Ubuntu Weekly Recipe

第643回Raspberry Pi 4でデスクトップ版Ubuntu 20.10を使用する

今回はRaspberry Pi 4の8GBモデルでUbuntu 20.10から提供されるようになったデスクトップイメージを使用する方法を紹介します。

第624回の再読を

本記事を読み始める前に、まずは第624回 Raspberry Pi 4にデスクトップ版Ubuntuをインストール』を再読してください。重要なことはだいたいそちらに記述しています。

Raspberry Pi 4用のUbuntu(デスクトップ)イメージ

第624回の予言どおり、あるいは第640回で少し紹介したように、Ubuntu 20.10からRaspberry Pi向けのUbuntu(デスクトップ)イメージがリリースされました。

このイメージはRaspberry Pi向けとはいいながら、メモリーが4GB以上のモデルに対応ということで、現状実質Raspberry Pi 4専用です。またメモリーが少ないモデルを所有している場合は、買い直しが必要です。とはいえ2GBモデルでも動かすくらいはできるようには思います。

用意するもの

用意するものは第624回の2ページ目で取り上げたときと、おおむね同じです。Raspberry Pi 3を使用している場合であってもいろいろと買い足さないといけないのはしんどいところです。

Raspberry Pi 4そのものは前述のとおりメモリーが4GB以上のモデルのみの対応です。またよく言われているようにSoCの放熱が必要です。いろいろな解決方法がありますが、筆者はMiuzei 最新 Raspberry Pi 4 ケース ラスベリー パイ4 5.1V 3A USB-C 電源アダプター+冷却ファン+ヒートシンク ラパイ 4 Model B対応を購入しました。今のところは安定動作しています。

今回はUSBブートにも挑戦していますので、できればUSBメモリーも用意してください。

起動イメージの作成

起動イメージの作成にはやはり第624回で紹介された「Raspberry pi Imager」を使用します。Ubuntu Softwareで「raspberry」を検索するか、端末を起動してsudo snap install rpi-imagerを実行するかでインストールを行ってください。

Raspberry pi Imagerを起動後、⁠CHOOSE OS」「Ubuntu」を選択すると「Ubuntu Desktop 20.10 (RPi 4/400)」がありますので、これを選択してください図1⁠。⁠400」は少し前に話題になったキーボード一体型モデルです。

図1 ⁠Ubuntu Desktop 20.10 (RPi 4/400)」を選択する
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「SD Card」はmicroSDカードではないものも認識しているので、間違えずにSDカードを選択してください。

あとは「WRITE」をクリックし、待つだけです図2⁠。

図2 ⁠Operating System」「SD Card」を選択すると「WRITE」を押せるようになる
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起動と初期設定

microSDカードをRaspberry Pi 4に接続し、電源を入れます。すると自動的にoem-configが実行され、いくつかの初期設定を行います。

インストールの流れはどこかで見たことはあると思いますが、HDMIキャプチャーを使用してスクリーンショットを取ったので紹介します。このような事情でやや見にくいですがご了承ください。

最初は図3で、言語を選択します。図4はキーボードレイアウトです。図5は地域の設定です。図6はユーザーとパスワードです。

図3 言語の設定
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図4 キーボードレイアウトの設定
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図5 地域の設定
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図6 ユーザーの設定
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ここまで済ませ、しばらく待つとログイン画面が表示されます。待ち時間はmicroSDカードの速度に依存します。

ログイン後

ログイン後、言語で日本語を選択したにもかかわらずメニューが英語になっていることに気づきます。⁠Language Support」を起動すると「言語サポートが完全にはインストールされていません」が表示されるので、⁠インストール」をクリックし図7⁠、しばらく待ちます。ログアウトしてログインするとメニューが日本語になります。

図7 ⁠詳細」をクリックするとパッケージが足りないので日本語メニューが表示されないことがわかる
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このあたりは第624回と比較していかに簡単になったかがわかります。

「設定⁠⁠-⁠このシステムについて」を開くと、⁠プロセッサー」が空欄なのでRaspberry Pi 4で動作していることがわかりにくいですが、⁠グラフィック」「V3D」と表示されており図8⁠、これはBroadcomのグラフィックスドライバーであることがわかります。

図8 Raspberry Pi 4で開いた「このシステムについて」
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USB起動

Raspberry Piシリーズは前からもUSB起動が行えていましたが、なかなかに煩雑でした。しかし、今回からはとても簡単になったので紹介します。

なお、USB起動の方法は(これまで説明してきたことも含めて)マニュアル化されており、原則としてはこれに従って行います[1]⁠。

まずはEEPROMのバージョンをチェックします。端末を起動し、次のコマンドを実行してください。

$ sudo vcgencmd bootloader_version

バージョンが「Sep 3 2020 13:11:43」ないしこれより新しい場合は次に進んでください。

もしこのバージョンより古い場合は次のコマンドを実行してください。

$ sudo rpi-eeprom-update -a

EEPROMのバージョンが上がるので、再起動してください。

ようやくEEPROMの設定を変更します。次のコマンドを実行してください。

$ sudo vcgencmd bootloader_config > bootconf.txt
$ sed -i -e '/^BOOT_ORDER=/ s/=.*$/=0xf41/' bootconf.txt
$ rpi-eeprom-config --out pieeprom-new.bin --config bootconf.txt /lib/firmware/raspberrypi/bootloader/critical/pieeprom-2020-09-03.bin
$ sudo rpi-eeprom-update -d -f ./pieeprom-new.bin

完了したら電源を落としてください。

EEPROMの設定変更の前後どちらでもいいのですが、USBメモリーを用意し、⁠Raspberry Pi Imager」で起動イメージを用意します。もちろん「SD CARD」のところでmicroSDカードではなくUSBメモリーを選択します。

終了後USBメモリーをRaspberry Pi 4に接続し、microSDカードを取り外してから電源を入れてください。

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