クラウドコンピューティングの幻想
2009年3月24日紙版発売
エリック・松永 著
四六判/208ページ
定価1,628円(本体1,480円+税10%)
ISBN 978-4-7741-3804-6
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書籍の概要
この本の概要
「クラウド(雲)にご用心!」IT業界の新たなトレンドとされる「クラウドコンピューティング」。日本のみならず世界中で「クラウドコンピューティング」は受け入れられるのでしょうか。インターネットを活用した一見バラ色のすばらしい技術革新に見えますが,たくさんの問題点をはらんでいます。そもそも,実は「言葉(バズワード)」だけで,実現できないものなのではないでしょうか。言葉だけに惑わされていませんか。本書は,システムインテグレータの立場,ITコンサルタントの立場から,「クラウドコンピューティング」を検証します。
こんな方におすすめ
- クラウドコンピューティングって本当に流行るの? 大丈夫なの?とお考えのシステムインテグレータ各位
- CIO
- 情報システム管理室 などなど
目次
第1章 クラウドコンピューティングの迷走
クラウドって何ですか?
- 違和感の原因
- ビジネス視点で分析せよ!
- クラウドコンピューティングに関する致命的な3つの誤解
- バズワード好き企業
- バズワードの生みの親であるシステムインテグレータ
- Googleに便乗するSW/HWベンダー
- バズワード先行の通信キャリア
- ユーザー視点を崩さない端末メーカー・サービスプロバイダー
- サービスなきサービス基盤
- クラウドコンピューティングの押し売りにだまされないように
- [その1]プレゼンする人の肩書きがコンサルタント
- [その2]プレゼンの資料がキレイすぎ
- [その3]Google,Amazonの成功要因を技術的な優位性でしかとらえていない
- [その4]自社製品が既存製品の組み合わせ(再利用)
- [その5]こちらの課題や今抱えている問題を聞かない
- [その6]自社一社でサービスが完結するような話をする(事例などは特に注意)
- 心地よいバズワードの罪
- 心地よいバズワードから生まれたセールスフォース・ドットコム2つの誤解
- Google,Amazonの台頭を受け入れられないブランド感
- そもそもクラウドはなぜ……
- 誰を対象に話をしているのか明確にしてクラウドコンピューティングを考えよう
- 空の雲のように手が届かないクラウドコンピューティング?
- 技術先行の議論になってしまうのはなぜか?
- 賢くならないと,バズワードに遊ばれてしまう
- コンピュータシステムと経営戦略の関係がわかっていないからバズワードのに翻弄される
- コンピュータシステムは戦争から生まれた
- 企業が戦略を意識し,コンピュータシステムの適応範囲が一気に拡大した
- まず戦略的にコンピュータシステムは経営の意思決定に活用される
- コンピュータシステムは一企業を超えより戦略的に
- ITというバズワードの誕生
- 軍事目的のコンピュータ
- 1960年代に存在した元祖クラウドコンピューティング?──そこから何を学ぶか
- クライアントサーバーシステムによるコンピュータシステム秩序の乱れ
- コンピュータシステムのパラダイムシフト
- インターネットの時代
- インターネットによりコンピュータシステムが企業から個人ユーザーのためのものに
- ARPANETからInternetへ
- ITからICTへの変化
- AIDMAの法則からWeb2.0(CGM)へ
- インターネット,そしてWeb2.0の流れからクラウドコンピューティングをどう考えるか
- 技術について疑うことが大事
- クラウドコンピューティングの迷走モデル
- クラウドの本質に迫るために
- 仮想化技術を検討する
- コンピュータリソースの仮想化はクラウドコンピューティングに始まった技術なのか
- クラウドコンピューティングの技術を理解する必要はない
- 企業に勝てるのか
- Googleは“0”ベースの発想から物を生み出す企業
- クラウドコンピューティングのサービスはコンシューマ向けと企業向けの2大陸が形成
- 自己犠牲できるのか?
- 大企業に物申すSAP
- SAPの戦略
- SAPは,どこが他のIT企業と違うのか
- パッケージソフトウェアの誤解
- コンサルタントと二人三脚のSAP
- Oracleの戦略──基幹業務に食い込むパッケージソフトウェア
- パッケージソフトウェアベンダーのSaaS,クラウド化へのためらい
- セールスフォース・ドットコムの台頭
- 企業向けクラウドコンピューティングはどのように導入されるのか?
- ビジネスのキラーアプリを持つマイクロソフトの動き
- ビジネスアプリケーションのライセンスが消える日
- 白雪姫と7人の小人たち
- IBMのガースナーが狙ったシステムインテグレータであることの意味
- IBMのクラウドコンピューティング
- コンピュータ業界の階層構造は建設業と同じ
- だからシステムインテグレータは最上位のコンサルを狙う
- 取り残されたネットワークの住民達
- SaaSの流れは通信キャリアに朗報か
- ネットワークインフラの発想から,なかなか抜けられないNTTコミュニケーションズ
- KDDIも出遅れ
- ソフトバンクの全方位展開
- パートナー戦略を明確にしたBT
- 通信キャリアがクラウドコンピューティングに参入するためにはグローバル化が課題
- 脱皮できる企業,できない企業
- NTTの逆襲?
- 違う視点で考える
- ビジネスの柱は何か
- GoogleとAmazonには共通の血が流れる
- インターネット時代の企業である
- ユーザー起点のサービスの発想が差別化要因
- コンピュータ技術の開発に非常に力を入れている
- GoogleとAmazonをどんな視点でみるべきか?
- コンシューマ側からの視点で考えるさまざまなサービス
- Amazonの戦略は明快
- AmazonはGoogleの知らない個人の属性を知っている
- Web2.0の支配
- Googlezon(グーグルゾン)モデルの誕生?
- 企業向けサービスについて
- 企業システムは単純に「所有」から「利用」にはならない
- 誤ったクラウドコンピューティング理解の弊害
- Googleの本当の強みはビジネスモデルでも技術でもなく「人」
- Googleカルチャーの懸念点
- 自らの軸をなくしたプレーヤー達
- 戦うGoogleとAmazon
- システムインテグレータとは何か,再確認してみませんか
- 日本のシステムエンジニアは優秀
- 3つの妄想が引き起こす顧客第一主義の崩壊
- コンサルティング信仰の妄想
- マーケティング信仰の妄想
- PM(プロジェクトマネジメント)手法信仰の妄想
- ユーザーニーズが戦略レベルで把握できているのか?
- 戦略的ニーズを満たすためのプロジェクト全体像の把握
- 自社の全体の中での役割と責任範囲の明確化
- 原点に回帰せよ
- IT未来予想
- 企業向けクラウドコンピューティング提供企業とは
- 二次クラウドコンピューティングサービスが出現?
- 企業が抱える真の課題は何か
- クラウドコンピュータの導入には,まずCIOの役割を見直せ
- 4つのCIOアジェンダ
- 中長期含めた戦略実現への貢献
- 収益への貢献
- コスト削減への貢献
- 社会への貢献
- システムを一括りにしない
- 企業向けクラウドコンピューティングは,今つきあっているシステムインテグレータと向き合うところから始まる
- GoogleかIBMか,覇者の冠はいずこに
クラウドコンピューティングを迷走させたA戦犯は?
A級戦犯の手口とは?──6つのチェック項目
クラウドコンピューティングがシラケムードな理由
第2章 企業向けクラウドコンピューティングは何も始まっていない
ToB or not ToB……
コンピュータシステム創成期 ホストコンピュータの時代
クラウドコンピューティングの発想は1960年代にすでに存在していた?
コンピュータシステム乱立時代 クライアントサーバーの流行
第3章 クラウドコンピューティングを支える技術と意味
仮想化技術の定義は当てになるのか
クラウドコンピューティングで注目の技術エリアをゼロベースで考えてみる
第4章 クラウドコンピューティングの未来を占う注目企業の戦略
クラウドが疑問視される理由
企業向けクラウドコンピューティングを作る企業は?
コンピュータシステムの老舗,業界をリードしてきた巨人はすでに老兵なのか
通信キャリアの下克上??
クラウドコンピューティングの担い手となる企業は?
第5章 クラウドコンピューティングをリードする注目企業の戦略
似て非なるGoogleとAmazon
Googleの戦略は?
コンシューマ向けビジネスの最終地点は
第6章 クラウドコンピューティング時代に遭遇する既存大手システムインテグレータの危機
Google,Amazonから学ぶべきところ
3つの妄想が顧客第一主義を崩壊させる
第7章 クラウドコンピューティングの幻想からの脱却
2015年のクラウドコンピューティング
幻想から脱却せよ
クラウドコンピュータを導入すべきか否か
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