テレワーク・リモート活動が積極的になり、全世代にとってネットが身近になった「現在」に即した、誰もがインターネットを安全・安心に使うためのハンドブック
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は2023年2月24日、サイバーセキュリティに関する普及啓発活動の一環として公開している「インターネットの安全・安心ハンドブック」の改訂版、「インターネットの安全・安心ハンドブックVer 5.00」を公開した。
インターネットが社会インフラの1つとなった今、誰もが安心して、安全にインターネットを使えるよう、その時々に合ったサイバーセキュリティに関する知識を身に付け実行するとともに、家族や友人、職場など、身の回りの人たちと共有し、安全なネット社会の構築を実現することを目的に公開されているもの。
インターネットの安全・安心ハンドブック
今回の改訂では、対象読者別(一般国民向けと中小組織向け)で分冊していた前バージョンを1タイトルに合冊。
「安全なパスワードの管理方法」「もしものときのバックアップの必要性」「サイバー攻撃による被害の具体例と対処、相談窓口」「スマホやパソコンを不安なく利用するための設定」「インターネットにおける通信の安全性を支える暗号化の初歩」など、前バージョンでも解説されていたサイバーセキュリティの基本を引き継ぎながら、テレワーク・リモート活動を円滑に実施するための準備、侮辱罪厳罰化で意識したいSNSやネットの誹謗中傷対策など、昨今の時世に合わせて、生活のインフラといえるインターネット利用が安全なものになることを目指し、改訂されている。
全体の構成は以下のとおり。
- プロローグ インターネットにある基本的なリスクやトラブルを知ろう
- 第1章 まずはサイバーセキュリティの基礎を固めよう
- 第2章 よくあるサイバー攻撃の手口やリスクを知ろう
- 第3章 SNS・ネットとの付き合い方や情報モラルの重要性を知ろう
- 第4章 災害・テロ、海外でのトラブル、普段とは違う環境のリスクに備えよう
- 第5章 スマホやパソコン、IoT機器を安全に利用するための設定を知ろう
- 第6章 パスワードの大切さを知り、通信の安全性を支える暗号化について学ぼう
- 第7章 【中小組織向け】セキュリティ向上が利潤追求につながることを理解しよう
- 付録 知っておくと役立つサイバーセキュリティに関する手引き・ガイダンス
- おわりに インターネットとよい付き合いを続けるために
- 用語集
- 索引
こどもたちに向けたスマホ利用の手引きとして使える「保護者と利用者とのスマホ契約書サンプル」
この他、家族間で利用できる保護者と利用者とのスマホ契約書サンプル(Word形式)が用意されており、とくに未成年に向けた、スマートフォン利用に関しての指導やルールについて、現実の環境に即した内容のものが用意されている。
サイバーセキュリティ啓蒙の視点を持つメンバーで構成された改訂検討会
改訂検討会メンバーは、主査の猪俣敦夫氏(大阪大学教授)をはじめ、サイバーセキュリティに関する活動や執筆を積極的に行っている宮本久仁男氏(株式会社NTTデータシステム技術本部サイバーセキュリティ技術部情報セキュリティ推進室、NTTDATA-CERTセキュリティマスター)、大学で情報教育に関わり、その観点から若年層に向けた書籍を多数執筆している松下孝太郎氏(東京情報大学 総合情報学部 総合情報学科 教授)、弁護士として、法律の分野において安心なネットづくりを促進する上沼紫野氏(虎ノ門南法律事務所弁護士、一般社団法人安心ネットづくり促進協議会 理事)、IPAセキュリティセンターに所属する横山尚人氏(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター 企画部 エキスパート)といった顔ぶれに加え、技術評論社から酒井啓悟(株式会社技術評論社 デジタル事業部)が参画し、「安心・安全なインターネット」のための情報を、日本国民全員にわかりやすく届けるためのハンドブックの実現を目指し、改訂検討を行い、今回の公開に至った。
公開されているデータは、PDFおよびEPUB(固定型)の2種類のフォーマットで、サイバーセキュリティの普及啓発活動の範囲、かつ内容を改変しないことを条件に、多様な形で活用できる。詳しくは活用に関するPDFを参照のこと。
サイバーセキュリティ月間2023、開催中
また、本年もNISCを含め政府によるサイバーセキュリティに関する普及啓発強化を目的とした「サイバーセキュリティ月間2023」が2月1日~3月18日の間で制定され、2023年は日米豪印の4か国(QUAD)で連携をしながら、さまざまな取り組みが集中的に行われている。
中でも本年用意された「サイバーセキュリティ対策9か条」は、今のインターネット・コンピュータ環境を想定した、サイバーセキュリティ対策の勘所をシンプルにまとめており、サイバーセキュリティ啓蒙の最初の一歩として活用することをおすすめする。
その他、関係者・識者によるコラムや各種広報ツール、また、YouTubeチャンネルを利用したコンテンツなどが用意されている。
詳細および最新情報については、2023年サイバーセキュリティ月間特設ページを参照のこと。
2023年サイバーセキュリティ月間