tanQブックス 世界は複製でできている ――共通性から生まれる多様性
- 武村政春 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2013.2.26[在庫なし] 2013.3.1
- 判型
- 四六
- 頁数
- 208ページ
- ISBN
- 978-4-7741-5553-1 978-4-7741-5596-8
サポート情報
概要
いまや、世の中は「複製の時代」である。インターネットやデジタル機器の進歩と普及が、いまのこの時代を大きく動かしていることをみても、それは実感できるだろう。そもそも、地球上で複製を始めたのは生物である。ならば、その複製を中心に、生物の進化、社会の構造の謎に迫ってみてはどうだろうか。「複製」というキーワードでこの世界を見渡してみると、あらゆるところに共通性と多様性創出の同じ原則が働いていることがわかる。その原則をあぶり出すことで、世界の、そして人間のありようを捉えなおすことができるかもしれない。
こんな方にオススメ
- DNA、iPS細胞など、生物学における複製に関心のある方
- 社会における複製という現象、行為全般に関心のある方
目次
第一章 遺伝子と複製
- (一) DNAは複製する
- (二) 細胞は分裂する
- (三) 遺伝のしくみ
- (四) 性の起源とその役割
- (五) DNAの複製に込められた生物進化のしくみ
- (六) 生物進化と「複製」との関係
- (七) まとめ
第二章 なぜヒトは学習し、記憶するのか
- (一) 学習・模倣と複製
- (二) 伝承~オリジナルの変遷~
- (三) 記憶装置と複製装置~デジタルメディア時代の複製~
- (四) 偽の記憶~複製産物がオリジナルへと変わるとき~
- (五) 精神医学が対象とするいくつかの「複製」事例
- (六) 延長された脳~複製がもたらす記憶装置の膨大化~
- (七) まとめ
第三章 生物の体と複製
- (一) 生殖細胞と体細胞
- (二) 生物発生と複製
- (三) 複製の海
- (四) 老化と複製
- (五) 繰り返される生と死
- (六) 擬態に見える生物の「複製」
- (七) まとめ
第四章 なぜヒトは多くのものを消費するのか
- (一) 「ほんもの主義」の上に立つ複製
- (二) パロディと複製
- (三) 「複製」から「創造」への転換
- (四) 大消費社会における商品のありよう
- (五) 多様化する(ための)複製
- (六) 消費社会と個性との複製論的関係について
- (七) まとめ
第五章 ヒトはどのように進化してきたか
- (一) 生物の共通性と多様性
- (二) 複製性の進化~分子から細胞へ~
- (三) 複製性の進化~原核生物から真核生物へ~
- (四) 多核細胞はなぜそこにあるか
- (五) コピーされた塩基配列~超霊長類の誕生~
- (六) 分岐点にて~チンパンジーとヒトの分かれ目~
- (七) まとめ
終章 世界のありようを「複製」を通して理解すること
プロフィール
武村政春
1969年三重県生まれ。名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。博士(医学)。名古屋大学助手、三重大学助手等を経て、現在東京理科大学大学院科学教育研究科准教授。専門は生物教育学、分子生物学、複製論。著書に、『DNAを操る分子たち』(技術評論社)、『レプリカ』(工作舎)、『たんぱく質入門』『新しいウイルス入門』(以上、講談社ブルーバックス)、『おへそはなぜ一生消えないか』『脱DNA宣言』(以上、新潮新書)、『DNAの複製と変容』(新思索社)、『マンガでわかる生化学』(オーム社)など。