Ubuntu Weekly Recipe

第624回 Raspberry Pi 4にデスクトップ版Ubuntuをインストール

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今回は,GNOME Shellが搭載されたデスクトップ版のUbuntu 20.04 LTSをRaspberry Pi 4にインストールしてみましょう。

ということで今回は最近登場した「Raspberry Pi Imager」でサーバー版のUbuntuをRaspberry Pi 4にインストールした上で,⁠Desktopify」を用いてデスクトップ版に変更する手順を解説しましょう。

Raspberry Pi ImagerとDesktopify

Raspberry Pi 4が発売されると同時に買ったはいいものの,特に使いみちがあるわけでもなく旧機種と一緒に死蔵しているラズパイコレクターの皆さま,こんにちは。

Ubuntu Weekly Topicsの2020年6月12日号でも少し触れているように,先日Ubuntu開発者のポッドキャストにおいて,デスクトップ版のUbuntuが将来的にRaspberry Piをサポートする可能性に言及し,話題になっていました。そこで今回は,実際に最新のUbuntuをRaspberry Piにインストールする手順を紹介しつつ,デスクトップ版のUbuntuをサポートするための流れについて解説しましょう。

まずはじめに「Ubuntu」自体は「公式にRaspberry Piをサポート」しています。これは具体的にはRaspberry Piの第二世代以降のモデル向けに,Ubuntu Serverのプリインストールイメージを配布しているということです。あと少し毛色は違いますが,IoT向けのUbuntu CoreもRaspberry Piをサポートしています。UbuntuはARMv7世代以降のアーキテクチャーしかサポートしていないため,第一世代のRaspberry PiやCompute Module,それにRaspberry Pi Zeroはサポートしていません。

つまり一般的なUbuntuとして公式に配布しているのはサーバー版のイメージのみであり,AMD64向けのようにデスクトップ版のインストーラーは配布していません。ただし公式リポジトリにarm64向けのパッケージは存在するので,手作業でサーバー版からデスクトップ版パッケージ一式をインストールすることは可能なのです。

また,Ubuntu MATEなど各フレーバーごとにRaspberry Pi用デスクトップ版イメージを配布している例も存在しますが,今回はGNOME Shellを採用しているUbuntu Desktopを使うことにします。

公式イメージ書き込みツール「Raspberry Pi Imager」

Raspberry Piに何かOSをインストールするときは,一般的にインストーラーやインストール済みのイメージをダウンロードした上で,SD/microSDカードに書き込むところから始まります※1⁠。これはRaspberry Piの公式OSとなったRaspberry Pi OS(旧称:Rasbian)であっても例外ではありません。

※1
最近のモデルはUSBブートやPXEブートも可能なようですが,それはまた別の機会に。

方法はCLIのddコマンドから,GUIのEtcherまでさまざまな手順が存在します。特にEtcherはシンプルなUIから,本連載でも何度となく活用してきました。しかしいずれの方法にせよ,⁠イメージを書き込む」ことに対してそれなりの知識が必要になります。

それに対してRaspberry Pi本家では,⁠OSを書き込む」のではなく「OSを展開するためのツールをファイルブラウザー上からSDカードへコピーする」という初心者向けの手段も提供していました。いわゆるNOOBSです。ただしNOOBSはイメージのダウンロードもストレージへの書き込みもRaspberry Piが担うため,PC上でイメージをダウロード・書き込むのに比べると速度に難がありました。

そこで3月にリリースされたのが,公式のSDカード書き込みツールであるRaspberry Pi Imagerです。これはいわゆる「イメージのダウンロード」「SDカードへの書き込み」の両方に対応したツールであり,ダウンロードしながら直接SDカードに書き込むために「高速に動作する」ことを謳っています。ちなみにソフトウェアはQt製です※2⁠。

※2
過去はElectronだったようですが,いくつかの理由からQtに移行したようです。Qt版はqmlブランチで開発しているため,masterブランチにはElectron版のコードが残っているようです。

公式のダウンロードサイトでは各種OS向けのバイナリパッケージが配布されています。Ubuntuの場合はdebファイルをそのままダウンロードしてインストールできますが,非公式のsnapパッケージをインストールするほうが簡単でしょう。

$ sudo snap install rpi-imager

「Super + A」などでアプリケーション検索画面から「raspberry」で検索すると「Imager」とラベルの付いたアイコンが表示されるはずです。それがRaspberry Pi Imagerです。起動してください。

図1 ⁠CHOOSE OS」でOSを,⁠CHOOSE SD CARD」で書き込み先を選択して,⁠WRITE」で書き込むだけのシンプルなUI

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図2 Raspbery Pi OS(旧称Raspbian)だけでなくUbuntuや他のOSも選択可能

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Raspberry Pi Imagerは,Raspberry公式サイトにあるJSONファイルからダウンロード可能なOSの一覧を取得しています。UbuntuそのものはUbuntuのサイトにあるRaspberry Pi用のイメージリストを元にダウンロードするファイルなどを決定しているようです。

また任意のイメージファイルを指定することも可能です。他にもEEPROM上のデータの修復,SDカードのフォーマット機能もあります。

図3 Ubuntuはサーバー版とUbuntu Coreのそれぞれ32bit版と64bit版が用意されている

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今回は64bit版の「Ubuntu 20.04 LTS (Raspberry Pi 3/4)」を選択します。単にデスクトップを動かすだけなら32bit版でも問題ありません。

図4 書き込み先のmicroSDカードの選択

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上記の例だとUSBカードリーダー経由のmicroSDカードになります。また,当該カードにはすでにUbuntuインストーラーが書き込まれていたため,⁠system-boot」「writable」のパーティションが存在することが示されています。言い換えると,本ツールでイメージを書き込むとこれらSDカード上の既存のデータは消去されます。本当に消して良いかはあらかじめ確認しておきましょう。

デスクトップ版のUbuntuを使いたい場合,できるだけ高速でなおかつ容量の大きい(最低でも8GB以上の)microSDカードを選択してください。

図5 書き込みはファイルをダウンロードしつつ直接SDカードに書き込まれる

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図6 書き込みが完了した

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ダウンロードしたイメージは~/snap/rpi-imager/common/.cache/Raspberry Pi/Imager/lastdownload.cacheとして保存されます。snap版以外のパッケージならsnap/rpi-imager/common/が省かれたディレクトリになります。よって2回目以降に同じOSを書き込む場合はさらに高速になるはずです。

これでUbuntuイメージのダウンロードと書き込みが完了しました。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。