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ありがとう,そしてさようなら,MS Pフォント
あなたがWordで掲示物を作ることになったとします。タイトルのフォントはどうしますか? MS Pゴシック? MS P明朝? Bボタンで太くする? あるいは創英角ポップ体?
MS PゴシックやMS P明朝は,Windowsユーザにとってはなじみ深いものですが,実はこれらのフォントは,今よりもはるかに性能が低かったWindosw95 PCでのスムーズな表示を目的に開発されたフォントです。今だに多くの書類で使われていますが,今の性能の高いPCで使う意味は,互換性の維持以外にはありません。もともとディスプレイでの表示優先なので,印刷用途には適しておらず,洗練された字形ではないのです。このフォントを使って作った書類が,なんとなく垢抜けない感じがするのも,これが原因の1つです。
それから,文字の太さの問題もあります。美しくわかりやすい書類を作るには,情報の重要度に応じて文字の太さや大きさに強弱をつけることが必須ですが,MS Pゴシックは太字の設定にしても,文字をずらして重ねて太字のように見せるだけなので,文字がつぶれて読みづらくなってしまいます。
ということで,これまで大変お世話になったフォントですが,そろそろさよならを告げる頃なのではないかなと思います。
太く目立つし親しみやすいということで,創英角ポップ体を使った掲示物なども見かけますが,これも避けるべきです。非常に個性が強いフォントであり,不真面目な雰囲気が出て,内容に集中するのを妨げます。
游ゴシックを使ってみよう
では何を使えばよいでしょうか。メイリオは,掲示物向きのよいフォントですが,Windows8.1から搭載されている游ゴシックも美しく,読みやすいフォントです。さらに游ゴシックには,Light,Regular,Medium,Boldの4種類の太さが用意されているので,文字に強弱をつけやすくなります(Office2016では,フォントのメニューに「游ゴシック,游ゴシックLight,游ゴシックMedium」と表示されていますが,無印の游ゴシックは内部的にはRegularです。また,游ゴシックを選択して「B」ボタンで,内部的には游ゴシックBoldが選択されます)。
自分で作った掲示物やスライドなどの書類が,どうも垢抜けない,素人臭いとお悩みの方。それは,センスがないからではなく,このようなデザインのノウハウや基本ルールを知らないからなのです。フォントの選び方のみならず,文字の配置,図やグラフ,配色などにも基本ルールは存在します。このルールをマスターすれば,WordやPowerPointであっても,読みやすく伝わりやすい,見違えるほどかっこいい資料が作れるようになります。