WebSig24/7通信

第13回Web受託開発の視点からオンラインツールに注目

こんにちは。モデレーターのカネダヨシアキです。

3月8日(土)にWebSig会議 vol.34「Webディレクター必見!プロジェクトを成功に導く、オンラインツール活用トラノマキ2014」と題して、今年第1回目のWebSig会議が開催されました。

前回のレポートに引き続き、現在の分業化(チーム体制)が主流のWeb制作・運用においてプロジェクトを進めるうえで欠かせないオンラインツールに注目しつつ、今回は受託企業でのケーススタディにフォーカスして、その活用方法などについて考察してみたいと思います。

Web受託開発におけるオンラインコミュニケーションの理想と現実

前回、Webサービスの自社開発においてオンラインツールの活用が活発であるという事をお伝えしましたが、Web受託開発の現場においても同じ兆候を見る事ができます。

この日(3月9日⁠⁠、3番目にご登壇いただいた佐伯氏、永嶋氏が所属するチームラボ株式会社は、表向きのイメージとは裏腹に、受託のWeb制作をメインで行われており社員全体の70%はエンジニア。

その開発体制のスタンスも個性的で、社員の属人性を受け入れる事を前提としたプロジェクト形成をされているそうです。

属人的であるからこそ、いかに個々のクリエイティビティを最大限発揮する環境=コミュニケーションを実現するかを毎回0ベースで発想する。一見、非効率にも思えますが、毎回形成されるリソースが違うという前提のもとだからこそ、都度で最適なアウトプットの方法を模索する姿勢というのは、いかにもチームラボさんらしいなという印象でした。

もちろんGoogle Driveや社内SNS、前回ご紹介したオンラインツールなども利用してのログの共有や即時性のあるフラットなコミュニケーションを試されているそうですが、狙いとしては「混沌(カオス⁠⁠」というキーワードの中にある「次への可能性」を常に思考し続けること。

今使っているツールも通過点に過ぎず、より良いツールを試し、ナレッジを貯めるプロセスを大事にする事が自分たちのサービス向上に繋がるという発想。

属人性というスタンスの中で、簡単に真似できるものではありませんが、新しいコミュニケーションの価値観の捉え方として大変参考になったセッションでした。

最後にご登壇いただいた株式会社アイ・エム・ジェイ 川畑氏のお話は、オンラインツールを活用してのプロジェクト管理についてでした。

先述のチームラボさんとは逆の観点でツール導入の目的の1つとして「標準化」を挙げ、クライアントに合わせたレギュレーションや多様化する開発環境、拡大する案件規模の中でいかにオンラインツールを駆使して調整をするかがメインテーマでした。

ウォーターフォールの制作工程の中でクライアントのステークホルダーとの調整や先方の承認プロセスに適合させるという課題が常にある中、いかにプロジェクト内で一体感を持って制作リソースにリスク、課題、TODOを共有するか。

ライブラリアン(管理者)のアサインやマメな更新の必要性と併せて、利用するオンラインツールのメリット/デメリットを見据えた上で適材適所に使い分けることが大切とのお話でした。

誰がためのオンラインツールなのか

今回のWebSig会議でご登壇いただいた各セッションを通して感じたのは、自社サービスと受託のスタンスの違いはあるものの、どちらも「コミュニケーションの目的意識」を強く持つことが大事であるという点。

WebSig24/7でのBacklog活用例(その1)
WebSig24/7でのBacklog活用例(その1)
WebSig24/7でのBacklog活用例(その2)
WebSig24/7でのBacklog活用例(その2)

オンラインツールは決して魔法の杖ではなく、既存にあるコミュニケーション方法(電話、メールなど)の延長線上にあるものに過ぎません。

今ある自分たちのプロジェクトの、どの課題を解決するために、どのオンラインツールを利用するべきなのかを正しくチョイスする必要があります。また、ツール任せだけではプロジェクトは進捗しませんし、都度都度のルールの啓蒙やこまめなメンテナンスも必要になるでしょう。

Webサイト同様オンラインツール自体も多様化しつつある現状だからこそ、意図や役割の違いを見据え、どういったポリシーで利用するのか。

自社サービス開発/受託開発を問わずWeb制作という広い立場から、より良い成果物を上げるための方法の1つにすぎないと見据え、利用者自身が、ツールに使われないために主体性を持って接していくことが大事なのだと思います。

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