成果を生み出すテクニカルライティング
―トップエンジニア・研究者が実践する思考整理法

[表紙]成果を生み出すテクニカルライティング ―トップエンジニア・研究者が実践する思考整理法

A5判/192ページ

定価(本体2,280円+税)

ISBN 978-4-297-10406-1

電子版

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書籍の概要

この本の概要

研究・開発の成果が出なくて困っていませんか? そんなとき振り返ってほしいのは,あなたの研究開発におけるコミュニケーション能力,なかでも「テクニカルライティング」の能力です。適切な文書化を行うことは,「やりたい研究の企画・予算が通りやすくなる」「論文が査読に通りやすくなる」といった直接的な目的に役立つだけでなく,思考を整理し,研究・開発それ自体をスムーズに進めるための方法でもあるからです。そう,テクニカルライティングの能力は,研究・開発の推進能力を高め,成果を生み出すための大きな鍵を握っているのです。
本書ではこのような前提に立ち,日々の進捗報告からプレゼンテーション,論文に至る実例を交じえながら,誰もが研究・開発をうまく進められるテクニカルライティングの方法論を解説します。

こんな方におすすめ

  • 理系の大学生/大学院生/若手研究者
  • 企業でR&Dなどを行うエンジニア

目次

はじめに ── あなたがテクニカルライティングを習得すべき理由

  • なぜ研究開発で成果を出せないのか?
    • 「理解できない」と言われ続けたエンジニア・研究者時代
    • 文書作成のための言語化能力と実務能力は相関する
  • テクニカルライティングで成果を上げる
    • 思考整理のための「黄金フォーマット」
    • 本書の構成と各章の概要
    • 部下・学生の指導にも役立つ文書作成の方法論

第1章 成果創出の基盤はコミュニケーション能力にあり――なぜ言語化の精度を高めれば実務能力も高まるのか?

  • 1-1 実務能力とコミュニケーション能力の意外な関係
    • エンジニア・研究者に求められる2つのミッション
    • ミッションの遂行に必要な2つの能力
    • 軽視されがちなコミュニケーション能力
  • 1-2 実務能力 ── 成果を生み出すメインエンジン
    • 課題を発見する能力 ── いま何に対して答えを出す必要があるか?
    • 解決策を考える能力 ── 設定した課題に対してどうアプローチするか?
  • 1-3 コミュニケーション能力 ── 実務能力を伸ばす成長エンジン
    • 相対化する能力 ── 自身の取り組みはどのように位置付けられるか?
    • 言語化する能力 ── どのように思考を整理し他人が理解できるようにするか?
  • 1-4 コミュニケーション能力不足が招く悲劇
    • 課題を適切に設定できない ── いま何に答えを出せばよいかが分からない
    • 課題にフォーカスできない ── 何をしようとしていたのか途中で迷ってしまう
    • 解決方法を思いつかない ── どうすればよいかが分からない
    • 内容を理解してもらえない ── 誰にも相談できない
  • 1-5 成果を生み出すためのコミュニケーション能力
    • コミュニケーション能力の本質 ── 言語化こそが「サイエンス」の過程になる
    • 正しい言語化は正しいPDCAを導く ── コミュニケーション能力が組織を変える

第2章 テクニカルライティングの黄金フォーマット――誰もが実践できるフレームワークを用いた思考整理法

  • 2-1 研究開発にありがちなコミュニケーションの不調
  • 2-2 「黄金フォーマット」にのっとって文章化する
    • なぜフォーマットにのっとる必要があるのか?
    • 立体的な関係性を重視する黄金フォーマット
    • 関係性を満たさないダメな例
    • 黄金フォーマットにのっとって改善した例
    • 黄金フォーマットを用いる効果
  • 2-3 背景 ── 基礎(従来技術)の確認
    • 今後の展開を説明するうえでの「基礎」を明確にする
    • 必要な「背景」の粒度は聞き手によって異なる
    • 「背景」を詳細化するためのピラミッド形式
  • 2-4 課題 ── 従来技術では克服できない問題点
    • 「課題」を正確に言語化し,仮説の精度を上げる
    • 「課題」を詳細化するためのピラミッド形式
  • 2-5 手段 ── 新しいアプローチ
    • 差分「のみ」をオリジナリティとして抽出する
    • オリジナリティを見誤るとインパクトの評価も不正確になる
    • 英文を想像して言語化の精度をチェックする
  • 2-6 効果 ── 今回の新たな発見
    • 「課題」の裏返しが「効果」になる
    • 研究開発の過程では結論が課題解決に繋がるとは限らない
  • 2-7 さらに改善してみよう ── 黄金フォーマットを意識した説得力のある技術資料
  • 2-8 2種類の構成パターン ── 黄金フォーマットを現実化する資料の流れ
    • ストーリー重視の「報告・相談型」
    • 結論重視の「提案型」
  • 2-9 テクニカルライティングのチェックポイント

第3章 評価に繋がる「進捗報告書」――基本を忠実に実践して信用と実績を積み上げよう

  • 3-1 すべての基本が詰まった進捗報告書
    • 「要約」という高度な能力が求められる
    • 黄金フォーマットで理想的な報告を実現する
    • ダメな報告書が生み出す悲劇
  • 3-2 Before/After ── 自然言語処理の研究に関する週次報告書
    • Before ── ダメな進捗報告書
    • なぜこの進捗報告書がダメなのか?
    • After ── 優れた進捗報告書
    • ダメな進捗報告書との違いは何か?
  • 3-3 報告書教育が組織を強くする

第4章 納得してもらえる「技術プレゼン」――聞き手とその目的を理解して効果的にアピールしよう

  • 4-1 誰に,何のために,なぜプレゼンをするのか?
    • 誰に対してプレゼンするのか?(WHO)
    • そのプレゼンの目的は何か?(WHAT)
    • その内容で目的を達成できると考える理由は何か?(WHY)
    • 資料作成の前にストーリーラインを決める
  • 4-2 Before/After ── 自然言語処理の研究成果に関する非技術者向けプレゼン
    • Before ── ダメな技術プレゼンテーション
    • なぜこの技術プレゼンテーションがダメなのか?
    • After ── 優れた技術プレゼンテーション
    • ダメな技術プレゼンテーションとの違いは何か?
  • 4-3 プレゼン資料をもっと魅力的にするために
    • プレゼン資料の型に注意する
    • スライド間の関係・位置づけを意識する

第5章 予算がとれる「研究企画書」――高い視座から意気込みを示して意思決定を促そう

  • 5-1 意志決定のプロセスを理解し,合理的な企画を立案する
    • 2つ上の上司に提案するつもりで書く
    • 理想的な結果とアプローチの方向性を示す
    • 意思決定者の問いに論理的な回答を用意する
  • 5-2 Before/After ── 自然言語処理プロジェクトに関する研究企画書
    • Before ── ダメな企画書
    • なぜこの研究企画書がダメなのか?
    • After ── 優れた企画書
    • ダメな研究企画書との違いは何か?

第6章 総合力が試される「論文・技術報告」――思考整理で論拠を詰めて必然の結果を得る

  • 6-1 民間企業でも推奨される論文執筆
  • 6-2 論文の項目は黄金フォーマットの各ボックスに対応する
    • 先行研究 ── 黄金フォーマットにおける「背景・前提」
    • 課題 ── 黄金フォーマットにおける「課題」
    • 手段 ── 黄金フォーマットにおける「手段・アプローチ」
    • 結果・分析と考察 ── 黄金フォーマットにおける「効果・結論」
    • 結論 ── 黄金フォーマットのすべての欄を総括する
  • 6-3 結果が出るまでに論文を書き上げる
  • 6-4 最初に報告する相手は自分自身

おわりに――エンジニア・研究者として成果を出し続けるために

  • テクニカルライティングで思考を整理して成果を出す
  • エンジニア・研究者としての足腰を鍛えよう
  • 言語化が改善を生み出す基盤となる

著者プロフィール

藤田肇(ふじたはじめ)

技術経営コンサルタント・弁理士。株式会社リジー 代表取締役。「人工知能 冬の時代」に機械学習・人工知能を専攻し,研究者・データサイエンティストとして活躍後,弁理士資格を取得。大手特許事務所でテクニカルライティングを習得し,AI関連企業で技術戦略・知財戦略の立案・推進に携わる。その後,技術・事業・知的財産の融合領域における専門知識を生かして独立。テクノロジー企業を中心に,技術経営・知財戦略に関するコンサルティングを提供する。朝日新聞社主催「AI FORUM 2018」,ソフトバンクC&S主催研修会,日本弁理士会主催継続研修など各種イベント・研修会の講師を多数務めるほか,「人工知能が支える先進医療」(野村ヘルスケアノート)など多数執筆。
Web:https://www.lisi.jp/
Twitter:@fujitahajime