知りたい!サイエンスシリーズ都市型集中豪雨はなぜ起こる?
−台風でも前線でもない大雨の正体−

[表紙]都市型集中豪雨はなぜ起こる? −台風でも前線でもない大雨の正体−

紙版発売

四六判/192ページ

定価1,738円(本体1,580円+税10%)

ISBN 978-4-7741-3621-9

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書籍の概要

この本の概要

数時間という短い時間に爆発的に降る雨が,東京,大阪など大都市で増えています。2005年9月に東京・杉並を襲った激しい豪雨は記憶に新しいところ。予告なしの大雨は交通を寸断し,都市機能を麻痺させます。大都市の空では何が起こっているのかを,過去の実例を検証しながら,ヒートアイランドや高層ビルによる風の変化なども交えて考察していきます。基本知識として,雲の活動と雨が降るしくみ,台風と前線についても解説,最近気になる地球温暖化による雨の変化についても触れていきます。

こんな方におすすめ

  • 近頃の大雨が不思議でしょうがない方
  • 気象に興味のある方
  • 地球温暖化に興味のある方

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突然の豪雨が増えている!
近頃,雨の降り方が半端でないと感じることが多いですね。台風や前線の大雨以外にも,大都市では突然のどしゃ降りに見舞われることがあります。それが都市型集中豪雨です。1時間に100ミリを超す雨が突然降り始め,数時間のうちに止んでしまう。

目次

第1章 これが都市型豪雨

  • 1-1 1時間に131ミリ降った練馬豪雨
  • 1-2 深夜に襲った杉並豪雨
  • 1-3 大阪府豊中市の局地的豪雨
  • 1-4 アメリカ工業都市シカゴが雨を呼んだ?
  • 1-5 セントルイスの都市気象観測プロジェクト
  • 1-6 50年前の日本の都市でも雨が増えた?

第2章 豪雨が発生するしくみを考える

  • 2-1 雨はどうして降るのか
  • 2-2 雨は「雲」から降ってくる
  • 2-3 豪雨をもたらす雷雨の秘密
  • 2-4 海陸風と山谷風
  • コラム 風の道

第3章 「梅雨前線豪雨」は集中豪雨の本家

  • 3-1 最大の雨量をもたらす「梅雨前線豪雨」
  • 3-2 梅雨前線による「諫早豪雨」と「長崎豪雨」
  • 3-3 長崎豪雨災害の教訓
  • 3-4 「東海豪雨」に学ぶ
  • 3-5 都内の下水道工事現場を襲った突然の豪雨

第4章 豪雨の引き金「ヒートアイランド」

  • 4-1 高温化する都市
  • 4-2 ヒートアイランドのメカニズム
  • 4-3 ヒートアイランドと海風効果
  • 4-4 緑地と水辺空間によるヒートアイランド緩和
  • 4-5 広域化する首都圏のヒートアイランド

第5章 なぜ東京に夏の豪雨が集中するのか?

  • 5-1 雲を呼ぶ環状八号線
  • 5-2 練馬は海風の交差点
  • 5-3 「練馬豪雨」発生のメカニズム
  • 5-4 上昇気流を強める高層ビル群

第6章 「温暖化」で豪雨は増えるのか?

  • 6-1 温暖化による降雨量の変化を予測する
  • 6-2 国内100年の長期的雨量変化
  • 6-3 都市部の集中豪雨は増加傾向
  • 6-4 ハリケーンや台風による豪雨
  • 6-5 ハリケーンや台風は温暖化で強まるのか?
  • コラム 雨量計の構造

第7章 都市型豪雨は防げるのか

  • 7-1 都市型集中豪雨を減らすには
  • 7-2 雨雲の動きをとらえる気象レーダー
  • 7-3 都市型豪雨による水害への対策
  • 7-4 早期警戒システムの確立を

著者プロフィール

三上岳彦(みかみたけひこ)

1944年,京都府生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。お茶の水女子大学助教授,東京都立大学教授,首都大学東京教授を経て,帝京大学教授・首都大学東京名誉教授。専門は,都市気候・気候変動。主として観測データに基づく実証的な気候研究を行ってきた。