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PIC16F1ファミリとは?
「電子工作のためのPIC16F1ファミリ 活用ガイドブック」が発売されました。
本書は,日本でのPIC書籍の先駆けとなり,PICマイコンの愛好者を急増させた伝説の書籍「電子工作のためのPIC活用ガイドブック」,より高度な使い方に対応した「改訂版 電子工作のためのPIC16F活用ガイドブック」に続くもので,実質的には第3版となります。
本書のタイトルにある「PIC16F1ファミリ」とは,「PIC16F1xxx」という型番で発売されているマイコン群のことです。「拡張版PIC16」や「エンハンスドPIC16」と呼ばれることもあり,従来のPIC16Fの機能を大幅に強化したもので,PIC18ファミリに迫る性能を誇ります。ここでは,PIC16F1ファミリとはどんなマイコンなのか,簡単に解説します。
C言語での開発に適したアーキテクチャ
PIC16F1ファミリでは,まず最大クロック周波数が20MHzから32MHzになり,命令実行速度が1.6倍になりました(USB対応ファミリでは,48MHzでの動作も可能)。
メモリ空間は,プログラムメモリが8kワードから最大で32kワードに,データメモリも512バイトから最大で4kバイトとなりました。また,間接アドレッシング空間が9ビットから16ビットに拡張されて,512バイトから64kバイトのアドレス空間に拡張されたため,プログラムメモリも間接アドレッシングでアクセス可能になりました。
この間接アドレッシングへの対応などのため,命令数が35から49個に増加しました。
このほかスタックレベルが16レベルに増加,割り込みのコアレジスタ保存を自動化も実現しています。
これらの性能アップは,C言語でのプログラミングに対応させるためのものです。PIC16F1ファミリでは,もはや「C言語で開発するのが当たり前」になったのです。
開発ツールが一新
統合開発環境についても,新規に開発された「MPLAB X IDE」がリリースされました。Windows上はもちろん,LinuxやMac OSでも動作します。インタフェースはこれまでのものと変わりましたが,デバッグ機能,アドオンツールなどが大幅に強化されています。
なおCコンパイラも,既存のMPLAB CとHI-TECH Cの2系統のコンパイラが統合され,MPLAB XC Suiteとして新たにリリースされました。MPLAB XC Suiteは最適化レベルにより4種類用意されていて,60日間Pro版と同様に使える試用版や,無料のフリー版もあります。
そのほかの機能アップ
このほか,電源電圧範囲の拡張,低消費電力化などが実現されました。内蔵モジュールも強化されており,アナログコンパレータ,セグメント液晶パネルドライバや,フルスピードUSBなどのモジュール内蔵のものもあります。
PIC16F1に乗り換えよう!
つまりPIC16F1ファミリとは,従来のPIC16Fファミリを一から作り直した,新しいファミリだと考えるのがよいでしょう。ただしピンの互換性は完全に保たれているので,差し替えは可能です。しかも,従来のものより安く提供されているのです。
これからPIC16で何か作ろうと思っている方には,高機能で安価な,PIC16F1ファミリが最有力候補となることでしょう。