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第682回GNOMEのオンラインアカウント機能を極める

今回はGNOMEのオンラインアカウント機能とは何なのかを説明するとともに、具体的な設定方法を紹介します。

オンラインアカウント機能とは

オンラインアカウント機能は、⁠設定⁠⁠-⁠オンラインアカウント」で設定できる、各種WebサービスとGNOMEの各種アプリケーションを統合するための機能です図1⁠。この説明では少しわかりにくいですが、具体的に設定を行っていきましょう。

図1 オンラインアカウント一覧
図1

もともとはGNOMEに実装された機能で、今ではKDE Plasmaでも対応しています図2⁠。またGNOMEの派生版であるCinnamonでもGNOMEと同じオンラインアカウント機能を使用できます図3⁠。

図2 KDE Plasmaのオンラインアカウント
図2
図3 Cinnamonのオンラインアカウント
図3

またこの機能はディストリビューションによっても差があり、Fedoraではまた違った項目が設定できます図4⁠。

図4 Fedora 34のオンラインアカウント。なおこれがGNOMEのデフォルトの模様
図4

今回は具体的に、図1の「Ubuntuシングルサインオン」⁠Google」⁠Nextcloud」⁠Microsoft」⁠Microsoft Exchange」の設定と、連携できる機能を取り上げます。

使用するUbuntuは20.04 LTSであり、21.04ではありません。理由は後述します。

Google

例としてわかりやすいので、順番は無視して「Google」から設定していきます。

「Google」をクリックすると、Googleアカウントを入力するウィンドウが表示されます。指示に従って、まずはメールアドレスまたは電話番号を入力しましょう図5⁠。

図5 Googleアカウントを入力する。通常はメールアドレス
図5

続けてパスワードを入力してください図6⁠。

図6 パスワードを入力する
図6

最後にアカウントへのリクエストを許可して完了です図7⁠。

図7 リクエストを許可する
図7

Googleアカウントのウィンドウが表示され、⁠用途」のオンオフができるようになっています図8⁠。実はこれが各アプリケーションと対になっています。

図8 Googleアカウントで有効にできる用途一覧
図8

対応しているアプリケーションを具体的に見ていきましょう。カッコ内はパッケージ名です。

  • メール:Geany, Evolution
  • カレンダー:カレンダー(gnome-calendar), Evolution
  • 連絡先:連絡先(gnome-contacts), Evolution
  • ドキュメント:ドキュメント(gnome-documents)
  • 写真:なし
  • ファイル:ファイル(nautilus)
  • プリンター:なし

Ubuntuにあらかじめインストールされているアプリケーションは「ファイル」「カレンダー」だけなので、必要なものは適宜インストールしてください。なお、筆者が把握していないだけで、ほかに対応アプリケーションはあるかもしれません。

「なし」になっているものは解説が必要でしょう。⁠写真」はサービスが終了したPicasaに対応していましたが、⁠Googleフォト」とは全く違うものなのでそちらには対応しません。同じくプリンターは、サービスが終了したクラウドプリントに対応していました。

Ubuntuシングルサインオン

「Ubuntuシングルサインオン」はやや特殊です。Ubuntu専用というのはもちろんなのですが、これはCanonical LivePatchサービスを有効にするために使用されます。Canonical LivePatchサービスはLTSにしか提供されないため、今回使用したのも最新のLTSであるUbuntu 20.04 LTSなのです。

Canonical LivePatchサービスは第443回でも紹介していますが、おおむね5年の間に設定が簡単になったことがわかります。

設定方法は、表示されたダイアログ図9Ubuntu OneアカウントLaunchpadアカウントと同一)がある場合は「Ubuntuシングルサインオンアカウントを持っている」を選択して、ない場合は「アカウントを登録する」を選択してユーザー名とパスワードを入力してください。

図9 ユーザー名とパスワードを入力し、アカウントの有無を選択する
図9

認証に成功すると「用途」「ネットワークリソース」であることを示すダイアログが表示されます図10⁠。

図10 ⁠用途」ダイアログが表示される
図10

続けて「LivePatch」を起動して(⁠⁠ソフトウェアとアップデート」「LivePatch」でも可)図11⁠、⁠サインイン」をクリックします。するとダイアログが表示されるので、⁠続行」をクリックします図12⁠。これでLivepatchを有効にできます図13⁠。無効にする場合(LivePatchの使用をやめる場合)もここから設定します。

図11 ⁠LivePatch」を開く
図11
図12 ⁠続行」をクリックする
図12
図13 LivePatchが有効になった
図13

Nextcloud

Nextcloudは今更説明は不要でしょう。当初は個人向けのストレージサービスでしたが、第610回第625回からもわかるとおり、コラボレーションツールとなっています。

Nextcloudは自分でホスティングするため、設定ダイアログには接続先のサーバーを入力する欄があります図14⁠。⁠サーバー」「ユーザー名」「パスワード」を入力して「接続」をクリックし、認証されるとおなじみの用途が表示されます図15⁠。Googleと比較すると控えめであることがわかります。

図14 ⁠サーバー」「ユーザー名」「パスワード」を入力して「接続」をクリックする
図14
図15 Nextcloudでの用途ダイアログ
図15

なおNextcloudの注意点としては、⁠カレンダー」「連絡先」に関してはNextcloudサーバー側にもプラグインをインストールする必要があることです。CalendarContactsがインストールされていることを確認してください。

Microsoft

Microsoftアカウントも使用できます。⁠Microsoft」をクリックするとMicrosoftアカウントのサインイン(ログイン)画面が表示され図16⁠、ユーザー名とパスワードを順に入力すると用途ダイアログが表示されます図17⁠。⁠メール」「ドキュメント」だけで少し寂しく、ファイルは対応しません。OneDriveにあるファイルはonedrive(非常に紛らわしい名称ですが)などを経由してアクセスする必要があります。バージョンアップが頻繁にあり、かつMicrosoftの仕様変更もあるようなのでDocker版を使用するのがいいかもしれません。

図16 見覚えのあるMicrosoftアカウントのサインイン
図16
図17 用途は2つだけ
図17

ちなみにメールはOutlookが有効になります。

Microsoft Exchange

前述のとおりMicrosoftアカウントではOutlookのメールのみの対応です。ではカレンダー(予定表)と連絡先を同期したい場合はどうするのかというと、Microsoft Exchangeでサーバーを指定するという裏技が使えます。実際にやっていきましょう。

まずは「evolution-ews」パッケージをインストールしてください。なお、このパッケージはEvolutionがインストールされていたとしても一緒にはインストールされないので、通常は別途インストールすることになるでしょう。

続けてMicrosoft Exchageをクリックしてダイアログを表示します図18⁠。⁠メール」「パスワード」はMicrosoftアカウントのものを使用します。⁠カスタム」をクリックして「ユーザー名」「メール」と同じくメールアドレスになります。⁠サーバー」「outlook.office365.com」となります。これで「接続」をクリックしてください。

図18 Outlookのアカウント入力例
図18

用途ダイアログは「メール」⁠カレンダー」⁠連絡先」となっています図19⁠。ということは、Outlookのカレンダーと連絡先を同期したい場合はMicrosoftアカウントではなくこちらを設定したほうがいいでしょう。

図19 Outlookの主要機能が使用できるようになる
図19

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