ファーストブックシリーズ多変量解析がわかる

[表紙]多変量解析がわかる

紙版発売

A5判/272ページ

定価2,068円(本体1,880円+税10%)

ISBN 978-4-7741-4639-3

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書籍の概要

この本の概要

多変量解析はデータを客観的に分析する,とても応用範囲が広い統計手法です。またコンピュータの発展により,困難だった計算も,容易に実行できるようになりました。一方,多変量解析は難解で,道具として使いこなすのは,難しいイメージがあります。本書は,そんな難解といわれる多変量解析を,具体的な例題と図で分かりやすく解説。また,専用ソフトを用いないため,入門書としてうってつけです。「ファーストブック 統計解析がわかる」を読んだ次のステップとしても最適です。

こんな方におすすめ

  • 多変量解析を勉強している方
  • 幅広い統計手法を勉強したい方

目次

第1章 多変量解析の準備

1-1 多変量解析の目的 ~複数項目の資料から宝物情報を抽出する術

  • 多項目からなる多変量資料
  • 多変量解析の目的
  • 個票データが重要
  • 個票データで用いる言葉

1-2 分散 ~分散は資料のバラツキ具合を表す

  • 資料の並の値が平均値
  • 個体の個性を表す偏差
  • 偏差の平方和が変動
  • 偏差の2乗平均が分散
  • 分散の記号
  • 資料のバラツキを身近に表現する標準偏差

1-3 相関図 ~2変量の関係をイメージ化

  • 2変量の関係を描く相関図
  • 正の相関・負の相関

1-4 共分散,相関係数 ~2変量の関係を数値化する

  • 偏差の積の平均値が共分散
  • 2変量の関係を数値化する共分散
  • 共分散の記号
  • 共分散を普遍化した相関係数
  • 分散共分散行列と相関行列

1-5 変量の標準化 ~データを規格化して見やすくする技法

  • 変量を規格化する「標準化」
  • 標準化された変量の共分散は相関係数と一致

1-6 パス図 ~変量の関係をイメージ化

  • 変量の関係を図示するパス図
  • 潜在変数を含むパス図
  • パス図のまとめ

1-7 ソルバーの使い方 ~多変量解析のための強力な武器

  • ソルバーの確認
  • ソルバー利用法

1-8 クロス集計表 ~2つの項目の関係を表にする方法

  • 例から調べるm×nクロス集計表
  • 表側と表頭

第2章 回帰分析

2-1 回帰分析の分類 ~外的基準のある分析術

  • 単回帰分析と重回帰分析
  • 線形の回帰分析と非線形の回帰分析
  • 回帰分析のイメージ化

2-2 単回帰分析とは ~相関図上の点を回帰直線で表現

  • 回帰方程式のイメージ
  • 回帰方程式の利用法

2-3 単回帰分析の回帰方程式の求め方 ~予測値と実測値との差を最小化

  • 実測値と予測値
  • 回帰方程式の求め方
  • 実際に回帰方程式を求めてみる

2-4 単回帰分析の回帰方程式の公式 ~統計量の様々な関係

  • 回帰方程式の公式
  • 回帰方程式の公式の証明
  • 残差平方和と残差の分散の関係
  • 目的変量の分散は予測値と残差の分散の和
  • 単回帰分析のパス図

2-5 決定係数 ~回帰分析の精度を示す指標

  • 回帰方程式の精度
  • 回帰方程式の説明力を表す決定係数
  • 実際に決定係数を求める
  • 重相関係数

2-6 重回帰分析 ~1変量を複数の変量から予測する分析法

  • 重回帰分析の回帰方程式
  • 重回帰分析の回帰方程式の求め方
  • 実際に回帰方程式を求めてみる
  • 重回帰分析のパス図

2-7 重回帰分析の回帰方程式の公式 ~一般公式は行列で表現

  • 最小2乗法の復習
  • 残差平方和を微分
  • 回帰係数を行列表現

2-8 Excelを用いた回帰分析 ~LINEST関数の利用法

  • LINEST関数で線形回帰分析

2-9 対数線形モデルの回帰分析 ~非線形モデルへの対応法

  • 対数線形モデルとは
  • 具体例を見てみる
  • 変数を変換して線形モデル化

第3章 主成分分析

3-1 主成分分析の考え方 ~合成変量から資料を分析

  • 変量の合成の原理
  • 合成変量の作り方
  • 主成分はデータの見方を変えただけ

3-2 主成分の求め方 ~分散を最大にする変量を合成

  • 主成分は分散を最大にする変量合成
  • 原理を直接用いて主成分を数値計算
  • 主成分の解釈
  • 各個体の主成分の値が主成分得点

3-3 寄与率 ~主成分の説明力を表現する指標

  • 主成分の寄与率の定義
  • 実際に寄与率を算出

3-4 第2主成分 ~主成分の搾りカスから抽出される第2の主成分

  • 主成分の「搾りかす」から得られる第2主成分
  • 主成分の「搾りかす」の資料の算出
  • 実際に第2主成分を抽出
  • 第2主成分を解釈

3-5 累積寄与率 ~主成分全体の説明力を示す指標

  • 寄与率の和が累積寄与率
  • 実際に累積寄与率を算出

3-6 変量プロットと主成分得点プロット ~主成分分析の結果を視覚化

  • 変量を主成分から評価する変量プロット
  • 個体を主成分から評価する主成分得点プロット

3-7 主成分分析の数学的な定式化 ~ラグランジュの未定係数法

  • 主成分の求め方の復習
  • ラグランジュの未定係数法
  • 実際に微分計算
  • 固有値問題を解く
  • 固有値問題の解から主成分を得る

第4章 因子分析

4-1 データの背後を探る因子分析 ~データから原因をあぶり出す手法

  • 1因子モデルで仕組みを理解
  • 1因子モデルを式で表現
  • モデルの式から分散・共分散を算出
  • 因子間の独立性を仮定
  • 変量の標準化で式を簡略化
  • 変量の標準化
  • 原理は分散・共分散を忠実に再現すること
  • 方程式を解いてみる
  • 因子の解釈

4-2 共通性と寄与率 ~共通因子の説明力を示す指標

  • 変量に対する共通因子の説明力が「共通性」
  • 資料全体に対する共通因子の説明力が「寄与率」

4-3 2因子モデルの因子分析 ~因子負荷量の方程式を導出

  • 2因子モデルの関係式
  • 2因子モデルの因子負荷量の方程式

4-4 2因子直交モデルを解く(1) ~最小2乗法で因子負荷量を決定

  • 2因子直交モデルの因子負荷量の方程式
  • 共通性を推定
  • 共通性推定のためのSMC法
  • 因子負荷量の方程式の解き方
  • 因子負荷量の方程式を実際に解く
  • 因子の意味を調べる

4-5 反復推定法 ~推定値と算出値との不整合を解決

  • 反復計算の原理
  • 計算結果を見てみる

4-6 バリマックス回転 ~共通因子を解釈しやすくする技法

  • 因子分析の基本方程式の特徴
  • 因子負荷量の回転
  • 回転後のまとめ

4-7 2因子直交モデルを解く(2) ~主因子法で因子負荷量を決定

  • 因子負荷量の方程式を行列表現
  • 主因子法による因子の抽出
  • 固有値問題を解く
  • 最小2乗法と比較

第5章 SEM

5-1 古典的因子分析とSEM ~SEMはデータ構造を予め仮定

  • 古典的因子分析の復習
  • 古典的因子分析を発展させたSEM

5-2 確認的因子分析 ~因子の意味を予め仮定する分析術

  • 確認的因子分析の関係式
  • パラメータの決定原理は因子分析と同様
  • 理論値と実測値の誤差が適合度関数
  • 計算の実行
  • 結果を見てみる

5-3 非直交モデルの因子分析 ~因子間の相関がある因子分析

  • 非直交モデルとは
  • 非直交モデルを式で表すと
  • 非直交モデルの方程式を解く

5-4 潜在変数に構造を仮定できるSEM ~SEMらしい問題に挑戦

  • モデルを式で表すと
  • モデルの方程式を解く
  • 結果を見てみる

5-5 SEMのモデルを検定 ~SEMと最尤推定法とのコラボレーション

  • SEMの尤度関数
  • 最尤推定法の適合度関数
  • 確認的因子分析モデルを最尤推定法で分析
  • 確認的因子分析モデルの確認
  • 最尤推定法を実行
  • 結果を見てみる
  • 適合度関数と検定
  • SEMの検定の特徴

第6章 判別分析

6-1 判別分析とは ~データの群分けを最適に判断する技法

  • 2つの代表的な判別分析法

6-2 相関比 ~2群の離れ具合を表現する相関比

  • 具体例で調べる
  • 分散の分離
  • 群の離れ具合を示す群間変動
  • 群のまとまり具合を示す群内変動
  • 全変動に占める群間変動の割合が相関比h2
  • 相関比h2の性質
  • 実際に計算してみよう

6-3 線形判別分析のしくみ ~相関比が最大になるような変量の合成

  • 具体例でイメージ作成
  • 群が離れて見える変量を合成
  • 変量合成の原理は相関比の最大化
  • 具体例を用いて計算
  • 解確定のために合成変量zの分散を仮定
  • 定数項決定の原理は相関比とは別
  • 線形判別関数z=0は2群の境界線を表す
  • 結果を見てみる
  • 判別得点は群所属の判別の目安

6-4 線形判別分析の計算の実際 ~パソコンで解いてみる

  • 線形判別分析のまとめ
  • Excelのソルバーで線形判別分析

6-5 線形判別分析の数学的解法 ~統一的な議論が可能

  • ラグランジュの未定係数法を利用
  • 微分の結果を行列で表現
  • 未定係数mは相関比
  • 実際にmを求めてみよう
  • 線形判別関数を求めてみよう

6-6 マハラノビスの距離 ~確率を加味した平均値からの遠近表現

  • マハラノビスの距離の必要性
  • 1変量のマハラノビスの距離
  • 多変量のマハラノビスの距離
  • マハラノビスの距離を一般化
  • マハラノビスの距離と多変量正規分布

6-7 マハラノビスの距離による判別分析 ~距離の遠近で群判別

  • マハラノビスの距離による判別の原理
  • マハラノビスの距離による判別の具体例
  • マハラノビスの距離による判別の正誤

6-8 判別的中率 ~判別の精度を示す指標

  • 判別的中率
  • 判別的中率の評価

第7章 質的データの多変量解析

7-1 質的データの統計学 ~数値の意味を持たないデータの扱い

  • データを測る尺度には4種
  • 質的データの統計解析
  • アイテムとカテゴリー

7-2 数量化Ⅰ類 ~量的データを基準に質的データを数量化

  • 数量化Ⅰ類の分析対象となる資料
  • 各カテゴリーにカテゴリーウェイトを付与
  • 目的変量とサンプルスコアとの誤差を最小化
  • カテゴリーウェイトを条件付け
  • 最小2乗法を用いて実際に計算
  • 結果を見てみる

7-3 数量化Ⅱ類 ~質的データを基準に質的データを数量化

  • 数量化Ⅱ類の分析対象となる資料
  • カテゴリーウェイトの設定
  • 2群を遠ざけるようにウェイトを決定
  • 相関比のまとめ
  • 相関比を最大にする数量化が数量化Ⅱ類
  • カテゴリーウェイトに条件付け
  • 相関比h2を最大にするように数量化
  • 結果を見てみる

7-4 数量化Ⅲ類 ~クロス集計表の表側と表頭のカテゴリーを数量化

  • 数量化Ⅲ類の分析対象となる資料
  • 数量化Ⅲ類は項目の並べ替え
  • クロス集計表の並びは相関図の並び
  • 数量化Ⅲ類の原理は相関係数の最大化
  • 相関係数を求めるための個票を作成
  • 作成した個票から相関係数を算出
  • カテゴリーウェイトの条件付け
  • 相関係数を最大にするように数量化
  • 結果を見てみる

7-5 数量化Ⅳ類 ~互いの親近性から関係を数量化

  • 数量化Ⅳ 類の分析対象となる資料
  • 親近度の重みづけをした距離を距離を考える
  • 距離Qを最小にするように数量化
  • 結果を見てみる
  • 多次元に拡張

7-6 コレスポンデンス分析 ~数量化Ⅲ類の拡張

  • コレスポンデンス分析の対象となる資料
  • コレスポンデンス分析は項目の並べ替え
  • クロス集計表の並びを相関図の並びで解釈
  • コレスポンデンス分析の原理は相関係数の最大化
  • 相関係数を求めるための個票を作成
  • カテゴリーウェイトを条件付け
  • 相関係数を最大にするように数量化
  • 結果を見てみる
  • カテゴリーウェイト順に並べ替え

付録

  • 付録A 分散と共分散の計算公式
  • 付録B 重回帰方程式の一般的な解法
  • 付録C 極値条件とラグランジュの未定係数法
  • 付録D 行列の基本
  • 付録E 対称行列の固有値問題とその性質
  • 付録F 固有値問題の数値的解法
  • 付録G 第1主成分を取り除いた「搾りカス」変量の導出
  • 付録H 正規分布と多変量正規分布
  • 付録I 最尤推定法
  • 付録J 最尤推定法のための適合度関数

著者プロフィール

涌井良幸(わくいよしゆき)

 

涌井貞美(わくいさだみ)