お金の使い方
はい、そういうわけでございまして!
サルでき流企業サイトの作り方、第35回になりました。いよいよ夏本番って感じになってきましたね~。みなさまいかがお過ごしですか?
- 照りつける灼熱の太陽
- アスファルトから立ち上る熱気
- 車の中の激烈温暖化現象
- 満員電車の汗ばんだオッチャンの背中
地獄絵図。書いていてゲンナリしてきました。とりあえず今日も頑張っていきましょうね。水分補給は忘れずに行いましょうね。くれぐれも、仕事終わりの一杯のために、水分を我慢するのはやめましょうね。それで具合が悪くなった若き日のワタシからのアドヴァイスですよ。
さてさて。今回のウミネココーポレーション仮設広報部では、ボーナス支給明けの辰巳くん(新入社員)が、買い物報告を行っているようです。
急にお金が入ると人間ロクなことに使わないと言いますが……彼の満面の笑顔を見ると、まあそれはそれで良いかという気になってきますねえ。
ま、人生何事も経験です。後で後悔が襲ってきたら、ブログに書いて消化しましょ。
ということで、今回はお金の話。
前回まで続いた「SEO」の番外編という位置付けで、「SEM」について見ていきます。「O」と「M」、一文字違いが大違い。時間や手間をお金に換算する大人のシステム、「SEM」の世界へようこそ。やり手ビジネスマンになった気持ちで、エア札束を持ってゴー!
SEMって何だろう?
ではでは、今回は「SEM」のお話です。
「SEM」、新しい単語が出てきましたね。ちなみに、ここしばらくずっと話題になっていたそっくりな単語、「SEO」って何の略でしたっけ?覚えていますか?
そう、「Search Engine Optimization」の略でした。日本語では、「検索エンジン最適化」になります(この辺をちゃんと思い出したいアナタは、第26回をチェック!)。
では今回の「SEM」。同じように略さずに書くと、「Search Engine Marketing」と書きます。最後が「Optimization(最適化)」から「Marketing(マーケティング)」に変わりました。
マーケティングという言葉は結構よく聞きますよね。「マーケティング理論」とか、「マーケティング戦略」とか。最先端のオシャレ企業にいるオシャレなスーツとオシャレなメガネのイケてるレディース&ジェントルメンがやっている仕事、そうそう、そんなイメージです。
ですが、「マーケティングってなんですか?」と聞かれると、案外正確な意味を知らなかったりしませんか?ですので、まず最初にwikiさんから正確な意味を教えてもらいましょう。
マーケティング(英:marketing)とは、企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」のすべてを表す概念である。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/マーケティング
ふむふむ。なるほどなるほど。
……サッパリわかりませんねえ。いきなり撃沈ですねえ。
ムズカシイことはとりあえず脇に置いておいて、まるっとまとめてしまうと、「モノを作って売るまでのすべての行為のこと」をマーケティングと言います。
でもイメージとちょっと違いますね。一般的にはこっちのことをマーケティングと言いませんか?
一般的にビジネスの現場やマスメディアにおいては、広告・宣伝、集客や販促活動のみをマーケティングと捉える傾向が強いが、これは本来のマーケティングの意味からすれば誤解である。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/マーケティング
うんうんそうそう。でも誤用だそうです。
困りましたね。「SEM」もバリバリこっちの用法で使われているのです。だって、「検索エンジンを利用した広告」の意味で「Search Engine Marketing」なんですもの。
うーん。どうしましょうか。
……気付かないフリしておきましょうか。そうしましょう。
さてさて。ここ数回に渡ってお届けしてきたSEOのお話を通じて、「検索エンジンの役割」についてはみなさんもうバッチリだと思います。
「ユーザーが検索したキーワードに対して、最も役に立つと思われるWebサイトを、公平な立場で探し出し、ランキング形式で表示する」。
それが検索エンジンの役割でした。
ですが、検索エンジンが表示しているこの検索結果ランキング。よ~く見ると、何やら上のほうに、いくつかのWebサイトが表示されていますね。
何やら通常の検索結果ランキングと違って、各Webサイトへのリンクの隣に「広告」という文字が表示されています。
勘の良い方なら既にお気付きでしょう。この「広告」と書かれているWebサイトは、「SEO」の結果で検索エンジンに高い評価を得ているWebサイトではなく、「SEM」という「検索エンジンを利用した広告システム」を使うことで表示されているWebサイトなのです。
うひょー。何て言うか並びが通常のランキングの「上」にいますよ。あれほど苦労してSEOを頑張ってきたWebサイトの「上」にいますよ。
夏の暑い中、ビッグ○ンダーマウンテンにて。「スタンバイ列にじっとひたすら並んで待つ庶民の親子」の前に、「金の力で手に入れたファストパスチケットを使って割り込む貴族の親子」の図、を想像するといいと思います。
- ユウタ「ねえ父さん、母さん。どうしてあの子は並ばないで乗れるの?」
- 母「ごめんねユウタ。父さんと母さんが貧乏で……」
- レイカ「ねーパパ~ママ~、アタシこのアトラクション飽きた~」
- パパ「そうかいレイカちゃん、じゃああっちでアイスでも食べようか」
……なんだか思いのほか例え話が切なくて涙が。ユウタくん、強く生きるのですよ。レイカちゃん、アイスの食べ過ぎでお腹を冷やしてしまいなさい。
SEMの仕組み
……何の話でしたっけ?そうそう、「SEM」のお話でした。
先ほどはヒドい話をしてしまいましたが、実際にはこの「SEM」、とても便利で実用的な機能なのです。
前にもお話しましたが、検索エンジンがランキングを決める仕組みは、検索エンジン会社にとってトップシークレットですので、「SEO」だけでは対応に限界があります。
個人のWebサイトならともかく、企業のWebサイトとすると、検索結果ランキングの上位に表示されるか下位に表示されるかは、ビジネスに関わる非常に大きな問題です。
例えば、テレビCM等で、「XXXで検索!」なんて決め台詞を流している会社さんがありますよね。それを見たユーザーさんが、そのキーワードで検索して、その会社のWebサイトが、検索エンジンの1番目(1ページ目)に出てこない……なんてことになったら、正直目も当てられません。
とは言え、本当にそのキーワードで1番になることができるのか、と言われたら、担当者の方だって「ガンバリマス」としか言えませんよね。ランキングの仕組みは非公開なのですから。
と、そんな事情があって、「お金を払えば、広告という形で、確実に1ページ目にそのWebサイトを表示してあげるよ」というサービスができあがりました。
- ママ「アナタ、このファストパスチケットって、いくらかかったの?」
- パパ「1枚……10万円だ」
- ママ「え?」
- パパ「し、仕方ないだろう、レイカが並ぶの嫌だって言うんだかr」
- レイカ「ねーパパ~、レイカアイスよりうな重食べたい~うな重~」
……どうやらパパにはパパなりの事情があったようです。が、その辺の空気を欠片も読まないレイカちゃん。パパの目にも涙が。
……何の話でしたっけ?そうそう、「SEM」のお話でした。
で、この「SEM」。Google社なら「Google AdWords」、Yahoo社なら「Yahoo!プロモーション広告」なんて具合に、検索エンジンごとにサービスが提供されています。
これらのサービス、当然広告を出す検索エンジンは違いますが、仕組みはほとんど同じです。どちらも基本的には「クリック課金」という仕組みをベースにしています。
クリック課金とは、こういうものです。
- STEP1:何のキーワードで広告を表示するかを決める
- STEP2:表示された広告がクリックされたらいくら払うか(クリック単価:CPC)を決める
- STEP3:検索エンジンの広告枠に、広告の表示開始
- STEP4:広告が実際にクリックされたら、支払い発生
基本の仕組みは検索エンジンですので、ユーザーが何かしらのキーワードで検索するところからはじまります。そのキーワードで検索されたときに、通常のランキングの上の「広告枠」に、自分のWebサイトが表示されるわけです。
ただし、表示されただけではユーザーは自分のWebサイトに来ていませんので、この段階では料金が発生せず、実際に広告がクリックされてから料金が発生する、という流れになっています。成果報酬ってヤツですね(サービスによっては、表示回数で料金が発生するものもあります)。
さてさて。これだけだと話はカンタンなのですが、特定のキーワードについては、「複数のWebサイトが相乗りするケース」があります。同じようなビジネスをしている企業サイトが、同じようなキーワードで広告を出したいと思うことは、当然ありますよね。
その場合、料金と表示順番は「競りシステム」で決定します。
- STEP1:あるキーワードに対して、複数のWebサイトの相乗りが発生
- STEP2:それぞれのWebサイトが、ワンクリックでいくら払う設定をしているか(クリック単価:CPC)を比べる
- STEP3:クリック単価が高い順に、広告枠内でランキング表示
こうなります。結局ここでもランキングになります。ただ、通常の検索結果ランキングと違って、「最も高い金額を払ったWebサイトが、最も良い場所に表示される」という仕組みになっています(とは言え、実際のクリック単価は、サービス側が「過払い」しないよう調整しますので、設定額=支払額にはなりません)。
その上で、あらためて検索結果画像をチェックすると、こういうことがわかります。
広告を出す側も、無限にお金が払えるわけではありませんので、「1日の予算」を決め、「ワンクリックの予算」を決め、各キーワードの中で戦っています。
- 伊集院「はっはっは。西園寺さんのところはビッグサンダーマウ○テンだけですか、ウチは3大マウンテンすべてのファストパスを、しかも5枚ずつおさえていますよ。」
- パパ「……!お、お前は伊集院っ!」
……レイカちゃんパパ危うし。今は泣いている場合ではありません。貴族対貴族のガチンコバトル、ここに開宴っ!
Google AdWordsの設定
では、実際のサービスの中身を覗いてみましょうか。
今までの経緯もありますので、今回もみんな大好きGoogle社のサービス、「Google AdWords」にアクセスしてみましょう。
「Google AdWords」では、広告をいくつかの単位で管理します。
- キャンペーン:広告グループをまとめる単位です。1日の予算や広告を表示する地域や言語を設定します。
- 広告グループ:実際の広告の単位です。広告内容やWebサイトへのリンクを設定します。
- キーワード:広告が表示されるキーワードの単位です。個別にクリック単価を設定できます。
ではまず、「キャンペーン」を作成しましょう。
「キャンペーン名」を入れて、他はとりあえずそのままで、画面の下のほうにある「予算」の欄に1日の予算を入力しましょう。
キャンペーンができたら、次に「広告グループ」を作成します。
広告の内容を決めたら、対象となる「キーワード」を登録しましょう。
これで広告の作成ができました。後はこの広告が無事Google社の審査を通過して、支払いの準備(クレジットカードの設定や、銀行振込・コンビニ払い等の前払い)が完了すれば、広告が表示されます。
どうやら広告の中に過度の「!」マークを入れてはいけなかったようです。こちらに広告掲載のポリシーがまとめられていますので、ダメだった方は、キチッと修正してから再トライしてみましょう!
すべての設定が完了すると、普通に広告が表示されて普通に課金がはじまります。テストで設定した人は広告の削除(もしくは一時停止)を行っておいてくださいね。
SEOとSEMのバランス
おつかれさまでした~。広告作成、無事できましたか?
ワンクリックを獲得するために、広告にお金を払う。なんだか急にビジネスライクなお話になってきましたね。
SEOのときは「検索結果ランキングの上位に表示されたらいいな~」という、割とほんわかとした雰囲気でしたが、「絶対に上位に表示されなければならない」と突き詰めていくと、これくらいの切迫感と緊張感が出てきます。
SEMが存在しているということはですね。言い換えれば,「検索結果ランキングで上位に表示される権利というものは、場合によってはお金で買いたいほどのモノなのだ」ということなのです。
ですよねえ。
とは言え。こうしてお金をドンドン使っていくと、当然みなさん「あること」を考えるようになります。
「できるだけ料金は安く、できるだけ効果が高い方法ないかしら」と。
そうすると、グルっと回ってこうなります。
「やっぱり頑張って記事書いて、地道にSEOで検索ランキングの上位を目指そうぜ」と。
自分たちで頑張る分にはタダですもんね。お金を払いたくないなら、手間と時間でカバーってわけです。カリカリカリカリ。記事を書いて記事を書いて。
しばらくすると、さらにグルっと回ってこうなります。
「あれ?でもSEOって確実に上位にできるわけじゃないんだよね……やっぱり広告のほうが効率がいいかしら」と。
そして振り出しに。
嫌がらせのような書き方になってしまいましたが、実際「SEO」と「SEM」の間で苦労している人や企業さんは沢山います。カンタンな解決方法は、残念ながらありません。
要するに、どちらもメリット・デメリットがありますので、どちらかだけに考えを寄せるのではなく、
- 的確かつスピーディーに効果を出すための「SEM」
- 記事の量でじわじわとカバー範囲を広げるための「SEO」
のように、「バランスを意識することが大事」ということなのです。
ワタシ的には、「SEOを日常からしっかりやっておいて、SEMを特定のキーワードに対するキラーアイテムとして使う」というのが、良いバランスではないかと思います。やっぱり記事があってのWebサイトですしね。
SEOがまだまだ、というみなさんは、まずはしっかりそっちをやって、それからSEMに挑戦してみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回はSEMのお話でした。SEOと違って、「効果がすぐ出る反面、お金もすぐ飛んでいく」という、現代社会のリアルな側面をビシバシ感じることができるお話でしたね。
ですが、このSEMという広告システム。業界によっては、例え大企業じゃなくても、「月間数十万円から数百万円の単位で予算を組む」ようなケースがあったりします。怖ぁ。
ですがこの事実は、その広告費用に見合うだけの収益を、Webサイトからの集客で上げることができるという証明でもあるわけです(もちろん、SEOでの検索ランキング攻略がムズカシイということでもあるとは思いますが)。
うーむ。そういう話を聞くと、魅力的に感じますが、さすがにいきなり多額の予算を組むのは抵抗感がありまくりますね。
そんな場合は、Google社が行っている「数千円分の無料お試しキャンペーン」を使って、まずは「こんな感じなのね」ということをつかんでみるのが良いと思います。あっという間に消費してしまうとは思いますが、それを体験するのもひとつの勉強ですし。
では、くれぐれもご利用は計画的に。繰り返しになりますが、記事があってのWebサイトですから、記事はちゃ~んと書きましょうね!
……おっと。
と、いうところで終了の時間です。
ではでは、今回はここまで!
次回をお楽しみに~。