60分でわかる! 財務3表 超入門

著者の一言

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決算書とりわけ財務3表は経営の成果を表す「経営の通信簿」ですが,経営者の考え方や経営手腕を表した「経営を映す鏡」でもあります。

もちろん企業のすべてを詳細に表すことは不可能ですが,企業の実態が反映されており,経営の改善,改革すべき内容のエキスが決算書の財務3表に表れています。決算書は経営戦略における企業の現状を把握するうえでの貴重な資料です。だからこそ決算書を読めない経営者は失格の烙印を押されても仕方ないのです。

決算書とりわけ財務3表の数値は経営戦略を策定するうえで,現状分析の欠かせない資料となり,これに基づいてビジョン,目標に向かって戦略計画を立てる貴重な材料となります。

経営戦略の基本は,⁠自社の得意な技術等をいかに外部経営環境に応じて活かして使っていくか」にあるので,自社の強み,弱みを把握することが大事です。この考えをSWOT分析といいます。SWOTは「Strength(強み⁠⁠,⁠Weakness(弱み⁠⁠,⁠Opportunity(機会⁠⁠,⁠Threat(脅威⁠⁠」のそれぞれ頭文字をとったものです。⁠強み」「弱み」は会社内部の資源に伴うものであり,⁠機会」「脅威」は外部環境に依存します。

財務分析によって自社の「強み」「弱み」を定量的に発見して,⁠機会」「強み」を活かした積極攻勢策,⁠機会」「弱み」を組み合わせた改善・改革策,⁠脅威」「強み」を組み合わせた差別化策,あるいは「脅威」「弱み」を組み合わせた防衛・撤退策に分類して企業に適した対策を講じることが大切です。

(⁠⁠付録」より一部抜粋)

著者プロフィール

高良明(たからあきら)

創新グループ代表。公認会計士,税理士。1948年(昭和23年)生まれ。明治大学商学部を卒業後,公認会計士事務所及び大手監査法人に勤務し,税務会計および監査業務の経験を積む。公認会計士・税理士の資格を取得して,1975年(昭和50年)に高良会計事務所を創業する。

その後,「創造と革新」を基本に「全関与先黒字存続」をビジョンに掲げ,創新グループを結成し,会計・税務・監査・経営・教育・人材派遣等総合的に事業を展開する。この間,公認会計士協会等業界団体の委員会メンバーに関与し,50年にわたり大手企業および中小企業並びに各団体の役員,顧問,コンサルティングに携わって今日に至る。