前回は、IPv4アドレスの割り振りに関して紹介しましたが、今回はIPv4アドレス枯渇後に大きく影響を受ける国と受けない国があると推測されることを数回に分けて説明します。
そもそもIPv4アドレス枯渇とは何か?
IPv4アドレス枯渇はIPv4アドレスを新規に割り当てられなくなるという問題であり、インターネットが拡大しにくくなるというものです。逆に言うと、拡大をしていなければ特に大きな問題には直面しません。
今までのインターネットは、新規ユーザが参加したいと言ったときに新しいIPv4アドレスを割り当てて対処してきました。IPv4アドレスの在庫が存在していたので、ユーザが増える分だけ新しくIPv4アドレスも割り当てが行える状態が今まで続いていました。
しかし、IPv4アドレスが枯渇したことによって新規在庫がなくなってしまいました。これまでは新規ユーザが増えるたびに「IPv4インターネット」も拡大できましたが、IPv4アドレス数の上限に達してしまったため、数に限りがあるIPv4アドレスの範囲内で新規ユーザに対処しなければならなくなります。
これは、限られた空間の中にドンドン新しいユーザを詰め込むようなもので、ユーザが増えれば増えるほど一人あたりのIPv4アドレス数が減るという状態です。
問題は、世界中で今後どれだけインターネットユーザが増えるかですが、2010年時点でのインターネット普及率は、世界全体で28.7%となっています。北米は今後急激には成長しないと思われますが、その他の地域は今後も成長を続けるものと思われます。
IPv4アドレス枯渇後もインターネットユーザ数は増え続け、IPアドレスの需要も増加します。上限が来てしまったIPv4空間を、今より多いユーザが分け合って使わなければならなくなります。
大きな影響を受ける国の特徴
大きな影響を受ける国の特徴としては「IPv4ベースでのインターネット基盤が急激に成長している」というものが挙げられます。
国内で凄い勢いでインターネットユーザ数が増えている国が特に大変だろうと思います。新しくインターネットを使いたいユーザは急激に増えているのに、ユーザのためのIPv4アドレスの上限に達してしまっているわけですから。
一方で、「すでにユーザ数の成長が止まっている」もしくは「インターネットが全く整備されていない」という特徴がある国は、一般ユーザに対してあまり大きな影響が出ない事が予想されます。
全くインターネットが整備されていない地域への影響が少ないと予測しているのは意外かも知れませんが、個人的には「今、IPv4に依存したものがないのであれば逆に楽」と考えています。これから構築するネットワークをIPv6で環境を整備しつつ、46トランスレータなどでIPv4インターネットとの相互接続性を確保すれば比較的容易にインターネット環境が整備できるためです。
次回に続く
次回も引き続き国別のIPv4アドレス枯渇の影響を説明します。