Ubuntu Weekly Recipe

第669回 Ubuntuとデスクトップフォルダー機能

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今回はUbuntuにおけるデスクトップフォルダー機能の扱いの変化を,過去回を振り返りながら最新状況をお知らせします。

デスクトップフォルダー機能

あらためて,デスクトップフォルダー機能とは何かを見ていきましょう。

図1はUbuntu 21.04のスクリーンショットです。上部のバーはトップバー,左側のバーはドック(Dock⁠⁠,その他の部分がデスクトップです。このデスクトップはホームフォルダー直下の「デスクトップ」と同一です。しかし,ここで疑問に思うのは,⁠デスクトップ」フォルダーには背景(壁紙)はなく,また「ホーム」⁠ゴミ箱」フォルダーもありません。

図1 Ubuntu 21.04のスクリーンショット

図1

試しに「サンプルテキスト.txt」「デスクトップ」フォルダーに置くと,双方に表示されます図2⁠。

図2 ⁠ファイル」には「サンプルテキスト.txt」のみが表示される

図2

ここからデスクトップフォルダーは何らかの特別な扱いがなされているということがわかります。

今回はその「特別な扱い」の変遷をたどっていきます。

「ファイル」

最初のリリースであるUbuntu 4.10から18.10まで,デスクトップフォルダーは「ファイル」の一機能として提供していました。

「ファイル」⁠Files)はUbuntuのファイルマネージャーで,旧名は「Nautilus」といいます。ただし今でも実行ファイル名などにはその名が残っています。⁠ファイル」でファイルのやり取りをする,というのは文字に起こすとまだ区別が付きますが,口頭ではわかりにくいことこの上ないので「Nautilus」と言ったほうがいいのかもしれません。

「ファイル」の開発の歴史は大変面白いのですが,あまりに本題から外れてしまうのでかいつまんで説明しておきましょう。昔(前世紀)のGNOMEデスクトップ環境にはファイルマネージャーがなかったので,これを開発する会社Eazelが出てきました。折しもドットコムバブルの終わりの頃で資金調達に失敗し倒産してしまいますが,ご存知のとおりその後も開発が進んでいます。ユーザーがぱっと見えるところからは消えてしましたが,今でもソースコードにはEazelという名称は残っています。開発元がなくなっても開発が継続するのはフリーソフトウェアの面白いところだと思います。

「ファイル」はGNOMEの方針に従ってもちろん機能の追加はされているのですが,機能の削除もされています。そのうちのひとつがデスクトップフォルダー機能というわけです。

実際に削除されたのは3.28からで,開発者のブログで詳細が述べられていますが,要約するとGNOME 3になってからデスクトップには何も置かなくなったこと(ただしあくまでGNOMEのデフォルトで⁠⁠,この機能に関するソースコードは1999年(⁠⁠ファイル」の開発が始まった年)から追加されて現在は10,000行以上あり,メンテナンスが不可能になっていて今後の「ファイル」の発展の妨げになるから削除を決意したということです。

翻ってUbuntuの事情はどうかというと,Ubuntu 17.10でデスクトップシェルをUnity 7からGNOME Shellに変更しています図3⁠。この際にUnity 7のルック&フィールを可能な限り継承することにしました。ということはGNOME 3のルック&フィールにはせず,デスクトップにアイコンを置くことにしました。さらには,この時のGNOMEのバージョンは3.26です。

図3 Ubuntu 17.10のデスクトップ

図3

Ubuntu 18.04 LTSではGNOMEのバージョンは3.28になりましたが,⁠ファイル」のバージョンは据え置かれています。そしてそれがUbuntu 18.10まで継続することになります図4⁠。

図4 Ubuntu 18.10まで「ファイル」のバージョンは3.26.4だった

図4

「ファイル」の一機能だった頃のデスクトップフォルダー機能は,まさに何でもできていました。ホームフォルダーアイコンやゴミ箱アイコンの表示,フォルダーやファイルの表示,マウントしたボリューム(USBメモリーなど)の表示,デスクトップファイル(後述)からのアプリケーション起動などです。後にできなくなりましたが,シェルスクリプトの実行までできていました。他のフォルダーからデスクトップフォルダーへの(またはその逆の)ドラッグアンドドロップでの移動ももちろんです。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamのメンバー。VirtualBoxなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。