つまり「Ctrl-Alt-F3」を押せば,誰も使っていない/dev/tty3に切り替わり,CLIでログインできるというわけです。元のGUIに戻るためにはCtrl-Alt-F2を押します※7⁠。

※7
ログインした状況に異なるため,大抵F1からF7あたりまでを順番に試すことになります。

ちなみにCLIのログイン画面はsystemdがagettyコマンドを起動することで管理しています。一度でも使っていない仮想コンソールに切り替わって始めてsystemdがagettyを起動する仕組みになっているのです。

ログインした環境はただのCLI環境です。またそのままだと日本語は入力はもちろん表示もできないので注意してください。一般的には緊急避難的な使い方がメインになるでしょう。もちろんきちんと準備すれば常用することも可能です。デスクトップ環境なんて重いものは不要な人にとっては心強い仕組みとなります。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。