速報!2007 JavaOne Conference

John Gage氏およびJavaFXマーケティング担当へのインタビュー、S.O.N.I.A. Project(動画あり)

JavaOne速報、第3回目の今回はキーパーソンインタビューと展示デモの続編をお届けします。

Sunのスポークスマン、John Gage氏へのインタビュー
―今ホットなRealTime JavaとSun SPOT、Sunが目指す自由参加型統計システム

現地時間2007年5月10日、Sun Microsystems, Inc. Vice President/Chief ResearcherのJohn Gage氏への日本のメディア向けインタビューが行われました。ご存じの通り、同氏はJavaOneの総合司会でもあり、Sunについて語るスポークスマン的役割を果たす人物でもあります。今回の取材では大きく3つのテーマについて語ってもらいました。

Robosapienに見るRealTime Javaの現在

まず、最初のテーマとして挙がったのが「Robosapien」です。昨日の速報でも紹介したRobosapienについて、すでに見学したかどうか問いかけてから、その可能性について熱く語りました。

⁠現在のロボットはどんどん自律できるようになってきており、今後人間にとって必要になっていきます。そのため、ロボット学は今後ますます重要な研究の1つとなるでしょう。Javaを使うことで、過去のアセンブラ型のものよりも簡単にプログラミングでき、しかも高機能になっています。実用性を満たすためには、もっともっと速い実行速度が求められていきます⁠⁠。

Sun SPOT

次に、現物を片手に紹介してくれたのが、Javaを組み込んだ小型無線デバイス「Sun SPOT⁠⁠。これは位置情報や温度など各種情報を収集できる無線デバイスで、いろいろな使い方が検討されています。

⁠Sun SPOTは、たとえるなら任天堂のWiiのようにインターフェースとして利用できるデバイスです。位置情報や温度、さらに振動を計ることも可能です。全世界の人に持ってもらうことで、40億人がネットワークでつながることができます。これからは人がどうやってつながっていくか、というのが大切なのです⁠⁠。

Sun SPOTは現在、開発キットなどを含め550USドルで入手できるとのこと。

Sun SPOT(左)とSun SPOTを手に語るJohn Gage氏(右)
Sun SPOT Sun SPOTをもつJohn Gage

自由参加型統計システムの概念

日本のメディアより携帯電話に関する質問が出たところで、Sun SPOTに続いて、携帯電話へと話題が移りました。質問は「子どもが最初に触れる小型デバイスとして、携帯電話が最適かどうか」というものです。

これについて、Gage氏は「非常に難しいが、一番大切なことはマニュアルを読まなくても使えるものであること、だということです」――そう答え、続いて非常に壮大なテーマについて語り始めました。現在、世界は先進国と発展途上の国の格差が大きく、たとえばアフリカの国では誰がどこにいるか、また、何がどこにあるかというのがわからない。しかし携帯電話が普及すれば、その問題が解消できるとGage氏はコメントしました。

⁠一人一人が位置情報を持った携帯電話を持っていれば、誰がどこにいるのかわかります。そして、アイデンティティを持つことが可能です。 また、今進めているプロジェクトに、自由参加型統計システムというのがあります。これは、実際の地図の上に学校などの場所を記していくもので、国や政府ではなく、一般市民が参加していく作っていくものです。これも携帯電話があれば実現できるのです。 何が問題なのか、まず市民が活動し、そして国や政府を動かすきっかけにしていければと思っています。そして、そこにはSunの技術が役に立つはずですし、それを進めるサポートをするのがSunの役目だと思っています⁠⁠。

JavaOneという技術の祭典で、その技術を人々の幸福に活かすきっかけを作っていきたいという思いが伝わってくるインタビューでした。

JavaFX/JavaFX Mobileの市場戦略 -John Muhlner、Jacqui Chang両氏に訊く

John Muhlner氏(右)とJacqui Chang氏(左)
John Muhlner氏(右)とJacqui Chang氏(左)

今回のJavaOneの目玉となったのがJavaFXおよびその製品群の1つであるJavaFX Mobileです。JavaFXはすでに紹介したとおりJava上で実行できるあたらしいリッチコンテンツ実行環境です。

今回、Java ME Product Marketing Mobile and Embedded GroupのGroup ManagerであるJohn Muhlner氏(写真右)と同グループのJacqui Chang氏(同左)の両名に、JavaFXおよびJavaFX Mobileの展開についてお聞きしました。

JavaFXはJavaと同じアプリを簡単に提供できる仕組み

JavaFXは、Java上で実行する環境の総称です。そこで使用するJavaFX Scriptは、従来のJavaプログラミングに比べて大変簡単で、3Dや動画などを少ないコードで実現できるようになります。現在、JavaFX Scriptのアルファ版コードが無償ダウンロードできます。

JavaFX Script公式サイト
URLhttp://www.sun.com/software/javafx/script/

JavaFXはシリーズの総称で、JavaFX Script以外にも、JavaFX Mobileをはじめ、各種デバイスごとに特化した製品としての展開が予定されています。

JavaFX Mobileはメーカがターゲット

Java FX Mobileについて、具体的にどういったターゲットを想定しているのかと聞いたところ「私たちが直接コンシューマを狙うのではなく、コンシューマに製品を提供するメーカをターゲットとして考えています。ただ現段階では、まだ正式に契約しているメーカはありません。 初日のジェネラルセッションでは、Motorolaなどいくつかのメーカの携帯電話上でのデモを行いました。これは、そのメーカと話が進んでいるということではなく、複数の企業、Javaを動かせる環境があればどの企業でもJavaFX Mobileを利用できることを意味しています」と、Muhlner氏はコメントしました。

また、Chang氏は「JavaFX Mobileは、現在のSunの戦略のとおり、オープンテクノロジを集約した形で提供していく予定です。私たちはオープンテクノロジ、そしてオープンソースソフトウェアを信じています。まず携帯電話に向けてそれを利用し、さらに今後はTVやセットトップボックスなど、他のデバイスにも対応させた製品展開についても考えています」と、オープンテクノロジへの期待とともに、JavaFX Mobileが持つ可能性を語ってもらいました。

おもしろデモ第2弾―S.O.N.I.A.Project

最後は、引き続きJavaOne Pavilionからのおもしろデモを紹介します。今回紹介するのは、S.O.N.I.A.Projectです。

S.O.N.I.A.とはSysteme d'Operation Nautique Intelligent et Autonomeの略で、自律型水中自動車の製作プロジェクトです。制御部分にReal Time Javaを利用しています 。今年の8月2~6日にSan Diegoで行われる「the 9th International Autonomous Underwater Vehicle Competition」に参加するそうです。

S.O.N.I.A.Project
S.O.N.I.A.Project
※音が鳴ります。ご注意ください。

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