謎の広告枠
はい、そういうわけでございまして!
サルでき流企業サイトの作り方、第36回になりました。36回って言うと、3ダース分の記事がたまったことになりますね。
- 「本当にこんなに読まないと、WordPressでWebサイトを作ることはできないのですか?」(25歳会社員男性)
いえいえ!別にこんなに読まなくてもWebサイトはたぶん作れます。WordPressは便利なツールですので、下手したらインストール周りの記事さえ読めば、Webサイトを作ることくらいはできると思います。
でもですね。Webサイトっていうヤツは、ただ単に作っただけではあまり意味が無いんです。「人が来てくれて」、「記事が読まれて」、はじめてWebサイトは動きはじめます。
そのために必要なことをアレコレ書いていったら、いつの間にか36回なんて数字になってしまった、というわけです。ですので、まあほとんどが「おまけ」&「雑談」&「ドコかで役立つ豆知識」みたいなものだと思って、気軽に読んでくださいね。
さてさて。今回のウミネココーポレーション仮設広報部では、いつの間にかWebサイトに設置されていた「広告枠」について、物議を醸しています。多くのサイトで見るこの「広告枠」、いったい誰が設置したものなのでしょう?そして、そもそもこの広告枠ってヤツは一体ナニモノなのでしょう?
今回は前回までと少し方向を変えて、Webサイトでお金を稼ぐことについてお話をしようかと思います。
千里の道も一歩から、億万長者の道も広告枠から。さあ、気持ちの準備はできましたか?ではでは、3回目のダースの区切りの今回も、張り切って勉強していきましょう!
Webサイトでお金を稼ぐってどうやるの?
では、今回はWebサイトでお金を稼ぐお話です。
……おお、こういう話になると急に眼の色が変わっていますね。ディスプレイ越しにビシバシ視線が飛んでくるのを感じますよ。
わかりますわかります。お金が嫌いって人なんていませんもの。「いや、別に興味がないし」なんてサラッと言えちゃう生粋のブルジョワさんは先生信用しません。我々庶民感覚からすれば、稼げるものなら稼げるに越したことはありませんよね。
さて。では「Webサイトでお金を稼ぐ」と言ったら、普通考えるのはこんな感じじゃないでしょうか。
- Webサイトで商品を売る(オンラインショップ)
- Webサイトでサービスを売る(注文フォーム)
非常にシンプル。前提として、自分たちに「商品」や「サービス」があって、それをWebサイト上で売る。売る場所がWebサイト、というだけで、商売の形は今も昔も変わりません。
お金を稼ぐ基本です。
ですが、ここでは一旦こういう商売のことは忘れてください。
たとえ自分たちが何の商品やサービスを持っていなくても、Webサイトさえあればお金が稼げてしまう方法が、今回取り扱う内容です。
魔法ですわ。錬金術ですわ。夢が広がりますわ。
その方法、その名も「クリック広告」と言います。
お、「広告」という言葉が出てきましたよ。つい最近どこかで見ましたね。覚えていますか?(サッパリ思い出せないというアナタは、前回をチェック!)
そうです、前回「Google AdWords」という「広告」サービスについてのお話をしたばかりです。
前回の内容をサラリとまとめると、「自分たちのWebサイトを検索結果ランキングで上位に表示するために、記事力ではなくお金で解決する方法、それが検索エンジン連動型の広告(SEM)です」とかなんとか、そんな内容でしたね(そうだっけ?というアナタは、恥ずかしがらずに前回をチェック!)。
今回も、前回と同じように「広告」の、つまり「お金」の話になります。
前回と違うのは、前回のお話が「お金を払って、自分のWebサイトの広告を出す」ものだったのに対して、今回のお話は「お金をもらって、誰かのWebサイトの広告を自分のWebサイトに出す(場所貸しをする)」ものだ、ということです。
……え?
「自分のWebサイトに誰かのWebサイトの広告を出すって……それって、自分のWebサイトにとっていろいろマズくない?」
そうそう。よく気が付きました。みなさん着実に力が付いていますね。誰かのWebサイトの広告を自分たちのWebサイトに出してあげるということは、当然その広告に向かって人が流れていってしまいますので、Webサイトとしてはあまり好ましいとは言えません。
だから、「自分のWebサイトから人を流す代わりに、広告主にお金を払ってもらう」というわけです。これが今回の一連のお話における魔法のカラクリです。
広告の仕組み
このクリック広告は、もうすっかりお馴染みになった、Webサービスの総合商社、Google社が提供しています。
前回の「Google AdWords」が広告を出稿する側のサービスならば、今回の広告の場所貸しをする側のサービスは「Google AdSense」と言います。名前もなんだか似ていますねえ。
そうそう。前回の「Google AdWords」の説明では、あくまで「検索結果ランキングに広告が表示される」という形でお話をしました。そのほうがシンプルに理解できるからだったのですが、実はこれには続きがありまして。
「Google AdWords」の広告の出し先は、「検索エンジン」以外に、「ディスプレイネットワーク」という、「Googleと提携しているWebサイト」に表示するというオプションが選べるようになっていたのです。
この「ディスプレイネットワーク」を担っているのが、「Google AdSense」というサービスを使って、「自分たちのWebサイトに、他の人の広告を出してもいいよ」と言っている人たちのWebサイトなのです。
……なんだか壮大な話になってきましたね。
検索エンジンだけでも十分すぎるほどの広告表示件数はあるのですが、それに加えて、「自分のWebサイトの場所を貸してお金を稼ぎたい」と思っている、莫大な数の人のWebサイトにも広告を出せる仕組みだったのです。おそるべし、「Google AdWords」。
さて、「Google AdSense」で貸し出されている場所に、「Google AdWords」で設定されている広告が表示されて、それがクリックされると、「Google AdWords」の広告主から、「Google AdSense」の場所貸しをしている人にお金が支払われます。
広告主からすれば、表示される場所が増えれば増えるほどクリックされる可能性も増えるので嬉しい。場所貸ししている人からすると、自分が何の商品やサービスを持っていなくても、人を流すだけでお金が稼げるので嬉しい。
こうして、この両サービスは、絶妙のバランスでドンドン規模を拡大させ、その中では膨大な広告費が今日も動いている、というわけです。
もちろん、Google社にその中から手数料が入ります。放っておいても、Google社にバンバンお金が入っていくシステムの完成です。コレ考えた人、頭良すぎですね。
さて。ここでひとつ質問です。
「検索エンジン」と「ディスプレイネットワークに加わっている、場所貸しWebサイト」、この2つで異なる部分はどこでしょう?
うんうん。そうそう、そうなんです。そもそも「存在理由」が違いますよね。それをもう少し説明に都合が良いように言うと、検索エンジンには、検索キーワードがあるけれど、場所貸しWebサイトにはそれがないのです。
ちょっとよくわからなくなった気もしますが、説明を続けますよ。
前回も話しましたが、「検索結果ランキングに、それに関連する広告が出てくる」というのは、非常にわかりやすい流れですよね。ターゲットとなる「キーワード」がはっきりしていますので、それにピッタリの広告が出てくればクリックもされやすいでしょう。
ですが、普通のWebサイトでは、その明確な「キーワード」がありません。ですので、広告を出すと言っても、そのWebサイトにピッタリの広告を選ぶことができません。無関係の広告が出てきたところで、クリックはされにくいでしょう。
「それじゃあせっかく場所を貸しても、ほとんど広告の意味がなくない?」
って思いますよね。「キーワード」がはっきりしてないんですから……。
……あれ。「何かの記憶」が遠くで手を振っているような……。
そうです!そうなんです!Googleなら可能なのです。「場所貸ししているWebサイトにピッタリな広告を出すために、そのWebサイトのキーワードを抽出すること」が。
SEOのときにやりましたよね。検索エンジンの「データ収集・解析班」の働き。そうです、あのデータを使うのです。あのデータを使えば、そんなことまでできてしまうのです。
怖ぇ!グーグル怖ぇ!検索されずに寝ている「各Webサイトの検索用のデータ」まで無駄なく金儲けに使うなんて!
かくして、どのWebサイトにもピッタリの広告を出すことができるようになりました。この仕組みのことを「コンテンツ連動型広告」と言います。コンテンツ連動、つまり、そのWebサイトの内容と連動している、ということですね。
Google AdSenseの設定
では、早速「Google AdSense」の設定を……と、行きたいのですが。実はこのサービス、今までの「Google AdWords」や「Google Analytics」と違って、かなりキビシイ事前審査があります。
「Webサイトさえあればお金が稼げる」という非常に低いハードルのため、悪巧みが得意な方はついついこう考えてしまわけですね。
「なんとかして仕組みの不備を探して、ザクザクお金を稼げないものかしら」と。
とうことで、いかがわしいWebサイトには広告が出せないように、事前審査を厳重にやっている、ということです。
あ、この考え方は審査が通って実際に広告を表示するようになっても有効で、「Webサイトの実力以上に広告をクリックされる」ようなアレコレをやると、スパッとアカウントが停止されます。悪いことは考えず、クリーンにやっていきましょうね。
で、審査までの流れはこんな感じです。
- STEP1:Googleのアカウントを取得
- STEP2:対象のWebサイトを登録
- STEP3:サイトオーナーの連絡先を登録
「Google AdSense」の登録は1組織1アカウントまでですよ。との指示がありまして、既に登録が完了しているワタシは残念ながらこの先の登録画面をお見せすることができません。みなさんはこのままお進みください。
無事審査が通ると、管理画面にアクセスできるようになります。もし審査で落ちる場合は、前述の「いかがわしいWebサイト」と思われたか、もしくは「まだWebサイトの体を成していない」と思われた可能性が高いですので、こんなトコロをチェックして再申請してみましょう。
- ページ数が少ない場合は、ページ数を増やす
- 広告が多すぎる場合は、他社の広告を削る
- クリックを誘導させるような文言を削る
- 暴力的な内容、アダルトな内容を削る
無事審査が通ると、管理画面からいろいろできるようになります。
ここで行うことは、広告枠の作成です。広告枠と一言で言っても、Webサイトによって「好ましい大きさ」と「形式(文字か画像か)」は違いますよね。
より自分のWebサイトに合った広告枠を作ることで、より邪魔にならず、よりクリックされやすい広告を表示させることができるのです。
ホント至れり尽くせりですねえ……。
ではひと枠作ってみましょうか。上のタブから「広告の設定」をどうぞ。
広告設定画面が出てきましたか?それでは、画面上部にある、「新しい広告ユニット」をクリックしましょう。
「名前」を付ける欄があって、そこから下はすべて広告のサイズや内容を設定する項目が並んでいます。
では、真ん中辺りにある、「広告の種類とサイズの例を表示」というリンクをクリックしてください。
ヘルプページが出てきましたね。畳まれている部分をクリックすると、各種サンプル広告枠が出てきます。この画面ではテキスト広告(テキストのみの広告)が並んでいますが、右の「ディスプレイ広告」というリンクをクリックすると、画像の広告サンプルも見ることが可能です。
さすがのGoogleでも自由自在にサイズを設定できるわけではありませんので、サンプルを見て、その中からより自分のWebサイトに合った形式を選びます。
広告枠の設定後、一番下の「保存してコードを取得」ボタンを押すと、Webサイトに埋め込むためのコードが出てきます。
このコードを、WordPressのウィジェットで埋め込むと、一定時間後から広告の表示がはじまります。
そうそう、審査が通った段階で、もうひとつ。登録した連絡先に対して、ハガキが送られてきます。
そうです。なんとこのご時世に、デジタルの権化のようなGoogle社からハガキが送られてくるのです。
おそるおそるそのハガキを見てみると、そこには「PINコード」という暗号が書かれています。
この「PINコード」を「Google AdSense」のアカウント情報ページに登録すると、「支払い」を受けられるようになります。本当にその住所にあなたがいるの?という確認だと思ってください。
さらに細かい内容は、こちらのヘルプページにまとまっていますので、困ったら見てくださいね。
で、ホントのトコロどのくらい稼げるの?
さてさて、おつかれさまでした。
みなさんのWebサイトにも広告が表示されましたか?それは良かった、まずは第一歩ですね。
さてさて、広告が表示されると、当然この部分が気になってきます。
「この広告、果たしてどのくらい稼げるのだろうか?」
うんうん。そりゃそうです。では、統計的なお話を少々させていただきますと……、
「おそらく、思ったほどは……稼げません」
というのが正解です。
……あいやお待ちくだされ。
そもそもみなさま、どこかのWebサイトに行って、広告をクリックすること、ありますか?
ない……ですよねえ。ほとんどないと思います。「なんか広告ばかりで、このWebサイト鬱陶しいなー」なんて思うことのほうが多いくらいですよね。
ここにひとつの数字がありまして。「WebサイトのPVに対する、広告のクリック率」というものです。別名「CTR」と言います。
例えば、あなたのWebサイトが、1日に1,000PVのアクセスを集めるようなWebサイトだったとして、そこに広告を設置した場合、どのくらいクリックされると思いますか?
もちろん、「設置場所」や「広告の内容」にもよります。ですので、平均的な数値として考えてください。このCTR、「平均で0.5%くらい。多くても1%行けば上々」というのが一般的な見方らしいのです。ワタシもなんとなくそんな気分です。
そうすると、1,000PVアクセスがあっても、クリックされる数はたったの「5回」。例えば1回クリックされたときに得られる収入が「50円」だったとすると、「1日250円の収入」ということになります。
それをコンスタントに1ヶ月(30日)続けたとして、得られるお金は合計で「7,500円」。
個人のお小遣いならともかく、企業としての売上と考えるとションボリな数字と言わざるを得ませんね。
しかも企業サイトの場合、
- 書ける記事の内容に限界がある(会社に関係ないニュースや、きわどいゴシップ記事などでPVを稼ぐわけにはいかない)
- あまりコンテンツ連動が正しく行われてしまうと、競合他社の広告をビシバシ表示しかねない
などなど、「無秩序&無計画に勢いだけで広告収入を増やす」という戦略が取りづらいですので、結果どうしてもションボリな数字になってしまいます。
ここまで読んだのに……というアナタ。ワタシでよければ謝ります。ごめんなさい。自社の商品やサービスで、地道に稼ぎましょうか。
ただですね。企業サイトの場合、「新商品がYahooニュースに掲載されて、爆発的にPVが上がりました」みたいなことが起こりやすいのもひとつの特徴ですので、煩わしくない程度に広告枠を設置しておくのも悪くないと思います。
みんなで飲みに行く分を稼ぐことはできないけど、会議のときにお菓子の差し入れができるくらいは稼いでみよう。そんな感じで挑戦してみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
Webサイトがあるだけで稼げてしまう「Google AdSense」。まあ本当に稼げるかどうかはともかくとして、なんだか夢の様なお話でしたね。
でも実際に、個人でホームページを運営されていて、「Google AdSense」を設置。ドカーンとかなりの額を稼いでいる方もいらっしゃいます。羨ましい限りです。
ワタシも自分のサイトで「Google AdSense」に挑戦してみましたが……残念ながら、「駄菓子屋レベル」の成績でした。オバチャン、うま○棒ちょうだい。5本ちょうだい。って感じ。
そんなションボリな成績でしたが、それでも実際にお金が入ってくるのは、ものすごく良いモチベーションになりました。自分が頑張ってWebサイトを運営しているのを誰かに認められたと言うか……わかりやすく気分が良くなります。
ある意味「稼げなくて当たり前」と思ってはじめましょう、そうすればイライラしなくて済みます。そうやって気軽にアレコレ工夫をしているうちに、どこかでドカーンと大当たり、ということもありますので。
あ、もし仮にドカーンと稼ぐのに成功したら、その方法をワタシにもそっと教えてくださいね。約束ですからねっ!ねっ!
……おっと。
と、いうところで終了の時間です。
ではでは、今回はここまで!
次回をお楽しみに~。