新春特別企画

2021年のウェブ標準とブラウザ

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旧Edgeのサポート終了で,Chromium版Microsoft Edgeへの移行が完了

Microsoftが自社のブラウザMicrosoft Edgeを,自社で開発していたレンダリングエンジンEdgeHTMLとJavaScriptエンジンChakraから,Chromiumベースの新しいブラウザに移行すると発表したのが2018年12月のことでした

それから1年と少しを経た2020年1月に,Chromium版Edgeの安定版が正式リリースされ,Windowsユーザーに対する提供が始まりました(日本では確定申告の申請システムへの影響を避けるため,提供が春まで延期されました⁠。そして2020年秋にリリースされたWindows 10 October 2020 Updateでは,旧バージョンのEdgeがChromium版Edgeに置き換っています。

こうしたなか,2020年8月に,旧Edgeが2021年3月9日に全サポートが終了することを発表しました英語日本語※2⁠。つまり発表から2年と少しで,Chromium版Edgeへの移行に一区切りつくことになります。はたしてChromium版Edgeはどのくらい広まるでしょうか。ベースはChromiumなので見た目も操作感もChromeと変わりませんので,Chromeを好んで使ったり,Googleが好きな方は乗り換えたりはしなそうです。ですが,機械学習による高性能な音声読み上げ機能,縦に配置するタブバー,コレクションというまとめ機能など,Chromium版Edgeにしかない魅力的な機能も増えています(音声読み上げは英文記事を読むときなどに便利です⁠⁠。新しくWindows PCを購入しても,Chromeをとくに必要とせずとも幅広くウェブサイトが動くため,徐々にChromium版Edgeのシェアは増えていくかなと思っています。

※2
Internet ExplorerおよびEdgeのライフサイクルに関するFAQも公開されています。

IE11からEdgeへのリダイレクト機能が進むか

旧Edgeのサポートの終了をアナウンスしたサポート文書では,Microsoft 365やMicrosoft TeamsでInternet Explorer 11を対応ブラウザから外すことも告知されています(以下Internet ExplorerはIEと略します⁠⁠。まず2020年11月30日にMicrosoft TeamsがIE11のサポートを終了し,2021年8月17日にMicrosoft 365全体でサポートが終了します。2020年12月には追加のアナウンスがあり,IE11サポートが終了するサービスが,Azure DevOpsやPowerプラットフォームなどにも拡大することとなりました。

注意したいのが,旧Edgeはセキュリティ更新などを含めた全部のサポートが終了しますが,IE11は違うことです。Microsoftの特定のサービスでの対応ブラウザから外れるだけで,サポートは継続します。⁠IEが終了」といった見出しのニュース記事も多く見ましたが,そういうわけではないということです(だからといって「終わってない」とわざわざ言いたくもないなと,もどかしい気分になりました⁠⁠。

IEはまだ終了しない。IE11の対応を求められる開発者にとってはがっかりすることかもしれません。そんな方に朗報……となるかはわかりませんが,IE11に対応しないサイトをMicrosoft Edgeで開き直す機能の導入が発表されました。IE11に対応しないサイトを互換性リストに登録するための案内も説明されています。

もちろん,社用PCのポリシーなどによりIE11しか使えないといった環境もあるでしょう。そういった環境への対応を求められる開発も,引き続きあるのでしょう。とはいえ,IE11のシェアは減少しているようです。Chromium版Edgeの提供開始や,緊急事態宣言による在宅勤務の広がりもあり,仕事のPC環境が変化したからかと推測します。

 StatCounterによる日本のデスクトップのブラウザのシェア推移。2020年の始まり時点では12%を超えていたIE11のシェアが,2020年11月には8%にまで減少している。Chromium版Edgeへの移行も進んだのか,旧Edgeのシェアも大幅に減少している

StatCounterによる日本のデスクトップのブラウザのシェア推移

また,Microsoftのサービス以外でもIE11のサポートを終了するという発表も少しずつ見かけるようにはなりました(たとえばさくらインターネットサントリーはてなブックマークなどです⁠⁠。理由として,サービスのIE11対応コストが負担になることや,利用者の減少が挙げられています。

Edgeへのリダイレクト機能により,IE11サポートの対応終了がさらに進むかもしれません。

著者プロフィール

矢倉眞隆(やくらまさたか)

HTMLやCSSといったW3C/WHATWGのウェブ標準仕様やブラウザーのエンジンについて,20年ほどなんとなく追いかけている。現在は株式会社ピクセルグリッドに所属。

Twitter:@myakura