Ubuntu Weekly Recipe

第672回 UTMを使ってM1 Mac上でUbuntuを動かす

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ARMといえば,その電力効率のよさからスマートフォンをはじめ,様々な用途で利用されているCPUですよね。本連載でも,ARMプロセッサ搭載のデバイスであるRaspberry PiにUbuntuをインストールする方法を紹介してます。

モバイル市場においては支配的なARMアーキテクチャですが,一般的なデスクトップ/ノートPCの分野においては,まだまだx86_64が主流です。そんな中でARMアーキテクチャのApple M1チップを搭載したMac miniやMacBook Proの登場は,一時期話題になりました。

最近は筆者も,M1を搭載したMac miniを使用して,日常の業務を行っています。このように普段のデスクトップ環境としてはMacを使い,Linux環境は仮想マシン内に作るという運用をしている方は,筆者を含めて多いと思います。しかし現在のM1 Macでは,VirtualBoxの仮想マシンが動かないという問題があります。

そこで今回は,Apple Silicon上でARM64をエミュレートできるmacOS向けの仮想マシンホストUTMを使って,M1 Mac上でUbuntuを動かす方法を紹介します。

UTMのインストール

公式のドキュメントによるとUTMとは,macOSやiOS向けの,フル機能のシステムエミュレーターおよび仮想マシンホストです。UTMはオープンソースのCPUエミュレーターであるQEMUをベースに作られており,Appleのデバイス上で様々なアーキテクチャの実行を可能にしています。

macOS向けのUTMには,いくつかのインストール方法が用意されています。まず第一の選択肢は,GitHubからdmgファイルをダウンロードして,手動でインストールすることです。一般的なMac向けのアプリのインストールと同じですので,特に迷うことはないでしょう。またMac App Storeからインストールすることもできます。ただしこちらのバージョンは有料(1220円)となっています。GitHubにある無料版と機能的な差異はありませんので,どちらを選んでも構いません。App Storeを使った自動アップデートの恩恵を受けたい場合や,開発元に援助を行いたい場合はApp Store版を,そうでなければ手動インストールを選択するとよいでしょう。

ちなみにHomebrewでインストールすることもできます。その場合は以下のコマンドを実行してください。なお筆者はHomebrewを使い,バージョン2.1.1をインストールしました。

HomebrewによるUTMのインストール

$ brew install --cask utm

仮想マシンの作成

UTMを起動すると,以下のウィンドウが表示されます。⁠Create a New Virtual Machine」をクリックしてください。

図1 UTMの初回起動状態

図001

「Information」では仮想マシンの情報を入力します。⁠Name」には仮想マシンの名前を入力してください。わかりやすければ何でもかまいません。ただし,複数の仮想マシンを作成する場合,名前はユニークである必要があります。

「Style」は仮想マシンリストに表示される際の見た目の設定ですので,デフォルトの「Generic」ままでも構いませんが,せっかくですので「Operationg System」に変更しましょう。アイコンをクリックすると,仮想マシンにつくアイコンを変更できます。

図2 仮想マシンの名前を設定する。アイコンにはUbuntuのマークも用意されているので,変更しておくとわかりやすい。Notesには自由にメモが書けるので,似たような仮想マシンを複数の運用する場合は,判別できる情報を書いておこう。

図002

「System」ではCPUアーキテクチャとメモリ量を設定します。⁠Architecture」「ARM64(aarch64)」に変更してください。自動的に「System」「QEMU 6.0 ARM Virtual Machine」に変化します。⁠Memory」はMacに実装されているメモリ量と相談して決定してください。用途にもよりますが,後述する手順でデスクトップ環境を導入する場合は,4096MB(4GB)以上くらいは割り当てておくとよいでしょう。

図3 ゲストのアーキテクチャと割り当てるメモリ量を設定する

図003

「Drives」では仮想マシンに接続するディスクを設定します。まずは「New Drive」をクリックして,OSをインストールするディスクを作成しましょう。⁠Interface」「VirtIO⁠⁠,⁠Size」は用途にもよりますが,最低でも20GBくらいを確保しておくと安心です。⁠Create」をクリックすると,ディスクが作成されます。

図4 OSをインストールするディスクを作成する

図004

続いて,インストール用のISOイメージをマウントするリムーバブルディスクを作成します。もう一度「New Drive」をクリックし,今度は「Removable」にチェックを入れてください。⁠Interface」「USB」です。

図5 インストールメディアをマウントするため,USBのリムーバブルなドライブを作成する

図005

それ以外の項目はデフォルトのままで構いません。⁠Save」をクリックすると,仮想マシンが作成されます。

著者プロフィール

水野源(みずのはじめ)

Ubuntu Japanese Teamメンバー。理想のフリーデスクトップ環境を求めて東へ西へ……のはずが,気がついたら北の大地で就職していたインフラ寄りのエンジニア。最近レンズ沼にハマる。