Ubuntu Weekly Recipe

第652回 キミはMirを憶えているか

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Mirを試してみる

ここからはMirを実際に試してみましょう。Mirはディスプレイサーバーですが,ディスプレイサーバーだけ動いてもあまり面白みはありません。IoT向けキオスクモードでMirサーバーを起動し,その中で組み込み向けとして移植されたWebKitベースのウェブブラウザーであるであるWPEを動かしてみましょう。

Ubuntuデスクトップならおおよそどの環境でもMirが動くはずです。今回はX Winodws Systemが動いているマシンを想定しています。他にはRasyberry Piでも同様でしょう。もちろんUbuntu Coreで動かす方法もあります。

UbuntuデスクトップへのMirのインストール方法は,公式リポジトリのパッケージを使う方法と,PPAのより新しいパッケージを使う方法,snapパッケージのデモ版を使う方法などが存在します。今回は環境を破壊せずに「とりあえずMirが動いた」という状況だけを考えて,snapパッケージ版を使います。

snap版のMirサーバーはmir-kioskという名前でパッケージ化されています。これは単にMirサーバーを動かして特定のGUIアプリケーションが待ち受けるだけのパッケージです。実際にMir上に何かを表示するためには,mir-kioskに対応した他のsnapパッケージも必要です。具体的にはsnap find mir-kioskで出てくるさまざまなパッケージが該当します。

まずはmir-kioskをインストールして起動しましょう。

$ sudo snap install --devmode mir-kiosk
$ sudo mir-kiosk

これで画面上に真っ暗な「Mir on X」なタイトルの画面が表示されるはずです。これだけでMirサーバーが起動しました。

図1 Mirが起動しただけだと何も表示されない

図1

次にmir-kiosk用のアプリケーションをインストールします。今回はwpe-webkit-mir-kioskです。これは単なるWebKitベースのウェブブラウザーで,指定したURLを全画面で表示するだけのアプリケーションです。

$ sudo snap install --edge wpe-webkit-mir-kiosk
$ sudo snap connect wpe-webkit-mir-kiosk:wayland
$ sudo sudo snap restart wpe-webkit-mir-kiosk

waylandプラグに接続したら,自動的にmir-kioskのウィンドウが更新されて,WPEのウェブページが表示されます。

図2 WPEのウェブページが表示された

図2

表示するページはwpe-webkit-mir-kioskパッケージの設定で変更可能です。

$ sudo snap set wpe-webkit-mir-kiosk url=https://en.wikipedia.org

図3 任意のページも表示可能

図3

残念ながらwpe-webkit-mir-kioskにはフォントが同梱されておらず,さらにホームディレクトリにも接続できる設定にはなっていません。このためWebフォントが設定されていない日本語ページは日本語が表示されません。wpe-webkit-mir-kioskはあくまでデモプログラムなので,必要に応じてフォークしてフォントを埋め込むなどの対応を行うと良いでしょう。

mir-kiosk向けのデモアプリは他にも存在します。一部は古いMirにしか対応していないこともありますが,ぜひsnap find mir-kioskなどで検索して試してみてください。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。