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第5回 VOYAGE GROUP執行役員CTO小賀昌法氏に訊く(前編)―成長をサポートする仕組みと文化をつくる

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勉強会を気軽に開ける場所がある

また社員の皆さんが何かやろうと思い立ったとき,すぐ実践に移せる環境が整っている点も大きいですね。やろうと思っても,すぐ手配できる場所がないと企画倒れになってしまったり,企画してもなかなか参加者が集まらなかったり…。VOYAGE GROUPには,社内に魅力的なコミュニケーションスペースが多数用意されていて,企画しやすく参加しやすい環境づくりがなされています。

大きな勉強会もできる会議室「パンゲア」⁠現在は壁にクリードが書かれている)

大きな勉強会もできる会議室「パンゲア」(現在は壁にクリードが書かれている)

VOYAGE GROUPに社名変更した際,パンゲアでの記念撮影風景

VOYAGE GROUPに社名変更した際,パンゲアでの記念撮影風景

なかでも海賊船を模した社内バー「AJITO(アジト⁠⁠」は,現在社外イベントでも活用されていて,私も何度か伺ったことがあります。始めは社内で活用していたのを,すごくいいから社外の勉強会でも使ってみようとやってみたら,すごく良かった。そうやって自然発生的に活用の幅が広がっていったとのこと。

社内バー「AJITO⁠⁠。社内外の人間の交流やLTのようなカジュアルな勉強会も開催できる

社内バー「AJITO」。社内外の人間の交流やLTのようなカジュアルな勉強会も開催できる

みんな忙しいし,外のイベントに出向くのは億劫に感じる人もいるけど,社内でやっているならちょっと仕事を抜けて1時間くらい見に行ってみようということができる。そして,そこで知り合った人たちがやっている外の勉強会に出向くようになったりもしているそうです。外の空気に定期的に触れることはすごく成長につながると思っているので,そういう意味でも成功と捉えている,とのことでした。

執務エリアには,雑談コミュニケーション空間

また執務エリアにも仕掛けが。とても素敵な空間ですが,単純に「おしゃれな空間」というだけではなさそうです。

小賀さん「面白いものって,会議から出るっていうより,雑談から生まれるよねっていう考えで,雑談の場を増やすよう,執務エリアも動線をすごく考えています。席のほうからドリンクサーバーのほうに行ったり,トイレや外に行く間に立ち話できるようなスペースを設けたり,丸テーブルがあってちょっと座って話ができるようにしていたり。そういうふうにコミュニケーションを活性化させることは考えていますね。成長という観点からいうと,同じ職種でない人と触れ合う機会をもつことも,人の成長につながるというふうに考えています」

動線が考え抜かれた執務エリア

動線が考え抜かれた執務エリア

雑談コミュニケーション空間をつくった効果は?

こうしたコミュニケーションスペースは,あるに越したことはないけれど,場所の確保にも結構なコストがかかるし,費用対効果の数値化も難しい。で,⁠アイディアとしては毎回挙がるけど結局は流れる⁠運命をたどりやすいと思うのですが,実践された立場として効果をどう実感されていますか。

小賀さん「最初は社員たちにも『それって本当に効果あるの?』って声があったと思います。ただ使い出すと,⁠いい!よかったね』となっていったし,実際に使っている風景をみていると,効果はあったんだなと,そう私たちは見ています。

経営陣も積極的に使っていきたいと思っていますし,実際に使っていますね。⁠ちょっといい?』って声をかけて,会議室にこもるんじゃなくオープンスペースの丸テーブルで話をするってこともよくやりますし,ドリンクサーバーの辺りで声をかけて『最近どう?』といった立ち話もよくします。やっぱりそういうところから,いい話って出てくるんですよね」

場を作った後,経営陣が率先して使っていく,使っているのを見せていくのも大事なんでしょうね。では具体的にそういう場でこそ生まれるコミュニケーションや「いい話」って,どういったものなんでしょう。

小賀さん「技術責任者という私の立場でいうと,⁠実は最近こういう新しい技術を試しているんですよ』って話を聞いて,⁠え,いいじゃん!それ全社に広めようよ』ってことで私のほうで勉強会を企画したりとか,⁠ちょっとそれしゃべってよ!』って皆に話してもらったり。あと,⁠なんかもっとこうだったらいいのになぁ』っていう明確な提案までいかない,もやもやした改善の種をもつことってあると思うんですけど,そういうのが引き出せたりもします」

こうしてお話を伺っていると,人にかけている時間・コスト・労力が半端ない!という印象をもちますね。次回はさらに踏み込んで,社員の長期的なキャリアパスをどう体系立てているのか,Webクリエイティブ職の評価をどのように行っているのかを伺っていきます。お楽しみに。

著者プロフィール

林真理子(はやしまりこ)

株式会社イマジカデジタルスケープ トレーニングディレクター。1996年より一貫してクリエイティブ職のキャリア支援事業に従事。デジタルハリウッドやエン・ジャパンを経て,2005年より現職。Webに関わる実務者を対象に,クライアントの社員研修や個人向け講座の企画コーディネート,カリキュラム設計,教材開発,講座運営,評価などのインストラクショナルデザインを手がける。日本キャリア開発協会認定CDA,日本MBTI 協会認定MBTI 認定 ユーザー。

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