数学のみかた,考え方シリーズ暗号から学ぶ代数学

[表紙]暗号から学ぶ代数学

紙版発売
電子版発売

A5判/208ページ

定価2,508円(本体2,280円+税10%)

ISBN 978-4-297-12516-5

電子版

→学校・法人一括購入ご検討の皆様へ

書籍の概要

この本の概要

代数学は,集合論や群論などから学びはじめるのが一般的です。しかしそれらは微分積分や線形代数よりも抽象的な印象があるため,とっつきにくいといわれています。そこで,本書では,暗号技術を切り口にして代数学を実例,活用シーンから理解できるように構成します。暗号技術は今の社会には欠かすことができない技術で,数学だけではなく情報科学としても注目されています。そこで使われている数学が代数学なのです。身近なところで使われている暗号を例にして,素数,ユークリッドの互除法,フェルマーの小定理など高校までに学んだことも盛り込みつつ,代数学の基本である群・体・環の話からRSA暗号,エルガマル暗号の話にまで発展させていきます。

こんな方におすすめ

  • 理工系で代数学を学んでいる人,代数学つまずいている人,暗号の理論やセキュリティなどの技術の仕組みを数学的に知りたい人など

本書のサンプル

本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。

サンプル画像1

サンプル画像2

サンプル画像3

サンプル画像4

サンプル画像5

目次

  • はじめに

第1章 暗号と代数学

  • 1.1 暗号とは何か
  • 1.2 暗号は関数である
  • 1.3 暗号の数学的定式化と例
  • 1.4 暗号と代数系

第2章 シーザー暗号と合同演算,群

  • 2.1 シーザー暗号と合同演算
  • 2.2 群Z/nZ

第3章 ここでちょっと群論

  • 3.1 部分群と位
  • 3.2 位数と部分群からみる巡回群の性質

第4章 ヴィジュネル暗号と群の直積

  • 4.1 ヴィジュネル暗号
  • 4.2 群の直積
  • 4.3 巡回群の直積
  • 4.4 暗号と直積

第5章 エニグマと対称群

  • 5.1 エニグマと群
  • 5.2 n次対称群Sn

第6章 暗号以外の分野に現れる群

  • 6.1 図形の対称性と群
  • 6.2 分子の対称性と
  • 6.3 文様と群
  • 6.4 連続群

第7章 群論への橋渡し

  • 7.1 剰余類と剰余群
  • 7.2 群の構造を比べる

第8章 RSA暗号と環

  • 8.1 RSA暗号と合同演
  • 8.2 環Z/nZ
  • 8.3 環Z/nZの性質とRSA暗号の原理
  • 8.4 RSA暗号とアルゴリズ

第9章 エルガマル暗号と有限体

  • 9.1 エルガマル暗号とその原理
  • 9.2 エルガマル暗号と有限体Z/pZ
  • 9.3 エルガマル暗号と一般の有限体

第10章 環論・体論への橋渡し

  • 10.1 イデアルと剰余
  • 10.2 体
  • さらに学びたい人へ
  • 参考文献
  • 付録A 本書で学んだ定義・定理
  • 付録B 問題の解答
  • 索引

著者プロフィール

川添充(かわぞえみつる)

著者
1968年 愛知県生まれ。
1991年 京都大学理学部卒業。
1996年 京都大学大学院理学研究科博士課程修了。
博士(理学)。
現在,大阪府立大学高等教育推進機構および大学院理学系研究科教授。
専門は代数幾何学,暗号理論,数学教育。
著書は『思考ツールとしての数学』(共立出版,共著),『新しい数学教育の理論と実践』(ミネルヴァ書房,共著),『理工系新課程線形代数』『理工系新課程線形代数演習』(以上,培風館,共著)など。


上野健爾(うえのけんじ)

監修者
1945年 熊本県生まれ。
1968年 東京大学理学部卒業。
1970年 東京大学理学研究科修士課程修了。
1973年 博士(理学)。
専門は代数幾何学,複素多様体論。
現在,京都大学名誉教授,四日市大学関孝和数学研究所長。
主な著書に『代数幾何学入門』『数学者的思考トレーニング』代数編,解析編,複素解析編『円周率が歩んだ道』(以上,岩波書店),『和算への誘い』(平凡社)“Conformal Field Theory with Gauge Symmetry”(American Math.Society)など。