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[夏休み応援企画]Scratchではじめるプログラミング学習&自由研究

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好きなもので学んでもらう

こんなときは「自分の好きなもの」をテーマにすることが有効です。

自分の好きなものを既存のプログラムと組み合わせてみると,自分の好きなものにこんな動きをさせたい,こういう効果を加えたらどうなるだろう?とどんどんのめり込んでいきます。興味のあるものをテーマにすると,自然とアイデアがわいてくるでしょう。

もしもお子さんがモチベーションをいまいち失っていったら,電車,自分のペット,話題のキャラクターなど,まずは自分の好きなものを挙げてもらいます。それをプログラムに組み込んだらどうなるか考えてもらいましょう。

プログラミング学習というと,ついつい形式ばってしまうところがありますが,プログラミングに正解はありません。このテクニックを使わなければいけないとか,角度がいくつとか,計算通りに動かさなければいけないといった決まりはないのです。とにかく「自分の好きなものを動かす」ことができるのがいちばんの目標です。プログラミングがわかる大人の目線からすると,ここはこうした方がもっと効率的なのに…という場面もありますが,質問が出るまでは見守りましょう。

好きなものを作っていくうちに,⁠ここはどうすればいいのかな? こんなふうに動かしたいけど…もっと楽な方法がありそうだけど…」といった疑問が自然と出てきます。ここで質問されたら書籍を参考にしたり,一緒に調べたりしながら教えてあげましょう。わからないところがあったり,もっと高度なことをしたがったりしていたら,プログラミング教室などの利用もいいかもしれません。

教わったことをただなぞるだけではなかなか身につきませんが,自分が困っているときに出会ったロジックや計算方法は自然と身についていきます。

ゲームをつくっていくうちにプログラミングの仕組みが学べる

好きなものとして,⁠ゲーム」をつくるのもおすすめです。Scratchはゲーム制作にとても向いています。普段よく遊ぶゲームを,自分でも作ってみたいと考える子どもは少なくありません。好きなことにつながっているので,ゲームならプログラミング学習も長続きします。

※)
いわゆる3Dアクションなどは難しいです。

ゲームには条件分岐や確率,入出力など,プログラミングで重要なさまざまな仕組みが使われています。さらに,プログラミングだけでなく,シナリオ・デザイン・サウンドなど他の創造的な分野とも広く関係しています。さまざまな技術を総合的に,楽しみながら学べることがゲームづくりのメリットです。

Scratchにあらかじめ用意された命令はゲームづくりに向いたものが多く,比較的簡単にゲームがつくれます。

ゲームはジャンルによってルールが全く異なるので,いろいろなゲームを作ることによって違った手法を身につけることができるのも利点のひとつです。かんたんなゲームから初めて,だんだん手の込んだプログラムができるようになるといったステップアップも見えやすく,制作のモチベーションも維持しやすいでしょう。

プログラムの理解が進むと「このゲームの技術を応用すればこんなゲームもできる」といったロジック同士の組み合わせもできるようになってきます。応用力がつけば自分で考えてやってみることがどんどん楽しくなってきます。

Scratchは機能を拡張できるため,企業や有志により便利な機能が増えてきています。自動翻訳や合成音声をつかった海外の人も楽しめるようなゲームをつくったり,機械学習(AIの技術)をつかって映像をコンピュータに覚えさせたり,モーションキャプチャーを使ったり,モーターやセンサーなどのデバイスを組み合わせたりもできるので,ロボットのようないろいろな仕掛けを組み合わせたプロジェクトを作ることもできます。拡張性の高さ,興味を持った分野をより伸ばすことができるのもScratchの特徴です。

他の人のプログラムの仕組みが公開されていて改善や研究がしやすい

Scratchの学びやすさの理由の一つ,優れた「お手本」がたくさん公開されているという点も忘れてはいけません。

ScratchのWebサイトには,世界中の人が作ったプロジェクト(作品)がアップロードされています。これらは,ユーザー登録なしでも,だれでもプログラムとその中身を見ることができます。これらはCC BY-SA 2.0というライセンス(制作元を明記すれば再利用可)のもと公開されていて,このライセンスに従えば自由に再利用(リミックス)できます。

※)
プログラムの再利用のことをリミックスといいます。

そのため,Scratchでは既存の作品を参考にしたり,リミックスしてオリジナルのアイデアを追加したりすることが盛んに行われています。だれかの作品をよく観察したり,マネをして作ってみたり,アレンジしたりすることはプログラミング上達の近道です。

例として,筆者の作成したプログラムを動かして試せる画面と,⁠中を見る」をクリックして開けるプログラムの中を見る画面を掲載します。

「三目並べ」プログラム

「三目並べ」プログラム

プログラムの中身

プログラムの中身

ゲームづくりで困ったら,同じような作品を作っている人を探して,どのような方法でプログラムが組まれているかを研究できますし,新しいアイデアを得る機会にも恵まれます。自分の公開した作品が他の誰かの役に立つかもしれません。

またScratchには公式にフォーラム(掲示板)もあります。同じ趣味の仲間が集まっている場所なので,ユーザー登録をすればコメントをして,技術的な相談をすることもできます。日本語向けのフォーラムもあります。

Scratch 日本語フォーラム

Scratch 日本語フォーラム

また,リミックス機能を使い,同じゲームを複数人で作るといった共同プロジェクトを立ち上げる人もいます。問題に直面したときに同じ悩みを共有して一緒に考えられ,チーム開発は一人では作れなかった大作に挑戦することができます。さらに,適切な情報の共有やプロジェクト運営など,プログラミング以外のスキルを育むことができるでしょう。直接の面識がない相手とWeb上でやりとりするのは小学生には決して簡単ではありませんが,選択肢や今後Scratchにもっとハマったときの選択肢として知っておきましょう。

Scratchはこういったコミュニケーションの場が付帯しているので,さまざまなメリットがあります。反面,誰でも気軽に発言できることから口論になってしまうケースもあります。

安易にこういった機能の利用を禁止するのではなく,むしろそういったトラブルに対処する方法を学ぶ場所でもあると考えましょう。16歳未満のユーザーは,登録する際に保護者のメールアドレスが必要です。利用規約やガイドラインを確認し,Scratchを使うルールを話し合いましょう。

著者プロフィール

大角美緒・大角茂之(おおすみみお・おおすみしげゆき)

岡山県を中心に小学生向けのプログラミング教室を運営。プログラミングワークショップを定期的に開催し,子どもたちにプログラミングの楽しさを伝えている。著書に『10才からはじめるプログラミング scratchでゲームをつくって楽しく学ぼう』がある。

ロジックラボ for kids:http://www.logic-lab.net/

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