Ubuntu Weekly Recipe

第663回 Ubuntu 21.04の主な変更点

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Waylandセッション

ようやく本題です。Ubuntuの歴史を振り返るとWaylandセッションがデフォルトになったのはこれが2回目です。1回目はUbuntu 17.10で,Unity 7がGNOME Shellに置き換えられた際に,同時にWaylandセッションもデフォルトになりました。詳しくは第493回をご覧ください。

しかし次のバージョンであるUbuntu 18.04 LTSでは再びXセッションに戻っています。理由の一つは,実は前述の画面共有の問題でした。Ubuntu 17.10の頃にはGNOME Remote Desktopはまだ開発の最中で,Fedoraで採用されたのも2018年10月にリリースされた29からでした。17.10や18.04 LTSの頃にはまだ時期尚早だったことがわかります。

今回のWaylandセッションのデフォルト化はもちろん次のLTSであるUbuntu 22.04 LTSを見越したもので,今からXセッションに戻ることはほぼないと考えられます。

とはいえ,Waylandセッションでは不都合な場面がまだあるのも事実です。第493回でも言及していますが,典型的な問題はNVIDIAのプロプライエタリなドライバーを使用している場合です。この場合は強制的にXセッションに戻されます図5⁠。

図5 NVIDIAのプロプライエタリなドライバーを使用した場合の「このシステムについて」

図5

画面共有系のサーバーも影響を受けます。あまりに広範囲なので詳細な調査はできていませんが,第575回で紹介したBarrierは2021年4月中旬現在Waylandセッションには非対応です。しかし必要な金額の寄付はまかなえているため,近日中にサポートされるのかもしれません。

Waylandセッションで不都合がある場合は,ログインパスワードを入力する際に右下の歯車アイコンをクリックしてセッションを切り替えてください図6⁠。

図6 歯車アイコンから,セッションを切り替えられる

図6

「ファイル」とデスクトップ間のドラッグ&ドロップ

また少しUbuntuの歴史を振り返ると,第566回で紹介したように19.04からは「ファイル」⁠Nautilus)のバージョンが上がり,デスクトップとの統合機能が削除されたことによってさまざまな機能が削除されました。しかしDesktop Icons拡張機能で基本的な機能が補われました。それでも完全ではなく,デスクトップにあるファイルを「ファイル」にドラッグ&ドロップすることも,またはその逆もできませんでした。

この21.04からはDesktop Icons NGに置き換えられ,ドラッグ&ドロップの機能が復活しました図7⁠。その他にもいくつかの機能が実装されています。

図7 図からはややわかりにくいが「ファイル」にある画像をデスクトップにドラッグ&ドロップしている

図7

ちなみに「NG」は,日本語だとあまりいい印象を受けませんが,通常はNew Generationを指します。

ホームディレクトリのパーミッション変更

Ubuntu Weekly Topics 2021年1月15日号で既報のとおり,ホームディレクトリのパーミッションが変更変更され,デフォルトで「0750」となりました。

他のユーザーのホームディレクトリを権限なしで読めないと困るシチュエーションはそれほど多くないので影響は特にないと思いますが,Webサーバーでホームディレクトリにコンテンツを置いているようなケースでは問題となってくるかもしれません。しかし今となってはそれもレアケースでしょう。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamのメンバー。VirtualBoxなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。