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Nothing Phone (1)は、アリ・ナシどっち?

Nothing TechnologyのPhone (1)が限定発売になりました。国内販売は8月に予定されており、SIMフリーモデルで、メモリ8Gバイト、ストレージ256Gバイトのモデルが6万9,800円になる見込みです。

前回ご紹介しましたが販売方法がユニークで、100名の先行販売で提供されました。筆者は、その枠に入れたので週末は端末を堪能しています。

Nothing Technologyとは

Nothing Technologyは、OnePlusの共同創業者「カール・ペイ」が、2020年にiPodの父、トニー・ファデルやYouTuberのケイシー・ナイスタットなど複数の投資家から700万ドルの資金を集めて、新たに立ち上げた企業です。拠点はイギリスのロンドンです。

2021年2月、Essentialの知財を買収したことが判明したときは、製品がなかったこともあり謎の企業として話題になりましたが、同年の7月に最初の製品となる完全ワイヤレスイヤフォン「ear (1)」を発表してNothing Technologyが明らかになります。Phone (1)が明らかになったのは、それから1年も経ってない2022年3月22日です。

Phone (1)は、先行販売の方法がユニークでした。

これは、カール・ペイが手がけていたOnePlusでよく取られていた方法です。OnePlusは、招待制のみで端末を販売したり、これの新鮮味がなくなってくると、特定曜日だけ招待コードなしで購入できるようにするなど、じらすような販売方法を取って、ガジェット好きの購買欲をくすぐっていました。

独自のNothing端末のづくり

端末の販売方法だけでなく、Nothingの端末づくりにもユニークなこだわりを感じます。

まず、Phone (1)の実物を手にしてみると、高い質感や精巧な作りがされていることが肌身に感じられます。これは写真などでは、わかりづらいかもしれません。Phone (1)は、スケルトンやGlyph Interfaceなど遊びの部分が注目されていますが、これ以外の端末の作りは手堅く、今のスマホに求められる使い勝手はクリアしています。

見た目は、2012年発売のiPhone 5を現代風に解釈をしたようにも見えます。その端末デザインは、スウェーデンのストックホルムを拠点としている「Teenage Engineering」と協業していることが6月15日に発表しています。Phone (1)の裏面は、整然とした中に遊びがちりばめられています。たとえば、裏面のカバー部品が象に見えるなんて話もあり、こうした遊びの部分がTeenage Engineeringとの製品と共通性を感じる部分です。

teenage engineering

ソフトウェアも見ていきます。

Phone (1)に搭載されているOSは、Android 12をカスタマイズした「Nothing OS」です。筆者の端末は、バージョン1.0.2が搭載されています。

外見は、カスタマイズされた部分を探すのが難しいほど、素のAndroidと同じです。待ち受け画面の時刻や充電時の電池残量の表示に、Nothingのサイトでも使われているドットフォントが使われ、ここにらしさを感じることもできますがほんのわずかです。

今のままでは外見と中身のテイストが異なるので、UIもAndroidをベースに独自の解釈を入れる考えも持っているかもしれません。

端末をどうみるか

Phone (1)をスペック表ごしに見ると、平凡なミドレンジのスマホです。

スマホは、多くの人にとって生活必需品となりましたが、日進月歩で進化するコンピュータの側面もあります。これに求めるのは高い性能で、他は重要視しないという層にとって、Phone (1)は取るに足らないスマホです。

筆者もPhone (1)のスペックを知った時は、平凡なスペックのスマホをいまさら出す価値が本当にあるのか?と考えてがっかりした記憶があります。ただ、ハイエンドを追い求めた結果、高価な端末となってしまうのでは、多くの人たちにNothingの製品を手に取ってもらえる機会を損失する可能性もあります。

Nothingは、テクノロジーを生活に取り入れて適切な距離感で付き合っている層に向けて、Phone (1)が持つ遊びの部分を理屈抜きに「楽しんで!」というメッセージを端末に込めていると感じています。こうした部分がコモディティ化したスマホのスパイスとなり、多くの人を惹きつけていると考えています。

今週は、このあたりで、また来週。

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