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試験を通じて国際的に通用するテスト技術を学ぶ

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ソフトウェアテストの重要性とは

我々が日常的に利用するソフトウェアやアプリケーションの品質管理(Quality Control:QC活動)の重要性は,今後さらに増すことでしょう。QC活動は,ソフトウェア開発プロセスの要件定義,設計,実装,テストといった工程が漏れなく誤りなく確実に実行されるための活動です。そのため,テスト担当者は各プロセスにおいて,次のような役割を担います。

  • 要件定義書のレビューに参加し,要件の欠陥を指摘します。各要件がテスト可能かどうかを評価できます。
  • 設計者と連携して設計内容を理解してテストの方法を考えます。設計者はテスト方法を理解でき,テスト担当者は設計段階でテストケースを識別できます。
  • 開発担当者と連携してコードを理解してテストの方法を考えます。開発担当者はテスト方法を理解でき,相互にレビューすることで,コードやテストケースの欠陥を取り除くことができます。

このようにテスト担当者はソフトウェア開発のすべての工程で重要なポジションと言えます。さらに,プロジェクトマネージャや設計者,プログラマにとっても,開発の現場で起こるミスコミュニケーションを軽減するために,テストに関する用語の理解やテスト技術の知識が必要になってきます。

なお,品質を適切なレベルにする活動は,QC活動のほかに,品質保証(Quality Assurance:QA活動)もあります。QA活動は,各開発工程の作業成果物の品質を確認し,品質に対する信頼を積み上げて最終的なシステムやソフトウェアの品質を保証するための活動で,レビューを含むテスト結果などを基に作業成果物の品質に対する意思決定を行います。

では,ソフトウェアテストはどのように学べばよいのでしょうか。ここでは,開発現場でも有用な試験を紹介します。

JSTQBテスト技術者資格認定試験

JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は,ソフトウェアテストの国際的な資格認定団体であるISTQB注1と相互認証を行い,日本科学技術連盟をパートナーとして「JSTQBテスト技術者資格認定試験」を開催しています。すでに10年以上の開催実績があります。

この認定試験の最初のレベルであるFoundation Level試験は,開発の現場で必要とされる最低限の用語や知的な技能についての知識を問うもので,試験形式は次のとおりです。

  • 4つの選択肢から正解を選ぶ選択式の問題
  • 試験時間は60分,出題数は40問
  • 合格ラインは60%(25問以上正解)
  • 出題範囲はISTQBテスト技術者資格制度Foundation Levelシラバス日本語版に準拠

認定試験のシラバス日本語版は,JSTQBのWebサイトから無料でダウンロードできます。用語の取り扱いなどに変更もあるため,最新のバージョンのシラバスを入手してください。用語集はISTQBが日本語訳を公開しています

出題は,単純に用語を丸暗記しただけで解けるものもありますが,関連する各用語の関係や,ある開発シーンで合致する記述はどれか,誤っているテストの進め方はどれかといった深い理解や洞察力が必要なものもあります。

昨今の開発プロジェクトでは,国内の協力会社だけでなく,さまざまな国とのオフショア開発も珍しくありません。そのような開発の現場では属人的や自社独自のソフトウェアテストの用語や知識では不十分で,ISTQBのような国際的に通用する用語を使い,コミュニケーションできる力が必要です。

これからソフトウェアテストの基礎を学ぶ方以外にも,ご自身のソフトウェアテストの技量を測る意味でも,挑戦してみてはいかがでしょうか?

注1)ISTQB
International Software Testing Qualifications Board。イギリス,ドイツ,米国など世界50カ国以上が加盟しています。

※:新型コロナウイルスの影響で2020年8月22日に予定されていた試験は中止が発表されています。次回以降の日程は,JSTQBのWebサイトなどを確認してください。