Linus Tovaldsは8月31日、開発中のLinuxカーネル「Linux 6.17」の4本目のリリース候補版となる「Linux 6.17-rc4」を公開した。今回のリリース候補版では、LinusによってBcachefsのステータスが「サポート(Supported)」から「外部メンテナンス(Externally maintained)」に変更されており、当面はBcachefsの機能アップデートがすぐにメインラインに反映される可能性は低くなったとみられる。
僕たちが同意できていることは“もう、終わりだね”ということだけだ
Google出身のKent Overstreetが2015年から開発を始めたコピーオンライト(CoW)のファイルシステムであるBcachefsは、カーネルコミュニティ内での長い議論を経たのち、2024年1月の「Linux 6.7」でようやくメインラインカーネルに実装された。しかし実装前からOverstreetには問題行動が多く、マージが期待されたLinux 6.6ではLinusから「Linuxカーネル開発の基本ルールに則っていない」と厳しく批判されており、Bcachefsが正式にサポートされたLinux 6.7以降もCoC(Code of Conuct)に違反するなど目に余る行動が続いていた。
また、7月に公開された「Linux 6.16」では、マージウィンドウ期間中ではなくリリース候補版の期間中に新機能を含んだプルリクエストを送信、Linusは最終的にこれをマージしたものの、「この件はプルしたけど、これまでの議論を踏まえると次のLinux 6.17のマージ期間中に僕たちは決別することになるだろう。正直、もう関与したくないし、僕たちが同意できていることは“もう、終わりだね”ということだけだ」とコメントしており、Bcachefsをメインラインから外す意向を示していた。
Linusは8月12日に公開した「Linux 6.17‐rc1」では Overstreetが提出したBcachefsのプルリクエストをマージしなかったものの、Bcachefsとの“決別”に関しては直接触れていなかった。しかしLinusは8月28日付けでBcachefsのステータスを外部メンテナンスに変更、事実上の“決別”に至った理由について「公開/非公開を問わず、多くの長いスレッドで議論されてきたことだから」とだけコメントしている。もっとも、メインラインには引き続きBcachefsのコードが存在するため、今後のアップストリームプロセスがどう機能するのか、引き続き注目される話題となりそうだ。