ヤマト運輸の直面する課題
最近,ヤマト運輸の動向が日本中の注目を集めていました。同社が直面する課題は,実は国内の多くの企業に共通したものと言えるのではないでしょうか。
同社は増え続ける荷受量に相反して,ドライバーが不足しているという問題を抱えています。ご存知のように人手不足は物流業界に限らない,日本経済の問題です。今後,人手不足は慢性化し,企業としては優先的な対応として人材確保に動きます。同時に,それだけでなく,長時間労働解消のための働き方改革など,様々な施策が求められます。
ヤマト運輸は,先の課題解決のためにすでにいくつかの取り組みを行っています。ここで注目したいIT活用というところでは,例えば,LINEアカウントの再配達への利用ということが行われています(※1)。再配達の利用がさらに進めば,無駄な配送を減らせます。
すでに再配達は,電話やウェブ等のシステムでも受け付けています。しかし,利用者にとって,情報インフラとしては,今やLINEのほうがより身近で気軽な存在です。ここをシステム化することで,新たな利用者を開拓することができるのです。
ITプロジェクトが果たす役割
ITの技術的進歩に伴い,システムでカバーできる業務の範囲は常に拡大しています。
コンビニエンスストア大手のローソンは,最適な商品を供給するための「セミオート発注システム」を導入しています。従来はシステムの利用に懐疑的だった店舗でも,人の手で行うよりも効率的で,かつ売り上げを改善できるシステムに信頼を置くようになり,導入が進んでいるそうです(※2)。
また,ここ数年,人工知能の技術が飛躍的に進歩しました。人工知能の技術は,様々な業種で急速に活用が検討されています。コンビニの商品管理のようなシステムでも,さらなる改良が研究されています。
技術の進歩により,「使える」システムが作られ,人手不足などの理由で導入が進みます。
労働力の確保,労働環境の改善,業務改革といった課題の圧力下で,企業がIT活用を必要とする場面は,今後ますます増えていくことでしょう。
不遇の情シス・IT担当者
システム導入が必要と経営判断されるとき,情シス(=「情報システム部門」の略)やIT担当者の役割はますます重要となります。
一般にITプロジェクトにおいて,情シス・IT担当者は,システムの企画提案,ベンダーの選定,システムの要件定義等々,全工程に渡ってリードすることが求められます。
しかしながら現実には,ITプロジェクトにおいて,情シス・IT担当者が自社とベンダーの板挟みになり,折衝に明け暮れるような実態が多々見受けられます。
さらに悪いことに,社内でも周囲の理解を得にくい職種です。ITプロジェクトは,関連する業務部門の協力を得ないと進めることができません。しかし,業務部門にとっては,現在の業務があるなかでプロジェクトに時間を割きにくい,現在のやり方に自信を持っているため新システムに懐疑的,という傾向があります。
実際にシステムを作り上げるのはベンダーです。しかし,会社の業務とシステムをバランスよく理解しているのは情シス・IT担当者です。自社が本当に必要としているシステムを導入できるかどうか。それは,情シス・IT担当者が,無駄の多い進め方で疲弊することなく,むしろプロジェクトに積極的に関与できるかどうかにかかっています。
御社の成長のために
『情シス・IT担当者[必携]システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』は,ユーザー企業の情シス・IT担当者を支援するために執筆された本です。今後,どんな企業も成長のために,いくつものITプロジェクトを積み重ねていくことになるでしょう。
しかしそのたびに,例えば本来パートナーであるはずのITベンダーとトラブルを起こしていたり,社内の業務部門から理解を得られずにプロジェクトを遅滞させたりしていては,返ってマイナスにしかなりません。
本書には,プロジェクトを成功裏に終わらせるためのノウハウが,惜しみなく注ぎ込まれています。情シス・IT担当者の方々を援け,プロジェクトを成功に導き,ひいては御社の成長に寄与することを約束するものです。ぜひご一読ください。