Java 24リリース ――AIとポスト量子暗号をサポートする新機能をJavaOne 2025で紹介

2025年3月18日(米国時間⁠⁠、米Oracle CorporationはJava最新版「Java 24」をリリースした。

15回目の定期リリースサイクルでのアップデート

Javaは、Java 9より6ヵ月に1回のリリースサイクルでアップデートが行われ、今回15回目となるJava 24となった。

Java 24は、LTS(Long Term Support)前のバージョンということもあり、通常より多い24個のJEPのアップデートが行われている。

今回の発表に際し、オンラインでの記者向け説明会が行われ、米Oracleより、Vice President, Java Developer RelationsのChad Arimura氏によるJava 24および最新のJavaを取り巻く発表が行われた。

Oracle, Vice President, Java Developer RelationsのChad Arimura氏によるオンライン記者説明会
Java 24

Oracle, Vice President, Java Developer RelationsのChad Arimura氏によるオンライン記者説明会

ここでは、24のJEPを中心に最新のJava 24の機能、また、AI対応に関する内容を紹介する。

24のJEPのアップデート

まず、アップデートされた24のJEPは以下のとおり。

Java 24でアップデートされた24個のJEP
Java 24

言語

  • 488:パターン、instanceofおよびswitchのプリミティブ型(第2プレビュー)
  • 492:柔軟なコンストラクタ本体(第3プレビュー)
  • 494:モジュール・インポート宣言(第2プレビュー)
  • 495:単純なソース・ファイルおよびインスタンスのメイン・メソッド(第4プレビュー)

ライブラリ

  • 485:Stream Gatheres
  • 484:クラス・ファイルAPI
  • 487:スコープ値(第4プレビュー)
  • 489:ベクトルAPI(第9インキュベータ)
  • 499:構造化された並行性(第4プレビュー)

パフォーマンスとランタイム

  • 450:コンパクト・オブジェクト・ヘッダー(試験段階)
  • 475:G1の遅延バリア機能の拡張
  • 483:事前クラス・ローディングおよびリンク
  • 490:ZGC: ZGC: 非世代別モードの削除
  • 491:ピン留めなしで仮想スレッドを同期

メンテナンスとクリーンアップ

  • 472:JNIの使用を制限する準備
  • 486:セキュリティ・マネージャーの完全な無効化
  • 498:sun.misc.Unsafeのメモリ・アクセス・メソッドの使用時の警告

セキュリティ⁠ライブラリ

  • 478:キー導出関数API(プレビュー)
  • 496:量子耐性モジュールlatticeベースのキー・カプセル化メカニズム
  • 497:量子耐性モジュールlatticeベースのデジタル署名アルゴリズム

その他の保守機能

  • 493:JMODなしのランタイム・イメージのリンク
  • 501:32ビットx86ポートの非推奨と削除
  • 404:世代別Shenandoah(試験段階)
  • 479:Windows 32ビットx86ポートの削除

なお、このうちJEP 472(JNIの使用を制限する準備⁠⁠、JEP 486(セキュリティ・マネージャーの完全な無効化⁠⁠、JEP 498(sun.misc.Unsafeのメモリ・アクセス・メソッドの使用時の警告)の3つの機能については、将来のJavaリリースで削除される予定となっている。

今回のJava 24のリリースにあたり、Senior Vice President, Development, Java/Chair, OpenJDK Governing BoardのGeorges Saab氏は、⁠Javaは過去30年にわたり、開発者に対して多様なユースケースに対応するアプリケーションを構築し、展開するための包括的なプラットフォームを提供してきました。Java 24リリースでは、新しいAI機能やポスト量子暗号機能など、幅広い分野で20以上の新機能が導入されており、開発者はこれらのツールを活用して革新的なAI搭載アプリケーションを構築できます。オラクルはJavaの管理者として世界中のJavaコミュニティと協力し、これまで通り半年サイクルで新機能を継続的に提供していきます」とコメントした。

OracleのJava AI⁠3つの戦略

また、Chad氏は事前説明において、今注目を集めるAIに関する内容として、OracleのJava AI 3つの戦略について紹介した。

Oracleの3つのAI戦略
Java 24
  • ビジネスロジック、ネイティブAIワークフロー、クラウドサービスの統合
  • AI推論に最適なJavaプラットフォームの実現
  • AIコンピューティングと機械学習にJavaを活用

今回のJava 24でアップデートされたJEPに関しては、⁠488:パターン、instanceofおよびswitchのプリミティブ型(第2プレビュー⁠⁠」にて、ビジネスロジックとAI推論のプリミティブ型の統合がより簡易に、⁠494:モジュール・インポート宣言(第2プレビュー⁠⁠」にて、ビジネスロジックをAI推論・ライブラリ・サービスコールとより簡単に統合可能に、⁠489:ベクトルAPI(第9インキュベータ⁠⁠」にて、AI推論および計算シナリオで頻繁に利用というように、AIを意識したアップデート内容が含まれている。

3月18日~20日にカリフォルニア州レッドウッドショアズで、ひさびさのJavaOne名義で開催された、JavaOne 2025でもAIとポスト量子暗号をサポートする新機能の発表が行われた。

JavaOne 2025の紹介で説明会は締めくくられた(説明会開催日:2025年3月14日(日本時間))
Java 24

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