mixiのこれから,2012年に向けた新たなるステージ―株式会社ミクシィ笠原健治氏に訊く

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変化してきたコミュニケーションの数と質

日記の数,ライトなコミュニケーション

mixiが2004年2月にリリースされてから,早7年半が経過しています。この間,新機能のリリース,ユーザの成長に合わせて,⁠コミュニケーション⁠の質が変わってきたように感じています。とくに感じるのがコミュニケーションの⁠重さ⁠の変化です。中でも日記の数の減少が気になるところ。まずは日記の位置付けについてどのように考えているかを伺いました。

笠原:

今のmixiは,コミュニケーションボリュームは大幅に増えました。しかし,おっしゃるとおり日記の数は(相対的な割合として)減っているかもしれません。それは,ボイスやチェックなどの新機能の登場が関係しています。これまで,発信(ポスト)先として日記という機能が中心にありましたが,mixiボイス・mixiチェックの登場により,ポストする先が変化しているわけです。これは私たちとしては(2009年のmixiプラットフォーム戦略発表時から)意図していたものでもあり,結果として現れています。

ユーザの皆さんの立場からすると,日記はある程度情報が溜まってからのポストを,ボイスやチェックは思いついたときにすぐにポストを,というように機能に応じた使い分けがされてきているのではないでしょうか。また,⁠ポスト数の多い)mixiボイスやmixiチェックに対するコメントやイイネ!により,コミュニケーションが活性化しやすい特徴もあります。

私たちとしては,日記の数だけを増やすとか,mixiボイスやmixiチェックの数だけを増やすことが目的ではなく,そのトータルの数,そしてそこから生まれるコミュニケーション,ソーシャルグラフの生成・活性化を意識して,これからも機能追加を含めた展開を行っていきます。

ソーシャルネイティブの登場

私(馮)は,mixiの登場により,インターネット上のコミュニケーションのスタイルが大きく変わったと感じています。それは,私たちのようなインターネット黎明の時代を知っている人間やその前の時代からネットワークに関わっている人間だけではなく,インターネットの使い始めと同時にSNSを知っている,いわゆるソーシャルネイティブの登場という現象からも感じられる部分です。こうしたソーシャルネイティブと呼ばれるユーザの登場はmixiとしてどのように捉えているのでしょうか。

笠原:

それはサービス提供側としても,そして,社内でも強く感じています。mixiリリース当時と比較して,たとえば最近の新入社員の中には,中高生の頃から体感的にソーシャルの価値を知っていたり,可能性を感じている人間がいます。その感覚値を持った上での企画や開発が行える強みというのはありますね。

実はユーザ自体の使われ方というのは大きく分かれていて,いま馮さんがおっしゃったようなSNS前のインターネット世代,携帯電話ネイティブ世代,ソーシャルネイティブ世代,スマートフォンネイティブ世代など,技術進化の世代で分けても異なりますし,ITやWeb業界の方たちとそれ以外の業界といったような,通常接する分野が異なるユーザ間の使い方も異なります。

私たちは,そういった世代や分野が異なる方たちに対して,同じ価値を提供しながらも,それぞれのユーザが求めるニーズ,解決してほしい課題に応えていけるようなサービスを開発し提供していきます。その点では,弊社は優秀なエンジニアやデザイナー,プランナーが数多くいますので,皆さんの期待に応えていけると信じています。

「足あと」機能の改修

2011年,mixiの変化の中でも大きなものの1つが,⁠足あと」機能の改修,2011年6月13日に提供された「先週の訪問者」です。この機能のリリースに踏み切った理由について聞いてみました。

笠原:

詳しくは弊社のブログをご覧いただくとわかるのですが,それを含めてご説明します。

改めて説明すると,まずよく誤解されがちな「足あと」をなくしたということではなくて,⁠足あと」をアップデートしたものだという機能になります。⁠先週の訪問者」「足あと」が持っていたメリット(知り合いからの訪問⁠フィードバック要素⁠⁠,つながりの感知)に加えて,⁠足あと」が持っていたデメリット,とくに,訪問という形から生まれるコミュニケーションの重さ,圧迫感の軽減です。たとえば,⁠足あとが付いたらコメントが欲しい」と思われてしまうのではないか,という感覚ですね。

皆さんによってその捉え方や感じ方が異なると思いますが,私たちとしては,訪問されることから生まれる(ポストやコミュニケーションへの)モチベーションの向上,その先にあるソーシャルグラフの構築・活性化は拡張しながらも,ネガティブ要因になる可能性のある圧迫感を減らしたいという意図があります。このあたりは,⁠先週の訪問者」を含め,先ほどおっしゃっていたような,コミュニケーションの重さの変化(ライトなコミュニケーションとのバランス)とも関係しています。また,この形にすることで,スパム業者からの無意味な足あとを(視覚的に)排除できるといった付帯価値も挙げられます。

「先週の訪問者」については,初期リリースの後,計測間隔の短縮(1週間から5日へ)や、訪問者の経路別表示の対応などなどなど,現在も,ユーザの皆さんにとって最適な形になるよう,日々開発・改善しています。

Facebookへの意識

私は,コミュニケーションの変化に関して,もう1つ大きな要因があると思っています。それはFacebookというSNSの存在です。とくに2011年に入ってからは日本国内でのユーザ数も伸びています。率直にFacebookをどのように思っているか聞いてみました。

笠原:

素直に,良いプロダクトだと感じています。ただし,これは,別の場所でもお話ししたことがあるのですが,⁠mixiは,よりプライベートで閉じた,心地良い空間を創り上げているサービス」だということです。常にその点を意識しています。ですから,今のFacebookに見られるような,ビジネス面での展開や人脈構築といったところと比較すると,⁠同列で比較すると言うよりは)棲み分けができていると思っています。

著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室部長代理。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属,同誌編集長(2004年1月~2011年12月)や『Web Site Expert』編集長を歴任。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)の責任者として,イベントやWeb・オンライン企画を統括。現在は,技術評論社の電子出版事業を中心に,デジタル・オンライン事業を取りまとめる。社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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