Ubuntu Weekly Recipe

第795回Ubuntuとデスクトップ環境の2023-2024年

新しい年の始めに、Ubuntuで使用できるさまざまなデスクトップ環境について2023年に起こったことと2024年に起こりそうなことを紹介します。

新年のご挨拶

新年初めのRecipeは昨年同様に、デスクトップ環境の記事で始まることになりました。

今回は795回ということで、もう800回も目前です。毎度のご愛顧ありがとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

GNOME

では本題です。GNOMEは1年に2回リリースされており、昨年は44と45がリリースされました。

昨年デスクトップ環境を取り上げた第745回で述べたとおり、GNOME Shellのユーザーインターフェースは大きく変わりました。特にUbuntu 23.10の変更点第783回を紹介した際に言及した、画面左上が「アクティビティ」の固定文字列埋め込みからアクティビティインジケーターという名のワークスペース表示領域になったのが目を引きます。

図1 左上がモールス信号みたいになっている。これは4つワークスペースがあり、うち右端がアクティブになっているという意味(第783回、図9の再掲)
図1

個々のアプリケーションはGTK3から4に移行するというフェーズから、移行しない(できない)場合は別のアプリを開発してそちらをデフォルトにするというフェーズに入っています。もちろん例外もあるのですが、例えばGNOME 45からEye of GNOMEに代わってImage Viewerがデフォルトの画像表示アプリケーションとなっています。ただし今のところUbuntuは追随しておりません。Ubuntuの端末をGNOME端末からConsoleに置き換えるという話もどこへいったやらで、GNOME端末がGTK4にポーティングされたことにより、このまま行くのかもしれません。

GNOMEはWayland対応をひととおり完成させたと考えているらしく、X11セッションを削除するという提案が行われています。どの程度の本気・確度で2024年中に行われるかはわかりませんが、兎にも角にもX11セッションがあるのでWaylandのことは何も考えなくてもいいやというフェーズはとうに過ぎ去ったということです。

2024年は本格的にWaylandへの移行を考え、実行に移す年となりそうです。他のデスクトップ環境に関しても同様で、すなわち今回はそういう回となります。

KDE

KDEプロジェクトは昨年も含めて以前より行っているQt 6へのポーティング作業中であり、その成果となるKDE Plasma 6、KDE Frameworks 6、KDE Gear 24.02は2月末にリリース予定です。現在はBeta 2までリリースされています。

そして、当然のことではありますが、Plasma 6ではWaylandセッションがデフォルトになる見込みです。

気になるのはKubuntu 24.04 LTSをKDE Plasma 6にするのか、それとも5に留めるのかということですが、どうやら留めるということのようです。LTSの性格を考えたらそうなるでしょう。

KubuntuでPlasma 6を使用したければ24.10まで待つことになります。しかしPPAなり何なりで24.04 LTS用のPlasma 6、Frameworks 6、Gear 24.04が使用できるようになるのかもしれません。このあたりはアナウンスを待ちましょう。

Xfce

昨年Xfceの新リリースはなく、継続して4.20リリースを目指しています。

XfceもWayland対応のロードマップを公開しており、時期は未定(すなわち4.20に合わせるとかではなく)ながらもWaylandサポートを表明しています。

ただ開発リソースは限られるため、完遂するにはそれなりの時間がかかるものと思われます。

LXQt

LXQtは昨年4月に1.3.0を、11月に1.4.0をリリースしています。

LXQtはWayland対応に積極的なデスクトップ環境で、今後について1.4.0のリリースノートを引用します。

LXQt 1.4.0 is based on Qt 5.15, the last LTS version of Qt5. If everything goes as planned, this is the last Qt5-based release – we’ll do our best to port the next release to Qt6, even if we’ll have to delay it.

つまり、1.4.0がQt5対応の最後のバージョンで、次のバージョン(バージョン番号の記載なし)にはQt6にしたい旨の意志が伺えます。

Lubuntuでの対応はというと、Noble Numbat: The Next Generation of Lubuntuにあるとおり、もしQt6に対応したLXQtのリリースがLubuntu 24.04 LTSに間に合うタイミングだったとしてもこれを見送り、Qt5のままで行く予定です。Qt6対応LXQtを採用するのはLubuntu 24.10以降となります。

お題からは少し離れますが、このブログ記事で気になったのはLubuntu 24.04 LTSでは3つのインストールオプションが用意される予定とのことです。具体的には以下のとおりです。

  • 最小インストール:snapdすらインストールしない最低限のパッケージのみインストール
  • 通常インストール:従来と同様
  • 全インストール:通常インストールに加え、4つのよく使われるパッケージをインストール

「なるほど、Snapパッケージを全く使用しない方法を『発明』したのだな」と考えてしまったのですが、邪推のしすぎでしょうか。

MATE

MATEは確実に開発は進んでいるものの、2023年中の新リリースはありませんでした。

メンテナンスリリースである1.26.1が昨年3月に、1.26.2は9月にリリースされています。開発版である1.27.1は4月に、1.27.2は8月に、1.27.3は9月にリリースされています。近日中の時期安定版である1.28.0のリリースを期待したいところです。

MATEのWayland対応はどうなっているのかと調べてみると、mate-wayland-sessionが見つかりました。README.mdによると、独自のウインドウマネージャーであるMarcoをWaylandコンポジターにするのではなく、既存のWaylandコンポジターであるWayfireを採用することによって実現しているようです。

なかなか興味深い取り組みです。Ubuntu MATEで簡単に使えるようになったら面白そうですが、そのあたりは本年の楽しみにすることとしましょう。

Cinnamon

昨年はUbuntu CinnamonがUbuntu 23.04からフレーバーの仲間入りし、UbuntuユーザーにとってもCinnamonが身近になった、そんな1年でした。

Cinnamonは5.8.0が昨年6月にリリースされており、Ubuntu Cinnamon 23.10でもこのバージョンのメンテナンス版が採用されています。また6.0が11月にリリースされています。

Linux Mint 21.3のWhat's newによると、Cinnamon 6.0から実験的なWaylandセッションがサポートされたとのことです。試しに動かしてみたのが図1です。たしかにディスプレイサーバーがWaylandになっています。ただし少し試しただけでもあくまで実験的で、実運用するのは厳しそうでした。

図2 Cinnamon 6.0からWaylandの実験的サポートが開始された
図2

Sway

第794回で紹介したSwayはデスクトップ環境ではありませんが、Waylandをサポートしたウィンドウマネージャーを採用しているということで、ここでも紹介しておきます。本年中にインプットメソッド周りの不具合が解消されるといいのですが、どうなるのでしょうか。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧