前回まで,
2019年1月で,
本連載の締めくくりとなる今回と次回では,
Bitcoinが解こうしている問題とは
さて,
もう一度,
資産を持つ本人であることの確認を特定の第三者に委ねると,
- 送金元がその資産を持つ本人だと誰もが確認できること
- ひとたびシステムに送金の事実が投入・
記録されたら, その記録が覆っていないことを誰もが確認できること
ブロックチェーンは,
そのように設計されるブロックチェーンないし同様な目的をもつ台帳技術が,
表1 機能階層とビットコインの場合の実現の仕方
機能 | 実現の仕方 |
---|---|
唯一性の合意 | ナカモト・ |
存在性の証明 | 作業証明付きハッシュチェーン |
正当性の保証 | UTXO構造 |
まず,
また,
その上で,
このうち,
- ※1)
- ある絶対的な日時かもしれませんし,
ある事象の前/ 後といった相対的な時間かもしれません。
ブロックチェーンの本質的価値とは
だとすれば,
大事なのは,
このことは,
そうした困難を経ても過去に施された署名を正しいと証明できることはデジタル署名の
また,
私は,
「遺言書テスト」とは
あなたのブロックチェーンでは
「遺言書」 を作れますか? すなわち, 本人が生前に署名したままの形で遺言書が保存されていることを, 保存しているシステムを信用せずに (※2), 利害関係のあるすべての相続人に対して証明できますか?
図1はこの
読者は,
では,
- ※2)
- 本人の秘密鍵を取得した悪意がある相続人とシステム運用者が共謀している可能性があるため。
- ※3)
- このテストは,
法的に実用的な遺言書を作る目的ではなく, あくまで 「思考実験」 です。各国の法律上の 「遺言書」 はさまざまに異なる法的な特徴を持っており, かつ実運用上も揉めることが多く, 現実にブロックチェーンで遺言書を実現することは現時点で非常に困難です。また, このテストでは, デジタル署名の検証に関しては, すべての相続人が本人の正しい公開鍵を共有していることを前提とします (こちらはこちらで難しい問題を含んでいます)。