製造業の3D革命
~ファストデジタルツインで加速するDX最前線 石油・化学メーカー編
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金丸剛久,田邊雅幸 著
技術評論社デジタル事業部 監修 - 定価
- 1,210円(本体1,100円+税10%)
- 発売日
- 2024.1.13
- 判型
- 四六
- 頁数
- 144ページ
- ISBN
- 978-4-297-13905-6 978-4-297-13906-3
サポート情報
概要
3D仮想空間・デジタルツインの普及がもたらす新たなものづくりとエコシステムの創生―――
本書では製造業の中でも重厚長大な石油化学工業におけるプラント設備の保全業務に焦点を当てます。
機密性が高く差別化の源泉ともなる高度な技術と、旧態依然とした働き方が混在する業界の未来を、世界中のプラント3Dマップ化に着手している日揮グループ・ブラウンリバース株式会社と、産業の安全規制のトレンドを仕掛けるストラトジックPSM研究会を創設した著者らが解説します。
「ファストデジタルツイン」が業界に必要とされる理由・蓋然性、業界内の実践者が語るプラントDXの在り方、デジタルツイン社会を目指す業界リーダーたちの取り組み、といった石油化学工業におけるDXの現在地がわかります。
こんな方にオススメ
- 製造業、とくに石油化学工業のプラント設備保全や操業に従事している人
- 製造業、とくに石油化学工業関連企業でDXを推進する人
- 製造業、とくに石油化学工業関連企業の経営層
目次
第1章 第二次産業は、高度経済成長期から何が変わったのか
- 製造業の最大公約数的社会課題
- いわんや設備の高経年化
- 生き字引が不在、ベテラン従業員の引退
- モノ売りからコト売り「グリーン」主導へ
- 築き上げた仕事観が旧態依然だと指される日
- そのDX推進、芯を捉えているか
- プロセス産業の保全活動を変える「デジタルツイン」という解決策
- 現実世界にあるものを仮想化するデジタルツイン
- 既設プラントにフィットするデジタルツインとは?
- デジタルツインをファストに構築するという発想
- プロセス産業における「デジタルツイン」の未来像
第2章 日本の製造業とDX
- DXが先行する自動車産業、同時にデジタルツインも加速
- なぜ自動車産業は変革を推し進められるのか
- 石油化学工業でDXがなかなか進まない理由とは?
- 石油化学工業に求められる変革に必要な要素とは?
- DXの起点としてデジタルツインを完成させる
第3章 重厚長大なプロジェクトタスクを紐解く
- プラント共通課題「定期修理」の計画から遂行までを分解する
- プラントの仮想化とタスクフローの可視化が第一歩
- プラントの仮想化をしておくことで享受できるメリット
- 定期修理の業務フローはもっと最適化できる
- 同じ絵を見て、最新情報を共有してプロジェクトを遂行する
第4章 業界の変革に挑むリーダーたち
- DX推進は、いったい“誰”がやるのか? ~当事者意識の醸成~
- DX加速の狙いは市場での圧倒的存在感、社員のエンゲージメントの向上
- DX推進に立ちはだかる“理解の壁”
- 変化をするために、人の心に寄り添った活動を展開
- ものづくりへの熱い気持ちが、必ずDXの成功に結びつく
- DX推進は、ミドルアップダウン ~リーダーの苦悩~
- 生産性向上とリモートワークの推進がDXのはじまりだった
- 拠点間でDXの効果を共有することで課題解決と意思決定の迅速化につなげる
- 現場が自発的にシステムの利便性と必要性に気付く取り組みに注力
- 石油精製プラント業界全体で情報共有。それがグローバルとの競争力を高めるチカラに
- 保安4法とデジタルの歩み寄り ~法規の壁~
- 法規を縁の下から支える危険物保安技術協会の成り立ちと役割
- デジタルと保安4法、それぞれの歩み寄りがDXの推進力に
- デジタルツインで大切な従業員、最前線で活動する消防隊の命を守る
- 官庁申請業務のスマート化に期待が高まる
第5章 石油化学工業の当たり前をちゃぶ台返し
- 現場は時間と地理的制約から解放される“シン・三現主義”へ
- リスクベースとDXの組み合わせで高度な自主保安を支援
- 安全規制法規を遵守する上で、知っておくべきこと
- 紙面に捉われない自由なものづくりがもたらすDX
- 紙ベースの設計図書に縛られている疑問
- 仮想空間がもたらす3つの段階的変化
- グラフデータベースとデジタルツイン
第6章 設備保全のデジタルツインからものづくりを変えていく
- ヒト・モノ・コト。すべてを三次元でつなげる“ハブ”としての役割を担うデジタルツイン
- プラント操業の英知・ヒト・モノをバーチャルで管理し、産業全体を最適化する
- 時代はDXからGXへ
第7章 仮想空間と共にある世界に備えよ
- デジタルツインが当たり前となる時代へ
- 現実とシンクロするデジタルツインは無限の可能性を秘めている
第8章 特別対談:プロセス安全管理(PSM)を仮想空間で考える
プロフィール
金丸剛久
ブラウンリバース株式会社代表取締役 CEO
1971年埼玉県岩槻市生まれ。1997年東京工業大学院環境物理工学修了後、日揮(株)に入社。原油処理施設からLNGプラントにわたるプロセス設計に20余年、海外エンジニアリング会社とのJV中心にEPCプロジェクトのプロセスリードを歴任。大規模更新プロジェクト参画をきっかけに重厚長大な設備の維持管理の難しさを目の当たりにし、O&Mスマート化事業開発に着手。統合型スマート保全プログラム「INTEGNANCE(インテグナンス)」構想を実現すべく、2022年ブラウンリバース(株)を立ち上げ、代表取締役に就任。伊能忠敬が55歳で17年かけて日本地図を作った偉業に年齢的な親近感を勝手に抱き、自分は5年で世界中のプラントの3Dマップを作ると語る。忖度のない「ちゃぶ台返し」を好み、ブラウンフィールドのリバースエンジニアリングに由来する社名には、そんな裏の意味も込めている。
ブラウンリバース株式会社
https://www.brownreverse.com/
INTEGNANCE VR
https://www.integnance-vr.brownreverse.com/
田邊雅幸
ストラトジックPSM研究会代表
横浜国立大学IMS准教授
1973年千葉県八千代市生まれ。1998年横浜国立大学博士課程前期を修了後、大手エンジニアリング会社に25年間勤務し国内外の化学プラント、原子力関連設備の設備設計プロジェクトのプロセス安全マネージャーを経験、また2017年から国内事業者向けのプロセスセーフティマネジメント導入コンサルティングを実施している。勤務の傍ら2011年に横浜国立大学にて博士課程後期を修了、2013年から講師としてプロセス安全に関する講義を担当、2016年から横浜国立大学IAS客員准教授(現IMS客員准教授)。2019年から英国化学工学会のプロフェッショナルプロセスセーフティエンジニアとして登録。2019年英国化学工学協会グローバルアワードプロセス安全部門のファイナリストに選出される。2020年からリスクベースアプローチによるプロセス安全マネジメントシステムの社会実装に関する産官学研究会の代表を務める(ストラトジックPSM研究会)。
ストラトジックPSM 研究会
https://www.strategic-psm.com/