ぐっと身近に人がわかる 対人関係の心理学 ―社会心理学でのぞく心の仕組み―
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森尾博昭 編著
山口勧 監修 - 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2011.3.24[在庫なし]
- 判型
- 四六
- 頁数
- 224ページ
- ISBN
- 978-4-7741-4581-5
サポート情報
概要
本書は、社会心理学の本です。社会心理学とは、対自分、対人、対社会とのコミュニケーションをさぐる、いわば“対人関係の心理学”と呼ばれる分野。ビジネスの分野でもよく活用されています。人に好かれるようになるには? 効率の良い分業の方法は? など、日々の生活で起きる現象や疑問を、心理学の観点からやさしく解説します。
こんな方にオススメ
- 人との付き合い方に悩んでいる方
- 心理学に興味のある方
目次
第1章:「私」と「あなた」の間にあるもの
- 人に好かれるには/第一印象が大切/潜在意識が与える影響/ステレオタイプと偏見/トラウマをなくすには/人は比較し合って生きている/甘えの意味と対処法
第2章:集団の中の「私」、個人での「私」
- 説得のテクニック/行列をつくる同調行動/服従の恐ろしさ/「みんなのため」は自分のため/分業のコツ/人は見た目が本当に9割?/情けは人のためならず/持ちつ持たれつ、お互い様/正直者は損をする?
第3章:「私」をごまかす「私」
- 思い込みは侮れない/その「ドキドキ」は何のせい?/負け惜しみも大事/ベン・フランクリン効果/予言の自己成就/学習―条件づけとモデリング―/「私」のプレゼン/自尊心を復活させるには/自分のせい?相手のせい?/動機付けとやる気
第4章:社会の中の「私」と時代の変化
- 擬似有名効果/広告の心理/インターネットの匿名性と「炎上」/YouTube、ニコニコ動画、Twitter、とミクシィ/裁判員制度と集団の意思決定/コンコルド効果、サンクコスト効果/詐欺とペテン/企業のリスク対策/事故と安全
プロフィール
森尾博昭
関西大学総合情報学部教授。1993年大阪大学人間科学部卒業。2002年フロリダ・アトランティック大学大学院心理学研究科修了。Ph.D.(Psychology)。専門は社会心理学。インターネットも含めた幅広い文脈における対人相互作用が、個人の判断・態度にどのような影響を与えるかに関心を持つ。自己概念の複雑性を扱う論文において、日本グループ・ダイナミックス学会より学会賞を受賞。
山口勧
1952年、東京生まれ。東京大学 博士(社会学)。President, Asian Association of Social Psychology (2001-2003年)、日本グループ・ダイナミックス学会 会長(2005-2007年)、President, International Association of Applied Psychology (Division 3) (2006-2010年)。現在、Association for Psychological Science(米国), Fellow。Society of Experimental Social Psychology(米国), Fellow。主な著書に、『Handbook of motivation and cognition across cultures』(共編著).(2008年 San Diego, CA. Elsevier)『社会心理学: アジア的アプローチ』(編著)(2003年 東京大学出版会)がある。
著者の一言
心理学の一つの分野である社会心理学では、人間関係やコミュニケーションなど、社会における人の心の働きを研究テーマとしています。私たちが円滑な、そして充実した社会生活を送る上で、人間関係が果たす役割の重要性は疑うべくもありません。
そのためか、最近では、社会心理学の研究成果が、テレビ・雑誌などのマスコミで紹介されることが増えてきました。本書でも紹介しているミルグラムの電撃実験は、テレビ番組で大きく取り上げられました。また、社会心理学に関連した研究の成果を勉強され、マスメディアで積極的に啓蒙活動をされている評論家・著作家の方々も目につくようになりました。
このようなトレンドは、社会心理学から学んだことが、私たちの日常生活に活かすことができる、ということの表れでもあります。豊かでより良い人間関係・コミュニケーションのために、社会心理学の実験や調査から得られた知識は大いに役立ちます。
本書では、実験・調査を通じて確かめられた人間の行動・心理のメカニズムを、学術的な研究を活発に進めている専門家が解説しています。そのため、実証的な学問である社会心理学の本質を見失うことなく、実践的な知恵が盛り込まれた内容になっています。ここで学んだ社会心理学の知識を、読者のみなさんに大いに活用していただければ幸いです。